仲良くお食事
ルルフェリーナ、長いからルルでいいか、ルルは閉鎖的な環境で育ったためかこの世界の知識があまりなかった。
ただ俺を異世界から呼び出したあの男のように普通に魔法が存在する世界だと分かった。
しかしここがどこか、などのほしい情報が全くない。
あの男、情報を引き出してから殺せば良かった。
あの男はここに儀式のためだけに転移してきたらしく、情報を得られるようなものは何も残していなかった。
ここははるか昔に作られた神殿跡らしいが、俺を呼び出すのにも使えたあたりどうも邪な神をまつっていたようではある。
あちらこちらに散らばる神像らしきものに醜い角や牙があるのがそれを証明している。
そして今俺たちがいるこの部屋は上へ伸ばした俺の感覚では地下50メートルくらい、そんなに深くない。
ただ幾つかの生命反応がうろうろしている。
俺にはおなじみの低級魔族ども、つまりうまそうな、エサたちだった。
「キャー、やめてー!」
「バンシーか、お前は」
後ろで騒ぎまくる透明女に突っ込みを入れて小さい人型の鬼をつぶす。
素手で叩き潰してんだからぶっ散らばるのは仕方ねえだろう。
そのたびにいちいち悲鳴を上げるなよ、まったく。
「ルルと赤ん坊を少しは見習え。どうだ静かでおりこうさんだろう」
「ゾンビってしゃべれなくて当然じゃない」
「じゃぁ、こっちは」
「お腹がいっぱいで寝てるだけじゃないの」
「そういえば……」
俺は軽く殴って小鬼の意識だけ刈り取り……。
「そうすればいいのよ」
「ほれ」
動かない小鬼をゾンビルルに投げてやる。
「やめてーーーーっ、なにさせるのよー!」
「喰わなければ出すもん出せないだろうが。美味いんだぞ、あれ」
無表情で小鬼をかじるゾンビルル。
半泣きでおたおたする透明ルル。
「お願いだからやめてよ~私」
「なんだそれ、自分自身だろ?」
「あなたが動かしてるんでしょ?」
「ほれ、違う違うって首振ってるぞ」
「もうっ」
そんな感じで地上に出たら、外はいいお天気。
「おいっ!」
日の光を浴びて透明ルルが消えた。