表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダークフレイム調理人   作者: 伏見


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/15

7.来訪者


ガシャンッと体の下で音が鳴った。折り曲げた足元の下に大きな感覚がある。扇はテレポートで市中から飛ばされたばかりだ。召喚陣が宙で展開され、そこから下ろされたので何か乗り上げたのかもしれない。ふと、体の下に目をやると、鎧を来た人間が横たわっていた。



「昨日は、誠にすいませんでした!」

食堂にて。

扇は目の前に座る男女を前に、深々と頭を垂れた。 


「全くだ。上から人が降りるなんてそうそう無いからな。奇襲かと思った」

「まぁまぁ傷は出来てないですし良いではないですか」


 目の前には褐色の男女が2人。男の方は細身だが両目に傷跡があり、髪を編み込んでアシンメトリーにまとめている。女性の方は黒い髪をさらりと伸ばし、ミステリアスな伏し目が印象的だった。双方、西洋の甲冑を着ているので、他国からの旅人だろうか。甲冑にはヘリに小さなレリーフが掘られていて質の良い物に見えた。


 扇は茶を配膳しながら昨晩の事を思い出す。

テレポート先は男性--ストラスの上だった。対して女性--エリスは先に移動した荷物が当たり気絶していた。ちょうど家の前だったので二人を移動して看病していたというのが、今に至るまでの経緯だ。直前まで野生のコッコルと戦闘に入っており、荷物の一部がッコッコルに命中して、意図せぬ勝利を得ていたのは不幸中の幸いとでもいうのか。


「その、お二人はどこからいらっしゃったのですか」

「ヘイザード王国からです、この先の桃源国に用がありまして」

「アーデフィン小国との問題で、桃源国は立て込んでるみたいですよ。

通過するなら、その先のアーデフィンは制限がかかるみたいで」

「ええ、存じております」


ヘイザードは桃源国のすぐ東側にある国で、一部が砂漠に変化している小さな国だ。面積は桃源国とほぼ変わらないが、国は傭兵を育成しており、仲間に迎えようと赴く冒険者が多いことで有名だ。


「……扇さん、この国の方ですよね。聖女が召喚されたと聞いて、私たち飛んで来たのですが何かご存じですか」

「ブッ」

「おい、国に行けば分かるだろ」

「国民の情報も大事ですし」


唐突な話題にお茶を吹き出しそうになる。やはり聖女が召喚されたことはすでに広がっているのか。目の前に聖女います!なんて言えないが、失敗したというのも後々つじつまが合わなくなってしまう。無難な声をを返さなければ。


「聖女様の召喚は無事終わり、城で生活されていると聞きます。俺は見たことないですが、運が良ければ国の中で会えるんじゃないですかね」

「召喚の儀は一般開放だったと聞いたのですが、扇さんは見ていないんですね」

「あははそうなんですよ。見る気満々だったんですけど、半年前から仕事が山積みで、ここ離れられなくて……」

「ん?先月この付近を通ったときは、この家、誰もいなかったぞ」「あれ、そうでした?そのときだけ家を空けてたのカナ」

聖女に関して深掘りはされなかったが辻褄の合わないことを言ってしまった。ストラスが怪しそうに睨む。


「君、どこの出身だ」

「もちろん桃源国ですよ!」

「今までどこに住んでいた」

「……桃源国内に実家がありまして」

「ここにはいつから住んでいる?」

「えっと」



質問攻めが始まった。聖女と気づかれないにしろ、少し前まで誰もいなかったこの家に、住民がいるのが気になるのだろう。どう答えればいいのか口を結ぶ。

答えあぐねていると、コンコンと食堂の出入り口から扉を叩く音がした


「オウギ様~いらっしゃいますか」

「!客人が来たのでちょっと失礼します。」

「おい!まて!」

 

声の主はスガイだ。予期しなかった救世主を迎えに、扇は玄関へと向かった。


「スガイさん!いらっしゃい!どうしたの!」


扇の迅速な出迎えに、スガイは目を開いていたが、すぐに話を続けた。


「えっとですね、この近辺で異国の方、鎧を身につけている方を見かけませんでしたか」

「います!今食堂に案内してます!」

「隣国のヘイザードから客人が来る予定でして……え?」

「昨日俺が踏みつけちゃったんで!」


スガイをテーブルの方へ案内する。一瞬ストラスとエリスは身構えたがすぐに警戒を解いて座り直した。案内した後扇は足早にキッチンへ向かった。


「ヘイザードの方々ですか!ご足労いただきまして!私宮仕えのスガイと申します!」

「上級傭兵のストラス。こっちは魔法使いのエリスだ」

「はじめまして」

「この度は登城が遅れてしまってすまない。昨日ここいらでトラブルがあってな、一晩ここに泊まらせてもらった」

「そうですか。いえいえ無事で何よりです。お話ですがこちらで簡単に状況を効きましょうか。キッチンに行った彼も関係者なので話して問題ないですよ」

「……貴殿が言うならば」


スガイが挨拶と共に紋章を見せて身分を確認させる。3人が話している間に、詫びの代わりといってはなんだが、料理を作ることにした。


「聖女が現れたというのは」

「本当ですよ。今は城内で保護しております。準備が整い次第アーデフィン小国へ出向く予定です。お二方はこれから小国へ?」

「ええ、スガイさんとこちらで会えましたのですぐにでも赴く予定です」

「アーデフィンは対立を深めるおつもりでしょうか」

「いや聖女を警戒して防衛を高めてるだけだと思いますよ」

「……そういえば他の諸国でも聖女が顕現したと聞きましたが」

「もう情報が回っているのですね」

「いえ個人で耳に挟んだことです」

「聖女を召喚した意図は分かりませんが、小国の後ろ盾。カルエスタ王国で召喚されようです。対立が解消されたら伺ってみるとよろしいのでは」

「うーん先は長いですね」


難しそうな話をする3人を横目に扇はキッチンへ立つ。

さて今日は何を作ろうか。


不意の事故で仕留めたコッコルは羽と頭が付いたままだ。自分で処理する経験は無いので後で2人に返そう。代わりに昨日買ったコッコルのもも肉を用意する。

3人は真剣に話しているが、闇属性の炎なんて見られてしまっては大事だ。昼ご飯はチャーハンを予定していたが派手に鍋を転がしてしまうのではすぐにバレてしまう。鶏肉を使った弱火で出来る料理となれば簡単なあれにしよう。


もも肉を一口大に切ったら、酒・塩、胡椒を加えてよく混ぜる。

肉を漬け終えたらフライパンにサラダ油をしいて、弱火で火をつける。

このとき、蒸し焼きにすると肉が柔らかくなるので上から蓋をして 十分程焼いたら肉の調理は終了だ。

ニンニク、ショウガ醤油、みりん、ごま油、リンゴのすりおろしを混ぜてタレを作ったら完成した鶏肉と和えればコッコル肉の完成だ。


◆ 


話が途切れたタイミングを見計らって、テーブルに持って行く。


「お話中失礼しますね。昨日の謝罪と言うことで」

「少し休憩しましょうか。彼の料理美味しいんですよ!是非」

「まぁこれは昨日のコッコル鳥の?」

「こちらで下ろしたやつです。昨日のは後でお渡ししますので」

「ちょうどいい、ありがたくいただこうか」

                                張り詰めた3人の空気は和やかな物になり、みんなで料理に手をつける。残りの時間はヘイザードの文化について色々と聞くことが出来た。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                               

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ