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孤独な私の最期


突然の腹痛に襲われたのは6年目に入る頃だった。


お腹に刺さるような痛みを感じ寝込んでいたが、日が経つにつれて吐血や下痢を垂れ流してしまう。


治らない。


私は直感で感じ、死という言葉が頭を過る。



イヤだ。

死にたくない。



頭の中でそう呟き続けるが血は止まることはなかった。


衰弱する体力は経った5日で限界を迎えた。


部屋中が汚物と血塗れになり、私は動けない体をベッドに乗せて横たわっていた。

動けない。


もうどこにも救いがない。


私はそう思って最後の力を使って持っていたペンで遺言を書いた。


誰も読まない遺言を。


--------------------------------------------------------------



遺言を書き終え、安心したのも束の間血を吐く。

体力はもう残っていない。

おそらく数分の命だろう。

朦朧とする意識の中でこんな事が起きなかった時の自分を想像する。


大学を卒業して地元の企業に勤め、そこで知り合った人と結婚して子供が生まれて、そこで円満な生活を送る。


いまではこのようなのは夢物語だが、それこそ現実染みた夢だ。

現実で起きている悪夢を見るより幾ばくかマシだ。


だんだんと意識が薄れていく。

死は確実だ。


けれど私は恐怖よりも安心感があった。

ようやく両親に会える。

友達にも親戚にも会える。

死んでしまったみんなに会える。


そう思えたら自分はよく頑張って生きた方だ。

孤独で過ごした5年間は無駄ではなかった。


スーッと、透明な光が私の目の前に見え始めた。


あぁこれが死か……。


ゆっくり瞼を閉じる。さっきまでの苦痛が嘘のようになくなり身体が軽くなっていくのが分かる。


そして…………。



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