1話 平凡人
俺の名前は平田 凡—————その名の通り平凡人だ。
なぜ親はこんな名前を付けたのかというと、ただただ平凡に生きて欲しいとのことだった。
普通レベルの高校と言われている平坦高校の普通科に通い、ごくごく平凡な毎日を過ごしている高校2年生だ。
得意教科は、世界史・・・特に人物の名前とかを覚えることだ。
この世界史は俺にとって唯一の得意なことだ。
こんな俺にも、友達と呼べる存在はもちろんいる。
そんな友達のみんなからは、「へいぼん」・「ひらぼん」・「ぼん」の3種類で呼ばれている。
今のところ、俺自身の紹介はざっとこんな感じだ。
*
—————『ブゥーー、ブゥーー、ブゥーー』
俺の部屋の中でスマホのアラーム音が鳴り、不快な振動までもが脳まで響き渡る。
このアラームに対して、まるで母さんに応えるかのように「あと5分だけでいいから寝かせてくれ。」と返事をする。
だが、この機械は俺の必死の訴えを無視し続け、ひたすらに騒音を奏で振動までも与えてくる。
そんなこんなで、7~8分経ったところで、俺の部屋の扉を開ける音が聞こえてきて、
「こーらー、早く起きないと遅刻するぞ、凡」
今、俺に話しかけている、この男性は俺の兄である————平田 賢秀である。
賢兄は、4つ年が違う大学3年生で、何でもできて、その上、人にとてつもなく優しい。ちなみにだが、その優しさのおかげか、大学では、とてつもなくモテているとか。
「わかった、すぐ起きるからあと2分待ってて」
「ほんとにあと2分だからな?」
「う、うん、、多分、おそらく、十中八九、、、。」
「早く起きないと、確か今日はテストとか言ってなかったか?」
「あ、やべ、、思い出したくないもん思い出した」
このようなたわいもない会話をした後、俺は少しばかり二度寝をした後、身支度を済ませてリビングに向かった。
リビングにつくと、、
「あら、凡、おはよー」
と料理をしながらでも、落ち着きのあるおっとりした声が聞こえた。
この女性は俺を生んでくれた母————平田 恵である。
母さんは、俺が生まれてすぐに亡くなってしまった父さんである平田 学の代わりに、女手一つで俺たちを支えてくれている存在である。
「おはよー、母さん、それに賢兄も」
「おはよーー、ってあまりにも起きてこないからもう1回起こしに行くとこだったよ。」
「ごめん、賢兄、俺は早起きが一番苦手なんだ。」
「いや、そんなことぐらいは、ずいぶん昔から知ってるんだけど....」
「ならよかったー、、ってか、母さん?今日の朝ごはんってなにー?」
「今日の朝はねーー、凡が一番大好きなスクランブルエッグとパンよ!」
「よっしゃ!これでテスト乗り越えられる!」
こうして、朝食を食べた俺たちは、それぞれ学校へ向かった。