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友達から聞いた、生まれる前の話。

作者: おこげ依存症

 壁も床も、天井さえも真っ白に塗り上げられた部屋があった。


 部屋の広さが曖昧になる、そんな風の部屋だ。この部屋には壁や天井など、実はないのかもしれない。

 部屋には5つのクローゼットと5人の人間がいた。クローゼットの前に1人立つ。クローゼットは全て同じ型、同じ色でそれぞれの間隔は均等だ。クローゼットの中には何かがある。皆、わかっていた。

 5人が同じタイミング、同じ所作で扉を開ける。4人の開けたクローゼットは各々を巻き込み爆発した。順番や個人は問題ではない。


 残った1人は自らを成功者だと思い込む。少しの間、余韻に浸り、空のクローゼットに入る。クローゼットの扉を閉めると、あることに気がつく。中に入ってみると、暗くて狭くて窮屈だと。

 苦しい、苦しい。扉を押し開けよう。1人は思う。私は成功者なのだから、何もここにいることはないのだと。

 しかし、扉は開かない。外に出ることは許されない。


 ここで悟る。いずれここからは出られる。だが、もうあの部屋には戻れない。次にクローゼットから出るならば、出た先には少し広いだけの牢獄が待っているのだと。運が良ければクローゼットの中で解放される。しかしその頃には、この記憶すらないのだろう。1人は静かに目を閉じた。

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