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悪魔な俺とゾンビな嫁の子育て日誌  作者: ぐでんぐでん
幼年期まで 開拓地
7/28

ゴー イースト

 俺は自制心を試されていた。


「わぁ~これかわいい」

「ダメ」

「これは?」

「ダメ」


 かわいいルルのお願いだけど金に余裕がそうあるわけでもない。

俺たちは準備のために服屋に来ていた。

不要だと思うのだが俺の服を買って、ルルの服を買って、次に赤ちゃん用の子供服で今に至る。

やわらか素材でかわいいのはいいのだが、高いんだこれが。


「なぁ、ルル。糸と機織り機があったら作れるか? これ」


こくんと頷いたので、機織り機と糸をつむぐ紬車を買うことにした。

ちっこい服1枚で機織り機が2台買えるってどうよ。


 ベビー服やら子供服の裁断の仕方やら縫い方、デザインとか一生懸命見ているルルに付き合いきれず、本国から年話で送られてくる情報を載せた新聞なるものを読んでいたらあっという間に約束の時間になってしまった。


「こちらです、トムさん」


 俺たちが店に入って行くと奥のテーブルからメアリーさんの声が掛かった。

開拓地が隣同士なので現地まで一緒に行こうと自然な流れで昨日のうちに同意が出来上がっていた。

お互い今日の昼には出発できるので食事でもしながら打ち合わせをということにしたのだった。


 ちょっときざっぽい男と顔に痣がある若い女の夫婦、実直そうな男と美人ではないが快活な女の若夫婦がそれぞれの赤ちゃんを連れて話し込んでいる、俺たちをほかの客たちからはそう見える。

しかし俺の目やルルの目にはその若夫婦が炎の王子様と氷の王女様に見える。

二人がつけている認識誤認の腕輪のせいだ。

開拓局の職員にも認識誤認の腕輪など通じるはずもなく、帳簿には水属性の貴族と火属性の貴族と載せてあるのだが、俺の感覚はそれも違うと訴える。

どんな仕組みかわからないが、闇属性の気配が1つしかない。

悪魔の俺にも心を読ませないとは大した術士だが、実際に殴り合うなら俺の敵ではないだろう。

ただ本国からの新聞が彼らの、いや彼女の正体を語っていた。

闇の神殿から聖女レイチェリーナの失踪。

そして二人の子だというレオの目も髪も黒い。

ルルといい彼女といい聖女様たちがご懐妊とは何が起こってるんだろうな。

魔王の出現に対して勇者が地上に遣わされたとか。

俺魔王じゃないぜ、悪魔だけどな。

男爵級だとあいつが言ってた。


 話し合いはむらむらっと湧き起こる俺のおせっかいが主導して、2家族の境界にそれぞれの家を建てて協力して開拓することになった。

たぶん俺一人が右往左往することになるんだろうな、それでもいいけど。

ついでにこの場の勘定も俺が持った、男だからな。


 そして俺たちは2頭のロバにそれぞれの赤ん坊と母親を乗せて町を出て東へ向かう。

予定では4日後に現地に着く。





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