かなしいぼくの夢
かなしいぼくのおとうと
突然にいなくなった
まだ小さくて
あっけなく持ち上がって
かさかさと軽かった
かなしいぼくのおとうと
本当にいなくなった
もっと小さくなって
だらしなく垂れ下がって
ぶらぶらと揺れていた
手を引いたら
ぐにゃぐにゃ曲がって人形みたい
ずるずるとおとうとを引きずりながら
ぼくは帰り道を探した
あの夕暮れのまぶしさと
さびしさは覚えているのに
泣き声ひとつ立てないから
笑い声が思い出せない
かなしいぼくのおとうと
最初からいなかった
さよなら、ぼくのおとうと
かなしいぼくのおとうと