クールな彼女に気づかない。
朝から少し時間が経ち、今は昼休みで尚弥と一緒に昼食をとっていた。
「そうだ夏希」
「ん?」
「最近"イルカ"の配信みてんの?」
「そりゃもちろん毎日欠かさず見まくってるさ。昨日はちょっと用事があって見れなかったけど…」
「おや珍しいイルカの大ファンなお前なら毎日見てると思ったけど」
「昨日はちょっと親の買い物の手伝いしてたら見れなかっただけでね」
「へぇ、まっ別にいいけど」
「なんだよそれ」
俺達が話しているのはYoaTubeという動画配信サイトで"イルカ"というとても覚えやすい名前で活動しているYoaTuberだ。普段は主にAPOXの配信を行っており界隈ではそこそこ有名な配信者だ。俺はそんなイルカのゲームプレイの上手さに感化され、今となっては完全に彼の虜になっている。
「まぁいいや、実はそのイルカがネットの間では[イルカ、実は女性配信者説]ってのが出回っててな」
「ふうん、まあ俺はイルカが女性でも男性でもどっちでもいいけどね」
「ハハッやっぱそうだよな」
俺がそう言うと尚弥がちょっと笑って肯定してきた。
そう、今皆が思っている通りイルカは男性なのか女性なのか誰も知らないのだ。その理由は至って単純、顔出しや声出しで配信を行ってないからだ。その為、今までネット上ではきっとイルカは男性だろうということで結論付けられていた。その理由も単純で普通に他のAPOX配信者の多くが男性だからだ。まあそんな理由で男性と決めつけるのはちょっとあれだけどうん、ネットっていうのはそういうものだよね。多分
そんなこともあり今までイルカはほぼ全員から男性だと思われていた。俺もその内の1人だけど…。せめて声だけは聞いてみたいと思っている。
「でも、なんで急にそんな説が浮上してきたの?」
「いやそれがな、実は夏希が見れなかった昨日の配信でちょっとした事件があってな」
「それってどんな?」
「それが俺も見てなかったからあまり分かんないけど少しだけ、ほんのちょっとだけ声をだしたらしいんだよ配信終了間際に」
「なっ、えっ!?なんて喋ったの!?」
「んーこれ喋ったのうちに入るかわからんけど誰かと話すように「分かった」ってだけ声が聞こえてその後すぐ配信が終わったらしい」
「まじか…なんで俺がちょうど見てない時にそんなことが…」
「だな、俺もちょっと後悔してる」
実は尚弥もイルカの隠れファンだった。
「まあでも、その声がネットによるとめちゃくちゃ可愛い女の子の声だったらしいんだよ」
「はへぇ、そうなんだ…」
「しかもおそらく高校生ではないかと言う考察もかなり上がってたぜ」
「もしかしたら同年代の可能性も…?」
「あるかもな」
「うーわお」
思わず少し古いネタで返してしまった。
さっきは別に男性でも女性でもどっちでもいいとは言ったけど、まあ俺達も健全な男子高校生だ さすがに異性となると反応せざるを得ないだろう。それもめちゃめちゃ可愛い声だとなると尚更だ。
「でもなんで声出しなんかしたんだろうね?」
「そこは分かってないけどおおよそ親によばれたかなんかじゃね?その時誤ってマイクのスイッチをオンにしちゃったとか」
「まあそれしか俺も浮かばないよ」
「んな」
うーん、まさか俺が見てない間にそんなことになっていたとは…まあ今更悔やんでも仕方ないから次の配信で声出し的な放送事故が起こることを願っとこうかな。
そんなこんなで話をしているうちに弁当も食べ終わり昼休みの終わり5分前を知らせるチャイムが鳴っていた。
しかし、夏希達がイルカについて話していたのを遠くの席から耳をピクピクさせながら聞いていた女子の事を夏希達は気づくはずもなかった。
今のところクールな彼女は紹介しかされてないけど多分次の話で出てくると思います!非常に拙い分ですがよろしくお願いします!




