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悪魔な俺とゾンビな嫁の子育て日誌  作者: ぐでんぐでん
幼年期まで 開拓地
4/28

俺ってなかなかいい男

 赤ん坊をだっこしたソンビルルがいきなり叫ぶ。


「体に戻れましたぁ」

「よかったね」

「それだけですか?」

「ああ、よかったよかった」


 ゾンビと幽霊が一体化したのはすぐに感じた。

一応驚いたが、それよりもここの情報を集めるほうが先だ。

もちろん地上へ出ると同時に生命反応と魔力反応は探っている。

そして威圧。

探査にかかった少し大きめの魔物が二体、ここから急速に逃げていく。

他には小さいのが五体、これはその場でショック死したみたいだ。

小さいのは食事の材料にもならない。

安全確保完了。


 木の枝の張り方などから見てあっちが北、体に内蔵されてるらしいコンパスとも合う。

必ずしも北半球にいるとは限らないからな。

太陽は地平からすぐ上あちらが東。

今朝ということだ。

植生はやや広葉樹が混じった針葉樹林、結構緯度が高くってそんなに気温が低くないから初夏かもしれない。

おかげで赤ん坊をあまり気に掛けることもないが、包んでやる布など至急調達する必要がある。

ゾンビルルの服も、縦に引き裂かれたままだし。

俺は夏も冬もずっと裸で通していた。

このしなやかで丈夫な皮膚は炎も氷の刃も受け付けない、悪魔だから。

鏡を見たことがないのだが、多分俺はドラゴノイド的な容貌をしてるのだろう。

ちなみに身長はゾンビルルの2倍ある。


「あ~」


 赤ん坊が起きたようだ。

さっそくルルの胸にしゃぶりつく。

むき出しだからな。


さてと、俺はおもむろにルルの左手首をとって、そのまま指を口の中に、コリッ。


「あ、あ、あ、あたしの指食べた~!」

うまくはなかったぞ。

「そんな大声出すなよ、痛くないだろ」

ゾンビだからな。

「ほんとだ」

嘘はつかない。

「すぐ生やしてやる。ほれ」

簡単だからな。

「もとにもどったけど、あたしの指食べた~!」


「指ぐらいでうるさいな、ちょっと遺伝情報もらっただけだろ」

「何それ?」

「わからなくていい、今見せてやるから」


 ふっ、力を入れると、筋肉が盛り上がり。

ギシギシ、骨格がきしむ。


「あ、あ、あ、あたしになった~」

「だからコピーしたんだよ、あ、コピーってわからんか、とにかく黙ってろ」


 ふっ、力を入れると、筋肉が盛り上がり。

ギシギシ、骨格がきしむ。

これで、なかなかのいい男。

おい、いきなり体隠してんじゃねぇ。


「あ、あ、あ、服着てる~」

「驚くのはそこかい。これは自前の皮膚で服着てるんじゃねぇ」

「あ、あ、あ」

「変な声出すからちびすけが真似してるだろう」


 赤ん坊が俺のほうを見てにこにこしながら手を振って、掴もうとするような仕草をしている。

なかなかかわいいやつだ。


「あ、あ、あ」


 そうか遊んでほしいか、ぷにぷに。

だがしかし、たかいたかい。

俺は行かねばならんの、いないいない。

だ、ばぁ。


「お前の着る物を探してくる、2時間ほどここで待ってろ」


 俺は背中の羽を広げた。

ここから25キロほど東、人間の住む村がある





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