影を繰る
天気は快晴、ホゲラもほげぇ~と調子がいい。
えっとショコラだっけかな。
まあぁどっちでもいいだろう。
昨日のバンジージャンプが前科となって今日はリルを抱かせてもらえない。
暇だしつまらないから籠の屋上に影でハンモッグを作って昼寝としゃれ込む。
晴れた日に外で昼寝する悪魔って俺ぐらいのもんだろうな。
時々人差し指だけを誰にも見えないように伸ばして指鉄砲。
音を出さずにパン
効果音でドキューンと鳴らせるのだが気分が乗らない。
寝ていても遥か彼方で翼竜が頭に小さな穴をあけて落ちていくのが見える。
余りにも遠いので翼竜の魔素がとれない。
威圧して追い払えばもっと楽なのだががそんなことをするとリルが怯える。
まったくめんどくせぇ~。
もう一つめんどくせぇ予感。
腕輪の力でまたおっさんモードになったジョンさんが俺に話しかけようと近づいてきてまた戻るを繰り返している。
どうしました? の一言を掛ければいいのだろうがめんどくさい。
俺が起きているのがわかっていてもこの体勢だと話しかけづらいのだろう、ジョンさんは諦めて下へ降りて行った。
わざわざ闇魔術のうち影を繰ることができると見せつけてやってるのに踏ん切りの悪いことだ。
メアリーさんが上がってきたら俺から声を掛けるのに、わかってないなぁ。
ふわぁ~、いい天気だ。
黒々とした俺の影が揺れている。
しかし予想通りにさっきのジョンさんには影が無かった。
おそらくメアリーさんもないだろう。
あの二人のどちらかが影が実体化したモノ。
人ではない。
影の実体化、闇属性の悪魔である俺には簡単にできる。
何も精神を覗くことやゾンビを作ることができるだけではない。
さっきのバンも実体化した影を飛ばしていた。
影も光速で動くので翼竜とこれだけ距離があっても狙った位置に中てることができる。
ただどうもジョンさんには俺が寝そべっている網状の影しかわからなかったみたいだが。
ところでこの世界の魔法は地水風火の四元素の属性に光と闇を加えた6つの属性に分かれる。
おそらくジョンさんは影を実体化する時に影の属性を変えようとしたのではないかと思う。
影は四元素からは中立、それを二つに分けて対立する火と水。
そして男と女。
意図したのが偶然なのかはわからないがそうなってしまったのだろう。
かなり闇が使えそうなおれに相談したいのは多分元に戻る方法。
今の火属性にも水属性にも影を操る術は無い。
ま、そんなところだろう。
なんにせよ代償をもらえなければ俺が動くことは無い。




