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第一話 始まり~二人の魔法使いの目覚め~

 朝日が昇る。

 キシキシと(きし)む音を立てる二段ベッドに二人の少年が眠っている。少年といってもまだ10歳ぐらいの子供である。下のベッドで寝ている少年が窓から入ってきた(こぼ)()によって目が覚める。この少年はガリード・ヴァン・ストライサンド。黒髪で、目が青く、少しつり目気味のやんちゃそうな顔をしている。寝ぐせで乱れたその黒髪をガリードはボリボリとかきながらゆっくりと重たい(まぶた)をあけ、目に光が入ってきたことによって、ようやく朝になり自分が目覚めたことに気が付く。「お、朝か。」

 ガリードは上半身を起こし、伸びをして眠気を吹き飛ばす。目覚めてからのガリードの行動は早い。夜眠っている間自分の体に巻き付けていた毛布を蹴り上げ、身体から毛布が離れたすきにベッドから飛び降り、冷たい床に足を置き

「冷たっ!」

 一言ぼやいてから、タンスの中にしまってある服を取り出し、寝ていた服から着替えまだ寝ている少年の下へ向かうために二段ベッドの階段を上り始める。上のベッドでまだ健やかな顔してなめらかな呼吸で寝ている金髪のマッシュの髪形をした少年に声をかける

「アオ。アオ。朝だよ。」

 金髪の少年の名前はアオ・ヴァン・ストライサンド。アオは目が黒く、肌が白い。優しそうな顔をしている。

 この二人は実の兄弟ではない。二人は孤児であった。二人が赤ん坊のころ、イドリオット・ヴァン・ストライサンドが街の真ん中で毛布一枚の上に捨てられていた状態だった二人を偶然見つけ以降これまで自分の子供のように育ててくれているのである。ゆえに二人は自分の家族を知らない。しかし、それは二人にとって大した問題ではなかった。イドリオットが本当の親でないことを二人はもちろん知っているが3人がすでに家族であるという認識は誰にも疑いようがなかった。

「アオ!アオ!起きて!」まだアオは寝ているみたいだ。見かねたガリードは、

「起きろー!!」

 怒鳴りあげ無理やりアオの布団を無理やり剥ぎ取り、アオの耳元で大きな声で叫ぶ。

「うわぁ!?」

 さすがにこれには驚いたのか、飛び起きるように目を覚ました。そして、目の前にはガリードの顔があった。

「あ~おはようガル……」

 寝起きだからか、まだ少しボーっとしているようだ。アオは一瞬驚いたようだがもう眠気が驚きに勝ってしまったみたいだ。

「まだ早いよ。」思い瞼をこすりながらぼやく。

「駄目だよ!。今日はイドリオットさんが仕事で役場まで行くから僕たちが留守番するって約束だったじゃん。そしてあれが届く日だよ。」

 そういえばそんなことを昨日言ってたような……。

「ああそうだね。じゃあさっさと支度しよう。」

 そういってアオはまだ眠そうな顔のまま着替え始めた。

「早く降りてきてね。下で待ってるから。」ガルは先に部屋を出て行った。遠くの方から

「おはよー。イドリオットさん。」

 という声が

 聞こえていきた。

 アオも着替え終わり、下に降りると朝食の準備ができていた。テーブルを見るとパンとサラダ、それにベーコンエッグがある。いつも通り美味しそうだ。

「おはよう。アオ。」

 太く優しい声でイドリオットが話しかける。イドリオットはそこまで大きくはないが体格が良く、髪は金色でいつもくしゃくしゃな感じだが今は整っている。顔はどちらかといえば厳つい方だが瞳の奥にはやさしさを感じられ柔らかな目をしている。彼は二人の保護者であり育ての親でもある。彼の職業は冒険者ギルドの職員として働いている。今は二人と一緒に暮らしているため、あまり依頼に出ることはないが昔はかなり腕利きの冒険者として名を馳せたらしい。

「おはよう。イドリオットさん。」

 アオも挨拶をする。

「よし。みんな席についたな。それではいただこう。」

 三人そろっていただきますと言い食事を始める。とてもおいしい。3人おいしく朝ごはんを食べている。だが。ここで急にイドリオットは二人を見て言う。

「ところで二人とも。昨日は言わなかったが、アルドさんがお前たち二人がトロンド橋を通って洞窟の方に行くのを見たと言っていたがそれは本当か?」

「ギクッ!」二人は同時に反応してしまった。

「やっぱりか。あの洞窟(どうくつ)は魔物が出るから行くなと前にも言ってはずだぞ。」

 トロンド橋を通り森林を抜けた先には洞窟があり、今までは魔物なんか出たこともなかったのだがここ最近洞窟の中で魔物が出現するようになっていしまい立ち入り禁止になっていたのだ。二人は別にイドリオットの言うことを聞かない悪い子ではない。

 ただ興味があっただけなのだ。好奇心が勝ってしまい行ってしまったのだ。

「ごめんなさい。」

 二人は申し訳なさそうに謝る。反省している様子をみたイドリオットは

「まぁ、もう行ってしまったのはしょうがない。次はもうないからな。気を付けるんだぞ。」

 といって二人の目を見つめる。優しい目ではない。

「分かった。もう行かないよ。」

 ガルが言う。それに続いてアオも

「うん。行かない。」

 そう言って二人でうなずく。

「俺はお前たちを信頼してるからな。」

 イドリオットの目は元の優しい目に戻った。

「イドリオットさんでも僕たちそんなに弱くないよ。」

 ガルが言う。

「それもそうだな。」

 イドリオットが少し笑いながら言い、食卓にまた明るい雰囲気が出てきた。


「ドン!ドン!」


 玄関からドアを叩く音が聞こえる。

「イドリオットさん。迎えに来ましたよ。」

 イドリオットは洞窟の調査のための会議のために今日役場まで行くのだった。

「もうそんな時間か。」

 イドリオットは握っていた残りのパンを口に詰め込み、急いで席を立ち、コートを着て玄関まで向かう。

 二人はそれの後を追う。二人はそわそわし始める。玄関に着き、イドリオットがドアを開けると馬車が止まっていて、馬車の中には数人の大人がいた。目の前には御者(ぎょしゃ)がいて

「おはようございます。イドリオットさん。」

 と丁寧にあいさつする。

「おはよう。よろしく頼む。」

 とイドリオットが。それに続き

「おはようございます!」

 ガルとアオは元気よく挨拶をした。

 それに気づいた御者は

「おはよう。二人とも。今日も元気だね。」

 と笑顔で返してくれた。

「例のもの持ってきてくれた?」

 アオは御者に尋ねた。

「もちろんだよ。」

 二人の目は輝く。

「はい。どうぞ。月刊魔法書(げっかんまほうしょ)だよ。」

 二人は手に取ると

「ありがとう!」

 二人はうれしさのあまり大きな声を出してしまった。

「じゃあ、留守番をよろしく頼んだよ。山にはいってもいいからね。洞窟にはいくなよ。夜には帰ってくるから。」

 そう言ってイドリオットは、馬車に乗り込んだ。

「行ってらっしゃい。」

 御者が馬に乗り役場に向かい出発した。

 馬車が見えなくなるまで見送ると、二人はすぐに家の中に入った。

「やっときたよ!」

「うん!」

 二人は輝いた目をしながら月刊魔法書を開いた。

 月刊魔法書はその名の通り、月に一度発行される魔法の雑誌である。この世界には、 火を起こすための呪文や水を出す呪文など、さまざまな種類の魔法が存在する。これらの魔法は、すべて詠唱を必要とする。しかし、その詠唱を間違えたり、発音が悪かったりするとうまく発動しない。そのため、すべての人は毎日練習し、上手く使えるようになる必要がある。

 そのために、様々な人が詠唱の練習方法やその効果などを詳しく書いてある本がほしいと思い、作られたのが月刊誌の魔法書だ。

 二人は、毎月楽しみして買っているのだった。

「ついに来たね。」とアオが

「ついに来た。」とガルが。

 二人は、毎月楽しみして買っているのだった。しかし今月号は特に楽しみにしていた。

「ついに!オールウィザードが!」

 二人同時に言った。

 オールウィザードとは年に一回読者の人気投票でこの国の人気魔法使いNo.1を決める月刊魔法書での中で最大のイベントであり。

「最も偉大な魔法使い」として選ばれたものに与えられる称号だ。

「すごいよね。誰になるかな。」

「今年はやっぱりあの人かな。」

「いつか会えるかなぁ。」

「いつか会えたらいいなぁ。」

 二人とも目をキラキラさせながら話す。月刊魔法書を読み始める前に興奮がどんどん増していく。

「僕たちも魔法使いになりたいね。」

 アオがいう。

「俺たちならなれる!」

 ガルが答える。

 二人ともとても楽しそうな表情をしている。

(おれ・ぼく)たちは」

「魔法使いになる!」

「そしていつかはオールウィザードに!」

二人の物語が今始まる!

―――あとがき―――

こんにちは。はじめましての方もそうでない方も 作者のえかゆなわです。

今回は第一話を読んでいただき本当にありがとうございました!これからもがんばっていきますので応援よろしくお願いします!! では、第二話でお会いしましょう。


アオとガルと魔法使い達の物語 ―二人の始まりの話―


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