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悪魔な俺とゾンビな嫁の子育て日誌  作者: ぐでんぐでん
幼年期まで 開拓地
25/28

銀貨1枚大戦争

 結婚式の後は新婚旅行、などと旅行などできるはずもなくその代わりこのパーエステンドの町で2泊することになった。

辺境の町で娯楽施設は何もないが、それでも働かないで宿でぐうたらなんて非常に贅沢なこと。

それでもやっぱりしなければならない開拓地受領の手続きは先に済ませましょう、なんて働き者? のリルが言うので俺は一人で開拓管理局の支局へ。

はい、もう働けと尻を叩かれている俺であった。

情けない。

俺って悪魔……関係ないか。


 教会で説教……叱られてるんじゃないぞ……を受けているリルたちを残して俺は開拓管理局へ。

悪魔の耳に説教なんてことわざは無いがあってもおかしくはない。

受け付けのおばちゃんに俺たちが開拓する土地の地図と権利書を受け取りながらそんなくだらないことを考えつつ近くにいる人間の心を探る。

俺は悪魔だから他人とプライバシーなんぞ考慮する必要を認めない。

そもそもここは敵地だしな。


 管理局の別室では俺が引き出物として配った飴を幹部たちが囲んでいた。

大部分は鏡の中から見てるでけだけれど。


「製造年月日と発売店が書かれておりますのでこれは間違いなく二日前に本国で作られたものです」


 飴なんてそうそう腐ったりカビたりしないが俺はわざわざできるだけ新しいと分かる物を本国まで転移して買いに行ったんだ。


「侵攻計画は根本的に見直すことになります」


 コロン・ダ・ガマは本国の貴族に新天地があることを教えた。

その地などすぐに武力で制圧してしまえそうだがいかんせん本国との間に大洋が有り、しかも海流の関係でほぼ一方通行。

さすがに船に軍隊を乗せることを彼らは選択しなかった。

それよりも本国から逃げ出した奴らの土地などだまし取ってしまえ。

もともと貴族なんて言うのは下から搾取して生きている。

それも奴らが気づかないように。

なんて悪巧みをしている所に俺の様な想定外のバグが出現して困っているらしい。

ざまぁ。


 本国の新大陸侵略計画は単純だが実によくできていた。

開拓地をもらったモノは4年後から銀貨一枚を開拓管理局に納めねばならない。

安くもないがどうってことない金額。

だがその一枚の銀貨が払えなければ開拓地は取り上げられてしまう。

そのように契約した。

みんな余裕で払えると思っているから。

しかしこの社会から銀貨がなくなればどうだろう?

この閉鎖された新大陸で一番金銭の出入りが多い開拓管理局は銀貨を受け取るが支払いには使わない。

銀貨は今有るものか本国から持ってくるしかない。

本国からの船に銀貨を乗せなければ市場から銀貨は消えるのだ。

今は金貨1枚で銀貨20枚になる。

同じように銀貨1枚で銅貨20枚になる。

地球と違うのはそれ以下の小額が紙幣になっている。

金属が貴重なのと、透かしなどなくて印刷などの技術が低いためだ。

紙は大量に有って安い。

今のところ金貨1枚あれば20年は大丈夫とか誰もが信じている。

銅貨を壺にため込んでいても大丈夫だと信じている。

だけど支払わなければならないのは銀貨だけ。

そう、今多少銀貨を持っていてもいずれは土地を取り上げられるのだ。

毎年払わねばならないからな。


 もちろん一気にこんなことをやると暴動が起きるかもしれない。

だから開拓地間の移動料金を高くしてひそかに地区ごとに孤立させて搾取するつもりだった。

移動に必要な飛行船の料金は今も銀貨支払で18枚。

銀貨1枚納められない人間がどうやって乗れるんだ。


 取り上げた土地は競売に出される。

ここでも使用されるのは銀貨だけ。

競り落として買えるのは管理局関係者で支払われた銀貨はまた監理局に戻るだけ。

侵略するのに軍隊もいらないし宗教で洗脳する手間もかからない。

実に簡単にロ-コストで行える完璧な計画だった。

自由に本国と往復して銀貨を両替できる俺が居なければだ。


 だから俺に刺客が来る。

たった一匹の悪魔が邪魔なだけ。

おれとしては当然邪魔してやるさぁ。

だってこの先リルやまたその子供たちがここで暮らすんだぞ!

どうも開拓以外に余計な仕事ができたようだ。

父ちゃん命がけでがんばります、悪魔って怒ると怖いんだぞ。

 


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