表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/45

掃討作戦 9 「フライト」

 


 ご機嫌麗しゅう。フライトです。


 ミシアンの遣い。隊長の一人、クロエについてのご報告をさせて頂きたく参りました。

 えぇ、あの漂流者です。今一度、最初から順を追ってお話を。


 まず最初に彼の者を見つけたのは、長らく我々のねぐらとしているここ、ミザース・アルメリアの迷宮。その現時点で確認できている範囲の最下層となります。

 腕自慢の冒険者達が攻略に乗り出したと聞いた私は、漁夫の利を狙ってその者達を探しておりました。結果的に情報は間違っており、冒険者「は」いませんでした。

 代わりと言ってはなんですが、そこに居たのがクロエと名乗った者だったのです。

 彼奴は単独で居たらしく、そして運悪くモンスターの群れと遭遇しておりまして。

 なんの収穫も無いのは御免ですので、何か得る者は無いものかと息を潜めておりましたが・・・。

 不思議なことに奴はいくら傷を負ってもたちどころに回復し、無残に食いちぎられながらも群れを全て倒してしまったのです。

 えぇ、漂流者の英雄足り得る所以ですね。なんでもその体は魔力によって生成されるとか・・・。話が逸れてはいけませんね。

 ともあれその後気を失ったようですので、連れて帰ってみたのが半年程前の出来事となっております。


 その後はお頭様もご存じの通り、彼奴は期待以上の働きを見せてくれています。

 一体何がその心をあそこまで絶望させたのか、いつもいつも苛々していますよ。

 悪い事をして気を紛らわせれば良いかも、と言ったのが本当に効くとは。・・・傑作ですね、いひっ。・・・失礼。


 本当に良く働いてくれました。花丸を上げたいくらいです。意味ないですがね。


 しかし、少し気になる事が起きまして・・・。そうです。一週間ほど前でしょうか、彼奴が無断で隊を動かしたのですよ。

 しかもその先にはあのロスアレスの隊が。王女の親衛隊ですよ。現在の目標である姫様の、ね。

 ここで起きたのがなんとも珍妙な、クロエと同じ顔を持つ男との出会いだったのです。なにやら移送されている途中の様でしたがね。大方、クロエと間違えられて捕らえられた、といったところでしょうか。

 まったく冒険者とは数奇な運命を辿るのが決まっているのでしょうかねぇ。自分と同じ顔だなんて、鏡ですら見るのも嫌ですのに・・・。いやこちらの話です。不細工なもんで、私。


 そして、昨日ですね。クロエが単独で王都に赴いた時のお話です。

 その同じ顔の男。レンと言うのですがね、そのレンとクロエが会っていたのですよ。なにやら込み入った事情があるようで・・・。殺す殺さないの話をしていましたよ。

 まあ私どもには関係なさそうなんですがね。

 そのレンを斬ったところでクロエは去っていきました。


 それからクロエはこちらに戻ってきておりません。そのレンを殺すつもりなのでしょう。

 えぇ、バッサリ切られたのに息があったようなんですよ。恐らくそいつも冒険者かと・・・。連れの少女も姿かたちに似合わずやばげな雰囲気を持っていましたしね。


 えぇ、それでですね。私はそれを手助けしたいなぁ~なんて思いまして。クロエは戦力になりますしね。

 で、レンとやらの後をつけたわけですよ。少女の扱う魔法で兵舎に運ばれたレンが起きたころ、あ、かなり時間かかりましたよ?私一睡もしてないのでしんどいです。

 なにやら親しげな少女がおりましてね。どうやら軍に関係の無さそうなもう一人の少女も確認できております。

 そう。そうですよ、お頭様。流石、良くわかってらっしゃる。


 えぇ、どちらも極上の美少女で・・・。特に猫族の少女なんかはもう・・・。おっと涎が・・・。失礼しました。


 はい。承知致しました。仰せのままに・・・。

 では、少し休ませて頂きたいので、これで失礼致します・・・。




 ふぅ・・・。・・・疲れました。


 じゃ、とりあえずこことはおさらばする事にしましょう。もうここも終わりですしねぇ。


 また新しい面白い事を探さないと・・・。けれど、最後に一番面白い事が起こりそうな気がします・・・。あぁ、楽しみだなぁ。











 そして小男は迷宮を去る。入れ違いに王女親衛隊が迷宮に突入した。


 その迷宮は、ある女神の名を冠したものだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ