02
「えっと、、あの、、」
「おはよう御座います。」
「あ、おはようございます、、」
挨拶されたから、つい返しちゃったよ。
さすが社畜だわぁ。
なんて現実逃避をしながら目の前の男に目を合わす。
艶のあるシワひとつない黒いスーツに黒いネクタイ、
きっちり七三に分けられた黒い髪に黒い瞳。なんとも黒ずくしのイケメンが微笑んでこちらを見ている。
「やっとお返事いただけました。よかった、私が見えておられないのかと思いました。」
「え、なんかごめん。ちょっと意味がわかんなくて、、てかお前なんなの?」
状況が把握できていない俺はとりあえず男について聞くことにした。
「申し訳ございません。自己紹介が遅れました。わたくし株式会社 葬儀屋本舗からご依頼を受けてまいりました大納言と申します。周りからはつぶあんくんと呼ばれております。どうぞお好きなようにお呼びください。」
「……はぁ、」
もちろん俺は困惑顔。確実にボケにいってるよな、大納言って?つぶあんって?ツッコミ待ち?ムリムリ初対面でこれはムリだろ。だいたい俺ツッコミ属性じゃねーし。
そんな様子を察して男はニコニコしながら訂正を入れた。
「おや、すみません。緊張しておられる様子だったのでちょっとしたジョークを入れてみたのですが、逆に困らせてしまったみたいですね。本当のあだ名は大ちゃんです。つぶあんくんなんてそんなダサいあだ名嫌ですよねぇ。」
意味のわからないノリにさらに困る俺。そもそもあだ名の問題じゃない。そう思いながら男の方をじっと見つめていると男はさらに続けた。
「私だいちゃんがこの1ヶ月間あなた様の身の回りのお世話からあらゆるお願い事までなんでもお手伝いいたします。何でもお申し付けくださいませ。」
そう言って男は綺麗な礼をとって頭をさげた。