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Daybreak  作者: 言葉
3/6

国家管理局


「一旦ウチに帰って着替えて、装備の手入れしていくよ」

「分かった、じゃあお昼にまた合流しましょ。今度は寝坊しないでよね」

「寝ないって・・・悪かったよ」

セントラルタワーから出た僕らは一度別行動をとる。ビジネスパートナーとは言っても常に一緒にいるわけではなく、任務の時と必要に応じたときに都度会うことにしている。

街灯の下を歩きながらセントラルタワーを振りかえり、見上げる。

「相変わらずたっけえなあ、オスカーの城は・・・」


フェニスガルドの中心に聳える一際目立つ建物、セントラルタワー。ここは国家管理局(National Control Organization、通称NCO)の本拠地である。NCOは国が定める最高機関であり、有事の際にはあらゆる指揮、判断の優先権を持つ。内部は情報局、防衛局、法務局など役割に応じて分かれており、国民の生活を保障する為にこの地下国家を建国した際に設立された。

そして、この国家最高機関の最高責任者であり、僕やオリヴィアの上司に当たる人物が国家管理局局長のオスカー・ゲヴィン・アーノルドという人物だ。

ヒト族のアーノルド家は地上に国が栄えていた頃から国有数の軍事力を有する一族だったらしく、武力のみならず先を見据える力、先見性が高く、国王からの信頼も厚く泰平の世に至っても政の要人として国の中枢に関わっていたという。この地下都市を築く過程においても最も尽力したといっても過言ではなく、地下に避難してきた際、地上にあった諸外国との円滑な交流、迅速な法整備、インフラの確立など、多方面で活躍を発揮してきた。NCOを設立した人物であり、初代局長となった人物もオスカーの先祖であり、アーノルド家の人間だったようだ。


セントラルタワーから自室のあるマンションまで歩いて帰る時、僕は小川の流れる国営公園を通る。列車や車を使うこともあるが、特に決まってはいない。要するにその時の気分だ。この公園の川も木々も、花や葉のどれひとつをとっても、建国後に人工的に作られたもので、天然物はひとつも無い。大半がアクアベルタの技術力をもって作られたものだが、こうした景観を作ることも他都市との友好関係的にも経済的にも大事なんだとオスカーが言っていたような気がする。もっとも僕は天然の自然を見たことがないからこれがそうなのか、という実感はない。僕だけではなく今の街の人は恐らく誰も分からない。僕にとっては僕の見てる世界の自然が全てだけど、それでも心が安らぐ素敵なものだと感じる。史書を読む限りでは、地上には広大な土地、空に届くほどの山々、氷の大地や砂の海など、人工的には作れない雄大な自然が沢山あったようだ。

「海水ってやつで作られた本当の海すら見たことないんだけどな…」

などと感傷にひたっていると携行デバイスが通知を受ける。


「はい、レオンです」

「やあレオン、今回の任務だけど、君たちの他にテオとハンナの班も同行してもらうことにした」

「テオ…テオドールですか?」

「あぁ、あのふたりは適性が分かってこちらに着任してから初の任務だから、よろしく頼む」

「了解です」

「リアは一緒じゃないのかい?」

「はい、1人です。オリヴィアには僕が伝えておきます」

「あぁ、頼むよ、それじゃ」


ツー、ツー、ツー


「出来たばっかの班を頭数に入れるかね、誰が面倒見ることになるんだか…、全くオスカーは優秀なんだけど無茶ぶりが過ぎるんだよなぁ」


通話の切れたデバイス画面を眺めていると横にある広場の噴水が一斉に噴きあがった。あらかじめプログラムされている噴き出し装置がリズム良く順番に水を射出する。噴水の周りは堀のようになっており数多の光が水の飛び出すタイミングに合わせて色を変える。

「いつ見ても綺麗だ…本当の自然界にもこんな光景はないなんて…実は人が作ったものの方が綺麗だったりするのかな」

デバイスをポケットにしまって、公園を抜け家路に着いた。

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