愛するだけ 愛されるだけ
どうもはじめまして
作者のしちゆうです
わかり辛く長々とした文が続くため
苦手な方はお避け下さい
それでも読んでくださる方は
続きを書く予定ですのでそちらも読んでいただければ幸いです
もしご感想があれば
辛辣な批評でも構いません
必ず読んで作品に活かしていきたいと思います
それでは
この作品を読んで楽しんでいただけれは
それだけで自分は幸せです
4限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、校内のある生徒は弁当の包みを広げ
またある生徒はフライング気味に購買へ走り
ある生徒は学食へ行き
皆が思い思いに食事をとる中で
ある教室の中に、異様な光景が広がっていた
「今日のお弁当は?」「昨日は少し脂こい献立だったから、軽めのサラダとお刺身をちょっと」
「お肉はないの?」
「そう言うと思って、鶏ももを軽くゆでてあるから、サラダと一緒にドレッシングをかけて」
「お刺身の鮮度は?」
「朝市のものを登校ギリギリに買って調理室の冷蔵庫に入れたものをさっき」
「デザートと飲み物は?」
「紅茶が飲みたい雰囲気だったからアッサムを。あと昨日レアチーズケーキ食べたそうだったよね?」
「ふうん。文句ないわ」
「受け取ってもらえて嬉しいよ」
いち高校の教室で
いち学生の交わす言葉には到底聞こえない会話だが
この教室内では、もはや当然の出来事としてみなされている
教室の後方窓際に位置している音源を尻目に
他のクラスメイツは何事もなく歓談し、昼食をとっている
そんな中
明らかに弁当の範疇を越える荷物を広げる男生徒に
興味なさげに雲の数を数える女生徒
「じゃあ、お刺身からね」
男生徒は新鮮で鮮やかな色彩の赤身をハシでつまみ上げ
醤油をつけてからゆっくりと女生徒の口へと運ぶ
「あむっ」
女生徒は机に肘をつき
相変わらず空を見上げながら、口元へやってきた刺身をひとかじりする
咀嚼している間、男生徒は一言も発しないまま笑顔を絶やさない
やがて顎の動きも緩慢になり、音もせずに刺身が飲み込まれる
男生徒はそれを見るや口を開き
「じゃあ、次はトマトがいいんだね?」
女生徒の発言なしに、男生徒はサラダに添えてあったプチトマトのへたをとり、ハシでつまみ上げる
それを口へ運び、女生徒が租借する
女生徒は何も言わない
刺身を食べても
サラダを食べても
男生徒の淹れた紅茶を飲んでも
デザートを食べても
男生徒が笑顔で食べさせ続けても
そうして昼休みは残り5分
皆皆が昼食を終え、教室へと帰ってくる中
昼食を食べ終えた女生徒
食べさせ終えた男生徒
女生徒は相変わらず雲に焦点を合わせ
男生徒は食べ終えられた弁当を片付けていた
それが終わると、男生徒は自分の机から5限目の教科書とノートを2冊ずつ出した
教科書の片割れは女生徒へ
ノートは2冊とも男生徒が
無論、男生徒は女生徒の分もノートをとる
今までの男生徒の行動は
決して命令されたからそうしているのではない
『なぜこんなことをする?』
理由を尋ねたなら、必ずこう返ってくる
「だって、そうすれば先輩が幸せだから」
昼休み終了の鐘が鳴り
担当教諭が扉を開ける
男生徒はシャープペンを握り
女生徒は窓の外を見続ける
そんな2人の異常な日常