三題噺陸
三題噺陸 お題「金 閉鎖 隣人」
金が必要だった。占めて八千萬ほど。
親父が連帯保証人になっていた会社が潰れたとかで、しかも親父が急死した。心筋梗塞だったらしい。駅前のニュース速報を見て卒倒したらしい。母がもともといなかった為借金のお鉢は俺に回ってきたというわけだ。本当なら民事再生法とかが先に来てもおかしくはないのだが、もともと犯罪すれすれの業種でそれも出来なかったらしい。ま、こんな情報は全部押し掛けてきた借金取りの物で信じられるかどうかわからないんだけどな。
そんなわけで俺はこの教室にいた。前後が繋がっていないって? それをこれから説明するんだ、ちょっとだけ待ってくれ。教室は普通に利用されるぐらいに清潔で、机の高さから多分中学生ぐらいが使うものじゃないかと推測できる。ただ実際に使われている痕跡はなく、そもそも窓と扉はこれでもかというぐらいに粘着テープやその他いろいろな物によって拘束されていた。隙間から空気も通さぬ徹底っぷりだ。つまりいわゆる所のミステリ系の閉鎖空間に閉じ込められた感じだろうか。四方には明らかに危なさそうな時計をつけた荷物が置いてあるし、中央にある四つ固まった机には『どれか一つの隅を選んで、行け』といった内容が書かれた紙がある。もし俺が行かなかった場合、俺は生きたまま人体実験されるらしい。四つの隅の内どれかひとつは正解で、それを引き当てれば借金はチャラ。外れれば死ぬ。単純明快すぎて涙が出てくる。
当然、俺の隣人も三人いて、全部で四人になるように工夫されている。五〇代中年女性と、三〇代のサラリーマン、七歳ぐらいの女の子。きっとあたりを引くなら女の子にしてくれと、残った三人は必死ではずれを引こうと努力をしたが駄目だった。手掛かりは何もない。後出来るのは、運を天に任せ各々が好きなところを指定するだけ……。俺は最後になって、ちょうど少女と対面になるように選んだ。というかそれしか残っていなかった。そして選んだ直後、時計の進みが異常に早くなったかと思うと、あっという間に0を指して爆発した。
爆発しなかったのは俺の爆弾だった。だから俺は爆発の直後に少女の顔が歪むのを見てしまった。後には焦げ臭い教室と、衝撃で飛んできたものにぶつかった痛みだけが残った。
しばらくそうしていると、メガネをかけてピッチリとしたスーツを着た男が入ってきた。
「ふむ、生き残ったのは君か。なかなか悪運が強いな。面白い、次に行くぞ」
そう言って彼が連れてきたのは同じようなセットをされた教室だった。そこにはさっきと同じように3人の人間、否。違うのは彼女たちが全員少女だった。
「宜しくお願いします」
悪夢はしばし、続く。




