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最低以下スタートの僕、異世界で“俺”を貫く〜気付けば伝説の英雄に〜  作者: マークされた場所
第1章 能力覚醒編

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第27話 能力が変化を始める

ギルドマスターは、静かに話し始めた。


「ではシア、

 やつの能力(アビリティ)を教えてくれ。どうせ、もう見たんだろ?」


だが、答えたのはシアではなかった


「ちょっと待ってください!」


声を上げたのは、別の討伐士だった


「本気で戦う気なんですか!?そんなの無謀です!

 聞いた話じゃ、奴、エルドリックは、

前に国を一つ、滅ぼしかけたことがあるって!」


ざわり、と空気が揺れる

すぐに、別の討伐士が続いた


「そうだ!俺たちに勝てるわけない!」


「戦わずに差し出せばいいじゃないですか!」


その言葉をきっかけに、声が連鎖していくーー


「俺もこの町に家族がいるんだ……」

「だから、それが一番だと思う」


ドランだった

ヴェイルたちは、何も言わず俯いている

否定も肯定もないままに


(……)


ドランは、重たく息を吐いて続けた


「ヴァレンシア、どうにかしてくれよ、今いちばんの戦力だろ?」


そして、言葉を選ばずに言った


「それに……招いたのは、あんたなんだろ?」



考えないようにしていたことが、頭に落ちてきた

(違う、シアのせいじゃない)

(……僕のせいだ)


ーーー


全部、僕のせいだ


才能も、力もないから、収取もつけられないくせに

何にもわかってなかったくせに!

それなのに、わがままを言った


だから、こんなことになった

最初っから何にもしない方が良かったんだ!


だから――


……


それは、おかしい



?なにが



俺は悪くない、

運が悪かっただけじゃないのか?



やめろ、



それにやっちゃいけなかったのか?

才能が”ある”やつしか、やっちゃいけない?

才能の”ない”奴はやっちゃいけない?

そんなの、不公平だ



違う、



今回はたまたま“運が悪かっただけ”だ

不運だったんだ


……そうだ

俺は悪くない

俺のせいじゃない



やめろ!

――黙れ!


なんで、そんなことが言え(思え)るんだ!

周りに迷惑をかけたんだ

自分が悪い状況で、そんな考えが浮かぶ自分(お前)が嫌いだ!

つくづく、他人を巻き込む自分(お前)が嫌いだ!


僕が、自分勝手だったからだ

そうだ

そうなんだ


ーーー


「そうだ、そうだ!」

「なんとかしろよ!」


討伐士たちの声が重なる。


ーーー


違う

違う、違う、違う


やめてくれ

頼むから、やめてくれ


シアは悪くない

全部、僕が招いたことなんだ


きっと……そうなはずなんだ


ーーー


僕が招いたんです、

全部、僕のせいです


そう言おうとした


「………ぁ…」


でも――言えなかった


口が、動かなかった

怖かった


ーーー


シアは、無言だった

けれど、その顔は引き攣っていた

僕は目を逸らした

……もう、彼女を直視できなかった


ギルドマスターは、深く息を吐いた

「気持ちは分かるだがな――」


低く、現実を突きつける声


「私たちが独断でそんなことをすれば、帝国に首を刎ねられるぞ

なんたってメルヴァンは帝国の懐刀と言ってもいい立場にいるからな」


「帝国と話すにしても、外部と連絡が取れない以上、それも無理だ」


一拍置いて、続ける


「……それに、メルヴァンは“現在行方不明”のはず…だ……が」


マスターの視線が、シアに向く

まるで、いるのか?と聞いている様に、見透かす様に

シアは、俯いたまま小さく答えた


「……実は、いるには、いるの」


そして、僕を軽くこづく


――出して


そう言われている気がした

僕は、持っていた仮面(メルヴァン)をシアに渡した


「……これが、そうなんだけど……」


その瞬間だった


「――よこせっ!!」


娘が攫われたと言っていた討伐士が、猛然と駆け寄ってくる


バッ!


仮面が奪われた

呆気に取られて、動けなかった


だが――


ドガッ!


次の瞬間、男は床に叩き伏せられていた

いつのまにかに動いたのか

ギルドマスターだった


「がハッ、なっ……やめ……放せ!!あんただって……!」


遮るように、マスターはゆっくりと語り始めた


「お前は、私の能力(アビリティ)を知っているか?」


「【不安舵倒の船(リーダーシップ)】」


「将来的に“正しいこと”をすれば、どんな状況下でも堂々としていられる能力(アビリティ)だ」


「未来が見えるーーそう取ってもらっても構わない」


静かな声


「さっきの話し合いでは私は揺らがなかった」


「だが――

 今、お前がそれを差し出そうとした瞬間、揺らいだーー」


一段、声が強くなる


「だから黙って、私に従え‼︎」


強い言葉だった

惹かれる言葉

安心感のある言葉

士気を押し上げる言葉


――カリスマだ


マスターは男を引きずり戻し、言った

「それと、奴の噂を聞く限り従ったとて全員殺されるだろう戦わない理由はもうないーーエルドリック打倒の会議を再開する」


仮面をシアに投げ渡し、元の位置に戻る

シアは、ゆっくりと口を開いた


「……あいつの能力(アビリティ)は【新芽の芽吹き(フィロクロマンサー)】」


「植物を急成長させ、操る能力(アビリティ)


「なるほど……」


一人の討伐士が、恐る恐る手を挙げた。


「あの……遂行卿って確か

 《”再命”》《”記録”》《”秩序”》《”拒絶”》《”不変”》《”観測”》《”封印”》

 ……で七人、いるんですよね?」


「もし、他の奴らまで来たら……さすがに」


マスターは、落ち着いて答えた


「その心配はない……そうなんだろう? シア」


「ええ」


シアは頷く


「この要求は教団の意思じゃないあいつは、自分の意思で来てる

それも教団に知られると少しまずいみたいでーー」

シアはエルドリックが言っていたことを事細かく説明し始めた



◇ ◇ ◇



説明が終わると、空気がわずかに軽くなった


「聞いての通りだ」


マスターがまとめる


「他の遂行卿については安心しろ」


「だから今、考えるべきは――《”再命”》相手に“どうやって勝つか”だ」


「シアの話を聞く限り、奴は相当な軍勢を連れている」


「中には、土竜種(アンドリュー)もいるらしい」


おそらくあのドラゴンだろうか?

全員が黙り込み、考え込む


「……マスター」


また一人、声が上がる


「マスターの能力(アビリティ)なら、いい未来が分かるんですよね?

 揺らいだら……言ってください、私達をいい結末に導いてください!」


「ああ」


マスターは微笑んだ


「揺らぎを隠すつもりはない

 だから安心しろ、大丈夫だ」


その目は、優しかった

そしてとても、頼もしかった


「ほら案出すぞ、」


◇ ◇ ◇


気づけば昼を過ぎ、空がオレンジ色に染まり始めていた


案は…出なかった

出なかった、というより決定的な案が出なかった

どの案もマスターが能力で見たところ揺らいでいたらしい


「……はあ。出ないか」


マスターは立ち上がる。


「まあ明日もある」


「シア、明日いっぱい考えて、案が出なければ……差し出すそれでいいな、」


胸が、きゅっと縮んだ

シアを見ることができなかった

でも――文句は言えなかった

言う気も勇気もなかった


討伐士が声を上げる

「でも、そんなことをしたら帝国に…」


「大丈夫だ、全責任は、私が負う…」


「今日は解散だ、しっかり休め」


討伐士たちは、ぞろぞろと出ていく

僕とシアも出ようとした、その時


「……そこのお前、待て」


呼び止められた


「はい……」


嫌?な予感がした

自分の未来が、分かってしまった気がした


「……座れ」


言われるまま、腰を下ろす


「カワハラソウマ、だったな」


「無免許討伐の疑惑がかかっている

 心当たりは?」


(…やっぱりか、)

「……あります。全部、僕だけの責任です」


「そうか」


マスターは頷く


「今すぐ処罰と言いたいところだが……見ての通り今は、そんな余裕はない」


「処罰は後回しにする」


不思議と、心は沈まなかった


ーーー


むしろ、ありがたかった


罰を受けられる

罪を、償える


この事態を招いたのは僕だ

シアじゃない


罰が軽すぎるかもしれない

それでも――


少し、楽になる気がした


ーーー


「……わかりました」


マスターは少し目を丸くした

「…ほう、素直な奴だ」


マスターは言った


「そうゆうことだ、気をつけて帰れ」


無言で席を立つ

僕は、ギルドを後にした

外では、シアが仮面を手に待っていた

とんがり帽子を、深く被っている

こっちに気づくと近づいてきた、


「……どうしよう」


震える声


「助けてよ、ソウマ……」


服の端を掴まれてそう言われた

樹鬼との戦闘で魅せた勇ましい姿勢はどこにもない

今はただの女の子


「……ごめん」


「全部、僕が悪い」


「なんとかできる案、必死で考えるよ……

なんとかしてみせるよ」


無責任な言葉だったと思う

でも、それしか言えなかった

言うしか無かった


「……うん」


涙を堪えたような声

少しだけ、シアの顔が明るくなった気がした


僕の袖を掴んできた、

いつもなら絶対しないであろう

きっと不安なんだろう


「行こう」


ーーー


でも確かに今回は運がなかっただけなのかも知れない、

でも、自分の蒔いた種なんだ、責任を取らなけば

才能が、あってもなくても、そうしなきゃいけないのは同じだから

みんなもそう求めてるはずだから


ーー


そう、心に決めた

僕たちは、サブ拠点へ向かった


日はすでに沈みかけていた。

重い足で辿り着き、ベッドに倒れ込む


「はぁーー」


ふと、スマホが目に入る

スマホの電源を入れてみたが切れていた


――恋しくなった

なにもなかった日常が、

悪者じゃなかった、あの日常が


今暗い非日常のせいで色褪せていた日常が白く輝いて見えた


お父さん

お母さん

ルーザー()


今、何してるかな

心配、してるよな…


「……帰りたい」


その夜、なかなか眠れなかった


ーーーー


ザッ

        ザザーッ


  【…たッ..ま..せ(フォー?イン?ーグ)


 ザザッ

      不安定(トレモア)

マイナス《繧医s縺ェ縺ェ?》レベル


   ザザサー      

              ザザーッ

ーーーー


能力(アビリティ)とは、心のあり方、

能力(アビリティ)とは、人としてのあり方

能力(アビリティ)とは、自分自身

颯真はまだ知らなかった、自分の能力(アビリティ)が変化し始めたことにーー




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