アクイラ
「なんだこの者らは・・・逃げるばかりで戦意がまるで感じられないな」
「うん、なんか、変」
テオドールとハンナはヒト族と戦いながら違和感を感じていた。テオドールは盾を構えながら小型銃を合間に撃ち牽制し、ハンナは巨体を活かして襲いかかる。しかしことごとく散開され躱されてしまう。倉庫に転がっているコンテナも2人には相性が悪い。それほど大きくない倉庫内での戦闘において、コンテナや細かいガラクタは体の大きな2人には邪魔でしかない。
「お前らは、どうして戦っている?」
ヒト族の1人が質問を投げてくる。
「どうしてって・・・この国の民を守る為だ」
テオドールが答える。
「何から?」
「君たちのような暴徒からだ!」
「ふっ、我々が暴徒に見えているのか、面白いこともあるものだな」
周りのリベラルたちも笑い始める。
「なんか、不気味」
ハンナが呟く。
「うむ、なぜだか同じ人間と話している気がしないな」
「まあいい、お前たちに我々の考えが理解できるとは思っていない。アクイラの崇高な考えがな」
「アクイラ・・・?」
「お前たちが我々のことをリベラルと呼んでいるには知っている。しかしそれは勝手に呼んでいるだけだろう。我々はアクイラ、この国を本当の意味で正しく理解しているのは我々だ。そして・・・破壊する」
「な、何をいってるんだこの人は・・・」
「ハンナには分からない、でも、イヤな感じがする」
「ここは一旦レオンさんに・・・」
テオドールはパルダスの少女と対峙しているレオンとオリヴィアの方を見る。
「ちょっと、どうしたの?外すなんて珍しいわね」
合図を聞いて巻き添えから逃れる為に離れていたオリヴィアが戻ってくる。
「いや、僕はいつも通り撃ったはずなんだけど・・・それに今の動き、さっきまでのあの獣人とは比にならないくらい速かった」
「確かに、私とやり合ってる時もあそこまで俊敏な動きはしていなかったわ。もしかして舐められてる?ちょっとムカつくんだけど」
「あぁ、いやそれより獣人の中でも1,2を争うと言われているオリヴィアより速いなんて、そんなことあるのか」
「まあ、悔しいけど世界は思ったより広かったってことね、てかまだ私より速いって決まったわけじゃないでしょ!私も本気出せばあれくらい」
体勢を低くし、再度臨戦体制に入るオリヴィア。
「ちょっと待って、なんか様子がおかしい」
レオンの攻撃を躱したパルダスの少女のはこちらに目もくれずに項垂れている。よく見ると苦しそうにしていた。
「何、どうしたの?」
「わからない、けど今がチャンスかもしれない。もう一度撃ち込んで無力化しよう」
「大丈夫なの?レオン」
「あぁ、大丈夫。次で決める」
レオンは再度、イメージしオーズガンに生命力を込めようとする。
その時、倉庫の奥の方で爆発が起きた。




