おことわり
初夏の日は4時ごろではまだかなり高いところにある。
異世界から更に壁を超えた超えた異世界だというのに自然は地球っぽい。
当たり前だ、だから生命が生まれたんだ。
同じような生命が多いのは、進化の目的が同じだからだ。
「じゃあ魔法は?」
「知らん分からん」
俺が声を出さないことにルルは突っ込みを入れてくる。
「ほんとは異世界の考察なんて建前だけでイヤラシイ事考えてるくせに」
スミマセン。
並列思考とか二重思考とか俺には無理なようだ。
「わかればいいです」
日本にいた時も嫁には隠し事ができなかった。
今はそれがもっと極端だがそれでもいいかぁなんて思ってる。
俺の悪いところも全部知った上でこうやって寄り添ってくれる。
熱烈に愛してる~なんて思わないがなんかほっこりと暖かい。
悪魔とゾンビの冷血ペアなんだがそれでいいのだろうか。
「いいの」
はい。
などと会話しながらルルがたたんで袋に入れているのは先ほどのタプランさんの落とし物。
光魔法の浄化って洗濯の代わりにもなるんだぜ、すげぇ。
まだ日が高いからこれをタプランさんに届けることにしたんだ。
タプランさんがいるのは開拓管理局のエステンド支部。
ここで局の明日最終審査をしてから次の町に飛ぶらしい。
最も審査といっても開拓の意思確認だけだと聞いたが。
タプランさんは……居た。
あのへんてこなでっかい鳥の世話をしている。
「タプランさん!」
「一言お断りしますが名のほうのソニアと呼んでください。こちらでは姓があっても名乗らないのが普通ですから。おや、どうされました?」
燃え尽きた。
いきなりお断り攻撃を喰らってしまった。
力が抜けてへたり込む俺を無視して頭の上でタプランさん、いやソニアさんとルルの会話が飛び交い持ってきた袋も手渡される。
明らかにタプランさんは事情が分かっている様子だ。
おかしい、ルルはずっと俺と一緒にいたからソニアさんと打ち合わせする時間はなかったし。
!
ソニアさんとも意識がつながってる。
さっきのプロポーズからだがルルも気づいていたのに俺はわからなかった。
視線を感じて上を見る。
こいつか。
目をそらしやがった。
不細工でも大鵬のひなだっけ。
ホゲラめっ。
「ショコラです。この子の名前」
そうね、全部知られちゃってるわけね。
まぁいいけど。
「ごめんなさい」
どうせ俺悪魔だし。
「結婚式は開拓に一区切りしてからでいいですよね」
え?




