第34話 露出狂無罪でする方法
「あなたの能力は文字通り、自分以外から力を借りる能力なわけだけど、レベル7になったから無機物からも行けるわけね、」
「そうだね、さっき金具で試したし」
「そこで」
シアは人差し指を突き立てる。
「空気の”見えなさ”を借りてほしい」
「見えなさ?透明人間になって潜入するって事?」
「そう、そうゆう事」
まあ、確かにそれならできそうだ、しかし一つ問題がある。
それは僕の【他人任せ】は自分自身にしか作用しないという事だ。
「確かに良いかもしれないけど、シアはどうするの?流石に他人まで透明化は無理だ」
「だから、宝具使うの」
そう言うと、部屋の片隅にあるトランクスから紐状の何かを取り出す。
一見普通のよくある縄だが、両端に持ち手がついている。
一つの持ち手は青、もう一つは赤だ。
「この宝具は、”アムニスの蛇縄”って言って赤色側を持つと、青色側を持った人と同じ状態になれる宝具なの」
なるほど、これならば確かにいけそうだ。
「へぇ、よく持ってたねそんなの、宝具って現れるのランダムなんでしょ?」
「ままあそうね、でも私達ヴェイルブレイドは帝国お抱えだからね、たまに消費型でとっとく事が出来ない宝具が貰えたりするの」
「そうなんだ、て、それ消費型なんかい」
シアは縄を控えめに振り回している。
「そうずっと使ってるとこの縄、次第に焼き切れて行っちゃうの、だから連続で使えて1時間ぐらい?」
「じゃあ、30分以内に潜入して、30分以内に脱出でフィニッシュか」
「そうそう、そういう事、試しに透明感してみて一応出来るか確認の為に
ほら、青色側持っといて」
「わかった、」
青色側を手に取る。
【他人任せ】空気の見えなさを借りるーー」
シュッ
変化は感じられない、手を見てみるーーお!すごい!
「見えない!」
手があるであろう場所には何もなく、ベットから降ろされているシアの足が見える。
ただーー
「これ服までは消えないんだね」
ちょっと待てよ、ていうことは?
「これ全裸でやらなきゃならないの!?」
誰からも見られないとはいえ、全裸で外を出歩いて行かなきゃならないだと?流石に抵抗がある。
それにミスって能力解いたらそれこそおしまいだ。
どうすんだよ、というようにシアを見る、ぬかった!みたいな表情で爪を噛んでいる。
そして、赤色側を掴んだり離したりして、透明化したり元にも取ったり、点滅している。
一拍
突然、ものぐさをやめ、真顔でこちらを向き、
「ちょっと、他の方法考えるから時間ちょうだい」
と、言った。
「はいよ」
まあ、すぐやるって訳でもないし、部屋に戻って昼寝でもしよう
簿記はベットに入り横になった。
ーーー
バタン!ーー突然の扉の開音が目覚ましとなり浅い眠りから目覚める。
もちろん扉を開けたのはシアだった。
「……ぜ、全裸でやるしか、ない」
どうにか頑張って絞り出したみたいな声。
そりゃあそうだ、変態じゃなければ誰だってその筈だ。
「何も無理しなくても、最悪僕一人で行ってもいいんだし」
「いや、あなた喋れないでしょ、ここの言葉」
あ、そうだった忘れてた。
やっぱり、二人とも全裸コースから逃れられそうにない。
「仕方ない……私も一肌というより一服脱ぐけど、あなたの記憶みた時にあった”如何わしい書物”のシュチュエーションにいくら似ているからって変な期待はしないでちょうだいね!」
「わかってるよ、しないよ、だって童貞だぜ」
そうだ、童貞であればどんなに普段下ネタを言っていても、いざそうなると物事に紳士に向き合い始めるものだ。
周りからは、どうやらチキンと取られるようだがそれは大きな間違いだ、童貞はただ超紳士なだけだ。
「フッ、そうなのどうりで、じゃあ安心」
「どうりでってなんだよ、失礼な!」
「そうと決まれば下見しに行きましょ、なんせ捕まったら死刑かもしれないし」
そんな反論耳に入ってないみたいに流された。
返事を待たずに玄関へ向かったシアの後を急いでベットから出て追う。
そのままサブ拠点を後にして、僕たちは港の方へ向かっていった。
ーーーーー
港は大きな帆船が停まっていて、小さな漁船が慌ただしく動き、海鳥の鳴く声が響き大いに賑わっていたが、海を向いて左側にある。小さな入江にある船着場に向かうにつれ、人が次第に少なくなっていった。
入江は半ば洞窟の中にあるようなものだった。
少し、天井のように崖が反りたっている。
崖が大き過ぎて圧巻の一言につきる。
「コッチ」
突然、入り口あたりでシアが腕を横に突き出し、僕の進路を遮った。
そのまま、横に積まれている木箱に隠れる。
誰もいない桟橋チックな小さな道の先に一つの大きな帆船が見える。
さっき港に泊まっていたのとは雰囲気の違う船だった。
暗く冷たいそんな感じ、もしかすると罪人を運ぶ船なのかもしれない。
シアが小声で話し始める。
「この先にエルドリックがいると思われる犯罪者の留置所が有るはずなの、あとあれ、」
あのでっかい帆船を指さしている。
「あの船罪人を帝国に運ぶ用の船、あれがエルドリックを乗せて出航したらまず面会は叶わないだからできれば明日には作戦開始するから」
僕は静かに小さく頷く。
するとシアが杖を前に突き出し、足元の小石を宙に浮かせて、片目を瞑りーー
『【全覚無碍】』
ニョキ
なんと小石から目が生えた。
これは擬似的遠隔ドローンカメラだ。
「ちょっと目を瞑って」
言われるがまま目を瞑る。
シアが僕の目の当たりに手をかざしているのを感じる。
パッ
突然、目を開けてないのに見えるようになった。
今見えているのはドローンの視点だ。
「おお、すごい見えるよ」
その返事を聞くなり小石ドローンは動き始める。
空高く浮かび上がって、帆船を越え、
今まで見えなかった入江の対岸が上空から写し出されている。
そこには重そうな鎧を着た兵士らしき人影が5人みえる。
そして、その兵達が守っているであろう鉄で出来た扉が見える、
きっと牢屋の入り口だろう。
突然、視界のリンクが切れる、そして口を塞がれる。
足音が近づいてくる、ドゴ、ドゴ、ドゴ、
重い鎧の足音ーー見張り兵だ、2人話し合いながら歩いている。
「あのエルドリックが捕まったって本当だったんだな」
「ああ、俺も最初は信じられなかったよ、それに捕まえたのはあのヴェイルブレイドらしいぜ!
しかも、新メンバー」
「嘘だろ⁉︎新メンバー?募集でもしてたのか?だったら俺も応募すればよかったな〜」
「お前は無理だろ」
「あははぁーぁーーーーー」
声が次第に遠のく、横のシアを見るとなんだか誇らしげに笑みを浮かべていた。
視界をシアの手で再び遮られる。
なんと、その視界はドローンではなくさっきの兵士の視点だった。




