透ける人
思いつきを書きなぐり、眠らせるのもアレなので取りあえず乗せます。
俺の名前は八夜一平、俺の頭の中にはスイッチがある。
何言ってるんだコイツ? と思うかもしれないが別に本当に頭の中にスイッチがある訳じゃないぞ?
比喩表現な? まあ兎も角だ。
俺の頭の中にはスイッチがある、周りから認識されるスイッチ。
俺は周りから影が薄いと言われてる。友人と行動してても店に入ると俺だけお冷無かったりな。
そんな俺だがスイッチを入れると周りから認識される。だから友人の後ろに立って行き成りスイッチ入れるとかなりビックリされる。
ささやかな俺の楽しみさ。
元々人とのやり取りがあまり上手くないから自分のこの性質は割りと気に入ってる。
『仕事したくねーなー』なんて日はスイッチを切ってれば最低限の仕事しかやらないで済むからな。
で、俺がなんでこんな事を話してるかっていうとだ。
つい今朝だが、ある事が起こったのさ。
何時も通りに起きて目を覚ます為にシャワーを浴びる。
朝食を取って『ああ、面倒だな~』なんて思いながら電車に乗る訳よ。
朝のラッシュ、まあ東京程じゃないが人もそこそこ乗ってるんだわ。で、ココが何時もと違った。
俺ってば何時も電車に乗るときはスイッチを入れて電車に乗ってる。
じゃないと足踏まれたりするから大変なのよ、ヒールとかで踏まれるとかなり痛いんだぜ? まあソレはいいとして。
今日は偶々スイッチを入れるのを忘れてた。
だが誰にも足を踏まれなかった。
だから気が付かなかった。
んで、偶々目の前の人が途中の駅で降りたからよ? 当然座るわ。
何時もの電車、何時もの通勤経路。普段と何も変わらない風景。
だけど俺が座ったら俺の横に立ってた20代位のねーちゃんが座ろうとしてくるのよ。俺が座ってるのにだぜ?!
んで、俺は『しまった!!』って思ったね。
普通の女性が電車の中で見ず知らずの男の膝の上に座ろうなんてしないだろ?
だから俺は『スイッチを入れてない』事にこの時になってやっと分かったのさ。
あ? だからどうしたって?
肝心なのはここからさ!!
でな、俺が軽くパニックになってるのもお構いなし。そのねーちゃんはとうとう座っちまったのさ。
・・・・・・あ? ラッキースケベ?
いやいや、所がどっこい。そうじゃねえ。
確かに俺の膝の上に若いねーちゃんが座ったら、そりゃラッキースケベになるさ。でもな? その女が座ったのは『俺と同じ場所』だったんだよ。
意味が分からないって? そうさな、分かりやすく言うと『重なった』のよ。
いや、ビックリしたね。
だって座ってたら女性が俺に腰掛けてきて、やばい!って思ったら次の瞬間には俺と同じ場所に女性が座ってるんだからよ。
益々意味が分からない? んー何て言ったらいいんだろうな。
不思議な感覚でよ。俺自身がその女の人になった様な・・・・・・説明が難しいな。
兎も角、今日俺は普通じゃ無い体験をしたって・・・・・・おい、何だよその目は。
あ? いや、待て待て!!
別に女装に目覚めたとかホモとかじゃねーよ!
あーもう! いいよ!
・・・・・・そう言うんじゃないだって・・・・・・、はあ。
何ていうか・・・・・・そうだな。
ほら、サイコメトラーってあるだろ? 物から記憶とか読み取るっつー奴。
アレの人間版? 何というか曖昧な感じじゃなくて完璧にそいつの考え方? 思考? が読めるというか。
ん? あー、悪用ねぇ・・・・・・いや、別に悪用する必要無くね? そもそも悪用ってどんなのよ。
暗証番号? あー分かるな。うん、銀行のパスワードも・・・・・・うん、分かる。
いやいや、どっちにしろソレやろうとしたら泥棒じゃんか!やらねーよ!!
まったく、こちとら必死に生きてるのにそんな真似するわけがねーだろうが。
いくら俺が変な奴でもまっとうに生きてるっつーの。
お前等みたいに終わってねーんだよ!!
あ、コラ!! 書類飛ばすのヤメロ!
あー! 馬鹿馬鹿!! パソコンの電源もヤメレ!!
ったく! 片付けるの俺なんだぞ畜生・・・・・・。
うん? 時間はあるだろうって?
あのな、幾ら何でも仕事には納期があるだろうが。
問題起こして解雇とか洒落にならんっつーの。
ホレホレ、後でちゃんと供え物してやるから散った散った。
・・・・・・さて、アイツ等も行った事だし今日の仕事をしますかね。
八夜一平、30歳独身。
特技は二つ。
1つ、存在感を消すと物を通り抜け、その状態で人に重なるとその人の思考や記憶が読み取れる事。
2つ、幽霊と呼ばれるモノが見え、会話をし、触ることが出来る事。
この話は八夜一平が様々な事件を解決していくお話・・・・・。
つづく