第四章 起承転結の結。主人公、ヒロインを守るために切れるの図。・その9
「由紀乃、行くぞ」
「あ、う、うんうん。じゃ、行くよ春奈」
「うん。――ビックリした」
「あたしもだよ。それからおばさん、いまの佐田、ずいぶん怒ってたけど、ぶっちゃけあたしも同じ意見だから。あたしもマンガが好きだって言ったら馬鹿にする奴がいたから気持ちわかるんだよ。よく知りもしないで相手を認めない奴なんて下痢便だして死ねばいいんだ」
「そうそう、下痢便だして死ね。ベーだ」
すごい捨て台詞を残して、俺と由紀乃、春奈は静流の家をでた。視界のすみでちらっと見ると、あたふたした顔で日沢も静流の家からでてくる。ま、そうなって当然だろう。
「去年、あたしを助けてくれたときみたいだった。ちょっと怖かったけど、格好良かったよ、スーパーサイヤ人」
バス停まで歩く途中、由紀乃が声をかけてきた。
「そんなんじゃねえよ。好きなもの馬鹿にされてちょっと切れただけだ」
「あたしも驚いた。佐田さんみたいに大きい人って、ああいう怒り方はしないって思ってたから」
春奈も言ってきた。気持ちはわかる。俺も頭をかいた。
「俺も、そんなふうに言われたくないから、ただの文学少年でいたかったんだけどな。俺が怒ると、みんな怖がるし。久しぶりにやっちまったよ」
身長195センチ、体重97キロの俺が怒鳴りつけたら、ほとんどの人間は威圧を感じる。というか、そもそもが喧嘩にならない。この体格のおかげで、ラグビー部や柔道部の勧誘も昔からあった。俺自身は、本当に、普通の高校生でいたかったんだが。
「とにかく、これで静流の家には出入り禁止だろう」
「明日からどうするんだよ?」
「静流がおばさんを説得できるかどうかで結果が決まると思う――?」
由紀乃との会話を中断し、俺はポケットからスマホをだした。静流からである。メールじゃない。
「もしもし」
『あ、佐田師匠、さっきはありがとうございました』
いきなり静流が礼を言ってきた。
「いや、あの、あれは、俺も、ちょっとやりすぎて」
『それがですね、お母さん、佐田師匠に謝りたいって』
「は?」
『言い方は乱暴だったけど、職業に貴賤がないっていう意見は正しかった。けがらわしいなんて言ってしまったのは間違いだった、だそうです。明日から、またきてくれてもかまわないって』
「あ、そうなんだ」
「へェ。ま、言ってることは正論だったからね。静流のおばさんも大人じゃん」
俺の横で耳を澄ませていた静流がつぶやいた。
『あ、それから、下痢便のお姉さんと妹さんはこなくて結構だって言ってました』
「え! なんだよそれ。大人げねーなー」
「そりゃあたりまえだろうが」
ふてくされる由希乃に俺はあきれ果てた。
本日のおさらい。
・「敵も、ただ悪い奴じゃなくて、何か考えがあって、話を聞いたら、こいつの気持ちもわからなくはないな、というキャラにしてください」(出版社M)
・エスパー漫画は『イヤボーンの法則』で動いている」(サルでも描けるまんが教室)
・「設定の説明は簡潔に」(出版社M、その他。要約)




