3-1と2の間. アマテラス:鏡の呪縛と泰氏の囁き
一方で、長子であるアマテラスの魂は、
別の方向へと向かっていた。
彼女は生まれながらにして、
周囲をひれ伏させる圧倒的な
カリスマを持っていた。
しかし、その輝きは、ニギハヤヒの
「すべてを平等に慈しむ」という教えとは、
徐々に乖離し始めていた。
そこに目をつけたのが、泰氏の長であった。
泰氏は、ニギハヤヒの知恵を「力」として、
アマテラスの野心を「秩序」として
変換する計略を練っていた。
「アマテラス様。
ニギハヤヒ様の知恵は素晴らしい。
しかし、あまりに曖昧で、あまりに自由すぎる。
これでは、いつかこの国は外敵に飲み込まれ、
霧散してしまうでしょう」
泰氏はアマテラスに、
ニギハヤヒの『八咫鏡』を模倣しつつ、
独自の「管理回路」を組み込んだ
新たな鏡を献上した。
「この鏡を見るのです。
ここには、あなたが望む
『完璧な秩序』の未来が映し出されます。
民を慈しむ必要はありません。
民を『導き、管理する』のです。
そのためには、
圧倒的な光(正解)が必要なのです」
泰氏の甘い囁きは、
アマテラスの心に「統治」という
名の欲望を芽生えさせた。
彼女はニギハヤヒを尊敬しながらも、
心のどこかで彼を「旧時代の遺物」として
切り捨てようとする冷酷さを
育んでいったのである__。




