断片
「少し疲れたね。」
エリがこちらを見ながら話を切り出す。
「うん、少し寝ていく?」
スカイもそれに応える。
「ううん、いい。」
「そう。」
フウーっとため息をつきかけた時、
「軍なら水は使い放題なの。
そこのエレベーターをあがった先にシャワールームがあるわ。
スカイ、長い間身体洗ってないでしょ?」
「あ、うん。
でも、俺はいいや。
あんまり気にならないし。」
「ダーメ!
身体ぐらいちゃんと洗いなさい!
そんなんじゃ女の子に嫌われちゃうよ!ほら!」
「え、あ、ああ。」
エリに背中を押されるがままエレベーターの前まで連れて来られた。
「エ、エリは?」
「私はスカイが出てから!
ほーら!」
無理やり中に押し込まれ、
エレベーターは上の階に着いた。
シャアアアア
気持ちいい。
身体中が生き返ってゆく。
エリの言うとおり、来て正解だった。
「エリ、出たよ。」
「早いなあ。
ちゃんと洗った?」
「洗ったよ!ほら、臭くないだろ?」
そういって両手を広げた。
エリはスカイの胸元に顔を近づけ、
「ほんとだ」
と笑った。
するとすぐに顔を赤らめ、エレベーターに向かって走っていった。
フっと笑って、
長椅子に腰掛け天井を見上げた。
この街に入ったときのあの感じ、
なんなんだろう。
今は全くあの気持ちが感じられない。
一体、俺は何者なんだ、どこから来たんだ。
そういや、ミズノまだ怒られてるかな。
マキ、フジ、ドク。
人に優しくされるのは特に懐かしさを感じない。
という事は孤独、ずっと1人という事はなさそうだ。
マキやフジ、ミズノに抱く感情は懐かしい。
俺には心を許せる友がいた‥。
クソ、だめだ。
わからない。
エリ、彼女は常に優しかった
そんなエリにだんだん惹かれていっている。
エリ、
エリが好き、
好き?
愛す?
エリに抱くこの感情‥
頭が痛い
割れるようだ。
めまい‥
めまいと頭痛‥
うわあああああああ!!
ここは?夢?
夢の中?
歩むことをやめない、やめれない。
遠くに見えるのは‥
誰だ。
俺を呼んでる。
エリ‥?
エリか?
エリ‥
好きだ、愛してる。
エリ。
エリ。
エリ‥
アイザ‥
!!!!!!!!!!!!!!!!
「スカイ!」
「ハアハアハアハア」
「スカイ!どうしちゃったの!?
スカイ!」
「ハアハアハア。
エリ?」
そこには今にも泣きそうな顔でこちらを見ているエリと
ピンクの髪にスカイブルーの瞳の女性がエリと被って見えた。