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Lapis-landiA  作者: 八広まこと
Season2

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67/75

薄煙水晶(ブランデーシトリン)3

NOXに『2.5』があります。

話の流れ上、『三馬鹿がちょっとだけ邪魔した』『結局最後まで致せなかった』とだけご承知いただければ、話の流れになんら問題はありません。(不憫・・・)






「ちょっと・・・。シーちゃんに聞いておきたかったことがあるんだけど・・・。」


 酒屋を飛び出し、下着屋へ赴く途中、ふと前を行くリシリィとシオンの背を見守りながら。後ろで少し考え事をしていたリヒトが、意を決したように顔をあげる。


「どうしたんだよ、改まって。」 

「・・・・・。」


 少し、さっきまでと違うリヒトの様子に、シオンがきちんと彼のそばへ寄り、眼を合わせて訪ねる。

 こういう、ちょっとしたところに、シオンの育ちが出ていると、リヒトは思わず目を細めた。

 無論、リヒトも第二大隊の副長を預かる身だ。彼女の『オブシディアン』としての名前も、生い立ちも、大方は理解している。

 更に、リシリィからは、他言無用として、以前第四大隊が偶然かち合ってしまった――それは結果として彼女も養父も助けられることにはつながったのだが、彼女自身の生き方、生き様に影響をしている悍ましい経験の内容も聞いていた。

 無論、これに関して、リシリィはシオンにあらかじめ伺いを立てている。

 正直、口に出すのも憚られたが、個人の傷に触れることを勝手に他者に話すわけにもいかない。

 それでも、リシリィがリヒトにこのことを離しておけば、彼が、彼ゆえに、シオンの助けにもなれると判断したからだ。

 それに対して、シオンは了承した。

 そもそも、そんな気にするようなことでもない、と軽く笑ってみせるのだが。

 その反面、一度、宅呑みでそのまま雑魚寝と相成った時、彼女が夜中に魘されていたのを、リシリィも、リヒトも聞いていた。

 そして、誰よりも早くにそれを察知し、その傍で彼女が抵抗しない範囲で、背を撫で、抱き締めて過ごしてたのが誰なのかも。


 そんなふたりだからこそ、と。リヒトは・・・


「あ、のね?大丈夫?」

「ん?」

「これって、おせっかい、じゃ、ない?」

「え?」


 うまく言えないな、とリヒトは再び腕を組んで少し考え込む。リシリィも、足を止め、こちらに向き直った。

「いや、あのね?そりゃ体形の事を考えれば、ブラとか大事よ?だけど貴女が、その、そういうものを身に着けるのに抵抗があるなら、それは無理にしなくていいってコトなの。」

「・・・リヒトさん。」

「貴女には貴女のやり方があるし、それを無理に私たちに合わせる必要はないわ!だから、本当に嫌なら、いいのよ?」

 今更だけど、と。リヒトは少しすまなそうにシオンをみる。


 その様子に、シオンは目を細めて笑った。自身を慮ってくれる相手へ、感謝を伝える様に。


「・・・優しいよな、リヒトさんは。」

「うーん、そうかしら・・・?」

「そうだよ、こんな風に俺を気にしてくれて。うん、嬉しい。ありがと。」

「だって!アタシ、シーちゃんの事、本当に好きよ?大事に思ってる!」

「うん、俺だってそうだ。」

「私も。」

 そう言ってリシリィが背後からシオンの首に腕を回せば、シオンがうんうん頷いて笑う。


「二人は、俺が今まで体験しなかった事を色々教えてくれる。そりゃ、慣れてないし、わからなくて困惑することも多いけど、二人といると楽しいんだ。」

「・・・・・。」

「本当にダメなときは、ちゃんと言う。大丈夫、二人の優しさは、ちゃんと、わかってる。」

「シーちゃん・・・!」


 思わず、といったようにリヒトがシオンをぎゅっと抱き締めれば、シオンがにこにこ笑って


「ホント、ありがとな?」


 と、腕を回した。


「それに・・・」


 と。


 不意に、腕の中のシオンが少し身動ぎする。リヒトとリシリィが少し体を離して、シオンを見れば。


 リヒトからはうつむいて表情が見えないけれどその耳は真っ赤で。シオンよりも身長が低いリシリィからは、綺麗に目尻を染めた、シオンの表情が丸見えで。


「その・・・、そういうのって、えっと・・・」

「・・・・・。」

「・・・好き、だろ?その・・・」


   ――― アイツ、とか・・・。


 瞬間、リヒトはまあ、っと顔を破顔させ、反して、リシリィは、露骨に顔を歪める。


「シオン!」

「わ!な、なんだよ!」

「いいの、誰のためでもない、貴女のためだから!自分の為に選べばいいから!」

「そ、そう・・・だけ、ど、その、よくわからないし。」

「だめ、いいの。考えない。余計なことは、考えないの。」

 どこか拗ねたような目でシオンを見上げてくるリシリィと、困った様な表情のシオン。

 その二人のじゃれ合いを微笑ましく見つめながら、

「はいはい、わかったわかった!話も終わったし、進みましょうか!」

 

 リヒトが、両者の背中を押して、歩き始めた。













 そんな、昨夜のやり取りを・・・。


 夢に思い出しながら、ふわりと、シオンは目を開く。

 手で、体を支えながら、きょろきょろと周囲を見渡しながら。

 どこかまだ夢現な感じがする。

 明るさに慣れない眼を擦って、でも、このままもう少しまどろんでいたいと、再び布団へと体を戻せば


「まだ、寝るの?」

「ん・・・」


 再び閉じそうな瞼を僅かに空けて、聞こえてきた声の方へと視線を向ければ、思いの外近い場所にある白い光にふわりと表情を綻ばせる。

 最近は傍にいることに慣れてしまえた。 

 うとうととまどろみながら、そのふわふわの髪を胸に抱き込めば、いつもよりも過剰に、その身体が強張った。が、シオンは特に気にも留めず。

 柔らかく心地よいその感触を指で味わうのがもっぱらのお気に入りだ。手で梳く様にして、その髪を撫でながら、再び瞼を閉じる。

 

「あ、の・・・」

「・・・・・。」

「シ、シオン、さん・・・?」

「・・・・・。」

 

 寝息を立てる、まではいかない。でもこのまどろみを邪魔しないで欲しいと。

 シオンはとんとんと、抱きかかえた相手の頭をあやす様に撫でる。そのまま、少し体温の高い相手の体が心地よくて、足で挟み込む様にしながら、すりっと、全身で摺り寄れば


「―――・・・っ」

「・・・・・。」


 瞬間、


 背中を撫でる指の腹が、意図して、足元側へと滑っていく。

 ぞわりと、這う、感触に、眠気よりも、何か、別の感触が沸き上がってきそうで、シオンが小さく体を震わせる。


 そして・・・


「これ以上されたら・・・、朝から、昨晩の続き、するから。」

「―――・・・ッ!!??」 

 

 耳元に落とされた爆弾発言。

 シオンは思わず目を見開いて、抱き締めていた体を引き剥がした。

 すれば、その余りの反応に、ぽかん、とクロウがシオンを見つめ・・・


「・・・いや。」

「───・・・っ」

「・・・そこまで過剰に反応しなくても、よくない?」

「・・・・・ッ」

 

 人慣れしていない猫の反応さながら、上掛で体を隠しながらも、見事にクロウから距離を取るシオンに、ちょっとだけ、ショックを隠せないクロウが呟く。

 未だ警戒心バリバリの猫の様に、それでも、一瞬息を飲んで・・・

「お、まえが・・・っ」

「ん?」

「あ、朝から、変なコト、言うから・・・!」

「それは、そっちが朝から過激なコトしてくるから。」

「寝ぼけてるのに、そんな事言われても・・・!」

「・・・ふーん、わかった。」

 必死で言い訳を考えるシオンを眺めながら、クロウが一度、うなずきながら引き下がる。



「次からは、オレも寝ぼけてたって事にするわ・・・。」

「お、まえ・・・っ!」



 ぐうの音もでない返答に、口をはくはくと動かしつつ、何を言えばいいかわからないまま固まるシオンに、


「まあ、それはいいとして。」

 その手をきゅっと捕まえて、


「とりあえず、改めて・・・」

「・・・・・。」

「おはようございます。」  

「・・・はよ。」

「見せてください。」

「・・・・・。」

「ね?いいよね?昨晩は散々焦らされた挙句、三馬鹿まで追っ払ってきたのに、最後は寝たフリで逃げられたワケだから、さ?」

 にっこりと、満面の笑みで。だけど有無を言わさず、といった様子のクロウに、シオンはぐっと唇を噛みしめる。

「そ、んな・・・いいもんじゃ、ない―――」

「最高です。」

「・・・・・。」

「ホント、もう、最高のオカ―――・・・、いや、あの・・・。」

「・・・本音駄々洩れかよ。」

「とにかく!もっかい!もっかい見たい!」

「・・・・・。」

 すすすっとベッドの上で体を寄せて、これ以上ないくらい鼻息荒く肩を掴んでくる相手に、ちょっと引きながら・・・。


 それでも、一度小さく息を飲んで。

 シオンの、上掛けを掴む手が緩む。

 胸元を押さえていた手が、少し開いて、その肌を、シーツが滑り降りていく。


 露になる、白と、黒の、淫靡な姿に


「・・・・・。」

「・・・・・。」

「・・・なにか言え、ばか。」

「・・・あ、いや、あの・・・」

「・・・お前、ホント、こういう時黙るよな。」

「・・・・・。」

「おい?」

「・・・いや、あの・・・」

「さっきから、『いや』と『あの』しか言ってないし・・・。」

「・・・・・。」

 ろくすっぽ気の利いたことも言えないまま、口ごもるクロウの様子が。今はもう嬉しいやら、可笑しいやらで。シオンが小さく、肩を震わせる。


「―――・・・っ」

「わ・・・っ!」


 がばりと、その身体を抱き締めてくるクロウに、思わず驚いて小さく声を上げる、だけど、相変わらず、気の利いた言葉すら出てこない、その様が酷く愛おしい。


 とんとんと、あやす様に、その背を叩けば。

 

「あ、の・・・」

「・・・ん?」

 首筋に顔を埋めてくれば、かかる吐息がやけに熱をもって湿っている。肩を抱いていた腕が、するりと、指の腹で撫でる様に下って、徐に、両手で尻を鷲掴みにするから


「うぁ・・・っ!?」

「・・・・・。」

 快感を拾う、と、いうよりも。

 まさか朝からそんな不埒な事をけしかけられるとは露とも思っていなくて、叫ぶ。

 そのふわふわでお気に入りの髪を、問答無用で引っ張れば


「お、おま、ナニ、考えて・・・!」

「い、いだっ、いだだ!だから禿げるって!」

「うるさい!そうじゃない!朝からナニ考えて―――」




「た・・・、勃ちゃったんだもん・・・!」

「・・・・・。」




 もう、こうなったらとばかりに、クロウが腰を摺り寄せれば、昨晩も散々摺り寄せられた熱の高ぶりが、朝とは不似合いの程に・・・。


「・・・本当に、昨晩の、続き、とか」

「・・・・・。」 

「だ、だめ、でしょうか・・・?」

「・・・・・。」




「死ね!一遍死んで来い!ホント!」

「い、痛っ、痛いって!」

「朝だぞ!?朝!ナニ考えてんだこの馬鹿!変態!」

「あ、朝の方が元気になるんだよ!?ホント、朝〇ちって―――・・・」

「嘘付くな阿呆!騙されないからな!」

「嘘じゃないって!ホント・・・、いたた――



 あーっ!!そこ、そこは狙わないで!!!折れる!!折れちゃうから―っ!!!」



「いっそ折れて無くなってしまえっ!この、馬鹿・・・っ!!」






 布団の上で、朝から一進一退の攻防。

 魅力的すぎる恋人の、凶悪的な攻撃を交わしつつ・・・。

 

 謝罪の意味も込めた極厚パンケーキで、シオンの機嫌が戻るのは、一時間後の、ことだった。




もし年齢が合うようで、大丈夫であれば、NOXの方も楽しんでいただけると幸いです。

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