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最低以下スタートの僕、異世界で“俺”を貫く〜気付けば伝説の英雄に〜  作者: マークされた場所
第1章 能力覚醒編

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35話 潜入

時刻はもう夕方

さっき通った兵士の鎧についた視界は、

どんどん牢屋の入り口へと近づいて中に入って行く。

中は石レンガでできた壁がオレンジ色に光る石で照らされており、

どこまで下がるかわからない長い階段が続いている。

どうやら牢獄というより本来この場所は色々な荷物を置く場所らしい。

ただ鉄格子の部屋があるため一応牢屋としても機能すると言うだけのようだ。


奥に進むにつれて、循環している兵士の数が増えてきている。

そしてひときわ大きな牢屋の前で僕たちが見ている兵士が足を止める。

その牢の中にいる人物は紛れも無いエルドリックだ。

だがおかしい、収容されているのはエルドリックの()()だ。

片腕だけ頭から生えた状態で鎖からぶら下げられている。

体はどこにも無い、でも死んでもいない確かに生きているように見える、まるで再生中みたいな。

一体何があったんだ……


そして、牢の前にいた兵と僕たちの兵士がなにやら話している、そして牢の前にいる兵士にメモを渡す、

そこには、僕では読めない字が書かれている。


ブツんーー突然視界のリンクが切れる。


「いきなりどうしたんだよ、もうみなくていいの?」


シアは少し焦りの表情を浮かべている。


「まずい、どうやら明日の昼には帝国に受け渡しをするみたい、時間がないから一旦戻って準備を整えて夜潜入するから、いい?」


「わかったけど、まだ情報不足じゃない?循環とかの見張りの動き分からないけどいいの?」


「もうそれは割り切るしか…潜入してから臨機応変に行くしか無い」


すごい度胸だなと思った、見つかったら打首死刑らしいのに。


「なあ、計画を根っこから否定するようで悪いんだけど後でメルヴァンに聞くんじゃダメなの?

今すぐに知らなくても別にいいんじゃない?こんな危ないことをしなくても…」


そう、意見を述べた途端、シアは目を伏せた。

正論を言われて返せないというよりなんだか悲しげに。


「多分……教えてなんてくれない、メルはいつもそう重要な事もどうでもいいことも自分のことだったらはぐらかして終わりなんだから、私は仲間ならばどんな所でも知っていたいの、ちゃんと会話したい」


後ろで波が岩にぶつかる音が響いている。

その言葉の意味を理解したわけではない、ただ潜入するしか無いみたいだ。


教えてくれない。か、一体メルヴァンは何者なのだろうか?

本人は人間って言ってたけどなんだかとても嘘くさい魔族でも無さそうだし、

雰囲気は仮面だけでも本当に魔王みたいな感じで圧巻される。

あながちあの教団の”世界を滅ぼす存在”といっていたのは間違いじゃない…?


……でも違う気がするな、

確かに魔王っぽくはあるのだが、なんだか何処かであったような、

なぜか今までずっと一緒に居たような親近感があるのも事実だ、

この感覚は、超気が合うみたいなのじゃなく

本当に現実としてずっと一緒にいたみたいな感覚だ。

そこからみれば世界を滅ぼす存在では無い気がする。

まあ仮面だけじゃ判断しきれないや、

メルヴァンの封印か……とけば何かわかるかもしれない。


「わかった、一旦戻って潜入の準備しよう」


シアが顔を上げる。


「いいの?行きたくないなら無理しなくても……最悪一人でなんとかするから」


ひとりでって、透明化も使えないのに?それに僕だけ安全でいるのは気が引ける。

何より女の子一人向かわせるのは良くない。


「行くよ……パーティ入りたてだし仮入隊みたいな奴が言うセリフじゃない気がするけど、

仲間だろ?だから一緒に行くよ」


ちょっとだけシアの顔が明るくなった気がする。

シアは立ち上がり、少しずり落ちて斜めになった帽子を直りながら


「わかった、じゃあ戻って準備、決行は今夜、月が真上に登ったら出発それで行くから」


エルドリックがなぜああなっていたのか?なぜ街の外が焼けこげていたのか?

恐怖心よりも怖いもの見たさみたいな好奇心が湧いてきて、潜入が少し楽しみになった。

僕も木箱の影から立ち上がり、先に出ていたシアの後を追う。

僕たちは誰にも見つからないようにサブ拠点へと帰った。

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