01
「ねぇ、母ちゃんお空みて!流れ星だぁ。あ、またいたっ!ねぇ母ちゃんみたみた?!」
買い物帰りのいつもの道端。
ちっちゃな男の子と大きな母さん。
母さんは手を繋いで夜空をみていた。
見上げると濃紺の空に無数の星星。その端っこには微妙に欠けたお月様。
「綺麗ね。ねぇレイ君。いいこと教えてあげるわ。あのね流れ星が消えるまでに3回お願い事をすると叶うんだって。」
「ほんとに?!じゃあ、レイ君もお願い事する!」
「あ!えーっと、えーっと僕が大き…ああ!!消えちゃった」
流れ落ちる星を指差しお願い事をしようとする男の子を嘲笑うかのごとく消え失せた星。
落ち込む姿をみて母さんは微笑んだ。
「ふふっ落ち込まないで、今日はたくさんお星さまが降るんだって。チャンスはたくさんあるわ。でも一瞬で三回も言うのはお母さんでも難しいわ。それだけお願いが叶うってゆーのは難しいことなのよ。」
「えー、そんなことないよ!だって僕がラジコン欲しいって母ちゃんにお願いしたらすぐ買ってくれたじゃん。お願いすぐ叶ってんじゃん」
「ふふっ、それは願い事のように見えて願い事じゃないのよ」
「何が違うのさ!わかんない!」
「まぁまぁ。ちょっと難しいことを言うとね、人は叶えられないことは無像にするの。叶えられそうなことは有象にするの。レイ君はお星さまになんてお願いした?」
流れては消えてゆく流星群の下、2つの有機質はしっとり優しさを含んで男の子を見つめた。
ピピピッピピピッーーーーーー
無機質な音が遠くから聞こえ俺は目をこじ開けた。
気だるい身体を起こし欠伸を一つ。
横を見ると知らない男が立っていた。
「お早う御座います。」
俺はもう一度布団をかぶり寝る、、、寝れねぇ。布団越しにちらりと横を見るとやはり男が立っていた。そりゃもう天女もビックリな朗らかな笑みを携えて。
「お早う御座います。」
………誰やねーん。
声かける勇気も出ねぇよ、怖ぇ。
昨日は珍しく定時にあがって直帰。冷蔵庫にあった冷や飯と漬け物に缶ビールを2本。あと風呂にはいって寝た、はず。
思い返しても誰も招き入れてはいない。そもそも俺の部屋に人を呼んだことは一度もない。
じゃあ、あいつは、、、?
もしかしてあれですか、少年漫画とかでよくある起きたら超能力者になっていて普段見えないものがみえるようになったとか、そーゆーあれですか。
無理無理無理無理無理。受け入れらんねぇよ、四十を越えたおじさんが?
最近育毛剤付けはじめたおじさんが?主人公とかマジ笑えねぇから、、
「お早う御座います。」
マジ笑えねぇからぁぁあ!