(⚠️グロ描写あり⚠️)7章 正義の剣、屈するとき
グロ描写あり
王都・中央商業区。
日差しの穏やかな午後、街は今日も平穏に見えた。
俺は“サヴァン”として、露店の前で適当な商品を眺めていた。
そのとき、聞き慣れぬ声が背後からかけられた。
「――お前が、サヴァンか」
振り返ると、鎧姿の男が立っていた。
王都直属の騎士団所属、“光剣”の異名を持つ剣士――レイ=アストリア。
背後には、三人の騎士が控えている。
いずれも高位の訓練を受けた近衛護衛。
だが、俺にとってはどうでもいい存在だった。
「……勇者リオナの死について、話を聞かせてもらおうか」
俺は何も表情を変えなかった。
そして、ただ一言、呟いた。
「――これからだというのに。
さすが王都直属の騎士団だ。この国を守るのに、実にふさわしい」
「……は?」
レイたちは一瞬、言葉を失い、固まった。
その瞬間――俺は、指をパチンと鳴らした。
⸻
世界が“閉じた”。
周囲の空間が一瞬で歪み、絶対防御の権能による結界が発動する。
魔力遮断。視覚妨害。聴覚封印。空間分断。魂の探知遮断。
最高位魔術の複合式を一瞬で構築し、四人と俺だけを閉じ込めた。
外部からの感知も干渉も、一切不可能。
ここは、**“俺だけの処刑場”**だ。
「な……なんだこれ……!」
護衛の一人が動こうとしたが、間に合わなかった。
「ネリウス」
俺が名を呼ぶと、影から黒き悪魔が滑り出た。
そして――
“ドン”。
ただそれだけの音で、一人が即死した。
肉体が砕け、魂が一瞬で燃え尽きた。
「ッ……お下がりください、レイ様ッ!」
残る護衛二人がレイの前に立ちふさがる。
俺は、つまらなそうに肩をすくめて言った。
「……面倒だ」
無詠唱で、透明の立方体空間を構築。
二人の護衛をその場で封じ、空間ごと潰した。
ガラスが砕けるような音と共に、彼らは肉片となった。
「ひっ……!」
レイは剣を握る手を震わせ、剣を落とした。
「圧倒的強者の前で屈するとは――実に滑稽だな」
俺の声に、レイは唇を噛みしめ、耐えていた。
だが、その時――
「確かあなたには、婚約者がいましたね?」
レイの目が見開かれた。
「……あなたのような弱者に婚約者など不要。
――是非、私の糧になっていただきたい」
その言葉と共に、影が揺れる。
“商人”の姿をした男――グライヴが、
ズルズルと何かを引きずりながら姿を現した。
引きずられているのは、血塗れでボロボロになったレイの婚約者。
「やめろ……やめろぉぉぉ!!」
レイが叫ぶ。剣を拾い、俺に突進してくる。
だが――
“ガシ”。
グライヴの片手が、剣を掴み、その場で止めた。
「ッ……!?」
次の瞬間、レイの胴体と頭部が引きちぎられた。
婚約者の悲鳴が空間中に響く。
彼女は地面に崩れ落ち、肉片となったレイの体を必死でかき集めていた。
「お願い、戻って……お願い……お願い……ッ!」
その姿を、俺は無言で見下ろしていた。
そして、告げる。
「このことを、誰かに話せば――お前とお前の家族、
大切な者たちをすべて殺す」
俺は、彼女の魂に**“呪い”**を刻み込んだ。
忘却の洗脳で記憶を消すこともできた。
だが――今回は、それをしなかった。
「“トラウマ”を抱えて生きる人間が、
その後どのように変化していくのか……見てみたくなった」
それが、俺の理由だった。
⸻
空間を解除する直前――
特殊な魔術で、肉片も血もすべてを消し去る。
ネリウスは影へと戻り、
グライヴは再び商人の姿に戻り、隣を歩く。
俺は、そのまま何事もなかったかのように、
王都の市場通りで――再び買い物を続けた。
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王都直属騎士団 光剣の異名を持つ剣士
【 レイ=アストリア】
レイの婚約者であり、
古来王家に使えるイレーネ家 令嬢
【 アリシア=セナ=イレーネ 】