お母さんが、落ちた!!
海!!
スニーカーを脱いで、裸足で砂浜を歩くと、砂がさらさらと浜辺を流れていった。
海に入ると、波がバシャバシャ、私の足と遊びに来てくれた。
この時は、翌日あんなことが起きるなんて思いもしなかった。
それは、GW中、私達が田舎の海辺に旅行に行ったときに起きた。
2日目、私とお母さんは、砂浜を馬に乗って散歩する予定で、乗馬クラブに行った。
宿の人が車で送ってくれたおかげで、早くついて、待っていたら、1頭の馬がヒヒーンヒヒーンという勢いで、柵の中を走りまわっているのが見えた。
私達は、別に乗馬経験があるわけじゃなくて、ビギナーコースみたいな1時間のコースに申し込んでいた。
走りまわっている馬は、かなりヤバそうで、この馬はやだなと思っていた。
時間になって、お姉さんが、これから乗るシャイニーとダンディですと2頭の馬を連れてきた。
シャイニーは、まさかの、あの馬だった。私はダンディのリードを渡されて、あー、ダンディで良かったと思って、つい、お母さんがシャイニーに乗ることまで気が回らなかった。
最初は、いきなり馬にまたがってくださいと言われ、胸の高さの足をかけるところまで必死に足をあげて、お姉さんに持ち上げてもらって、なんとかまたがった。
その直後、お姉さんが、
「ちょっと、何やってんの!?」と大きな声を出して、その次の瞬間、お母さんはシャイニーから落ちて仰向けにたおれていた。
びっくりした次の瞬間、今度は私が乗っていたダンディが、興奮したシャイニーに興奮して、広場へ駆け出した。私は必死に太モモでダンディの胴体を挟み、鞍のとってをおさえ駆け出したダンディにくっついた。
広場を半周したところで、やっとスタッフさんが来て、手綱引いて、手綱!と言われ、なんとかダンディから降りて、お母さんのところに駆けつけると、お母さんは、躁転していた!
スタッフのお姉さんに、「え、なんで落ちたんですか?また乗れますか?」と3回同じことを初めて聞くように繰り返していて、私が「お母さん!!今日は、もう馬は乗らないほうがいい!今、みっけねこに電話して来てもらうから!!」と言うと、凄く残念そうに頷いた。
みっけねこが来て、乗馬クラブのおじさんが、お母さんの様子を見ながら、病院に電話をかけ始めた。
結局、馬から落ちた時に頭を打ったショックで意識が飛んだということらしく、躁転ではなくて、頭に異常があるかは、打った直後では検査してもわからないから、家に帰って、頭痛が続いたら、近くの脳外科に行ってくださいということで、私達は、すごすご帰ることになった。
近くのバス停まで歩いて、バスが1時間後だったけど、どうせ帰るだけだからと日陰で待つことになって、みっけねこがあつ森というゲームを貸してくれたから、私は、ずっとゲームをしてた。
家につく頃には、お母さんは、ぐったりしていたけど、落ち着いてきて、状況が飲み込めるようになっていた。
「リードを引っ張る時に、まりあの馬はすんなりついて行ってたけど、シャイニーは、紐をガブガブっ、ガブガブっ、って噛んでて、お兄さんに言ったのに、大丈夫ですよって口からリード外して、でも、またガブガブ噛んでて、大丈夫なのかな?って、最初から不安だったんだよね」
「ダンディは、素直だったけど、鼻息がすごかった(笑)」
「足をかけるところをお兄さんが、引っ張って下げてくれたけど、足をかけて鞍の取手をつかんで跨がろうとしたら、鞍がズレて、ヤバいんじゃない?と思ったら、シャイニーが興奮して首を振ったから、ヤバいと思って、自分から足を外して落ちたんだよね。多分、お尻、背中、頭って順で打ったんだと思うんだけど」
お母さんは、そんな目にあったのに、今度は海辺は無理だけど、埼玉県にある乗馬クラブの体験に行こう!馬に乗りたいと言っている。
私にも、落ちた直後の混乱した状況で、「まりあが一人で乗馬体験してきてもいいよ」と、言っていたけど、混乱して躁転(だと私は思った)したお母さんをおいて、馬に乗りたいとは私は全く思わなかった。
幸い、お母さんは、頭痛も吐き気もなく、首が痛いと整形外科に行って、コルセットをして、首長族みたいになったけど、3日で首もほとんど痛くなくなって、明日また整形外科に行くらしいけど、とりあえず、大丈夫そう。
浜辺を馬で散歩のはずが、とんでもないことになったけど、とにかく、お母さんが無事で良かった。
あー、びっくりした!!