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最低以下スタートの僕、異世界で“俺”を貫く〜気付けば伝説の英雄に〜  作者: マークされた場所
第1章 能力覚醒編

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第21話 3人の討伐士

森に、山から吹き下ろす冷たい風が吹き抜ける

さっきまでこもっていた熱はどこにもない


戦場だった場所とは思えないほど、

あたりはもう真っ暗だ

湿った空気が肌にまとわりつき、息が少し重い


…ちょっと…蒸れるな


僕は仮面(メルヴァン)を外し、息を整える


…..暗い


《ライト》



小さく魔法を唱えると、掌から白い光が溢れ出す

性能のいい懐中電灯くらいの明るさが周囲を照らし、

焦げた木々と踏み荒らされた地面が浮かび上がった


その光の中で、顔に傷のある男が一歩前に出る

顔は白く照らされている


「あなたは……ヴェイルブレイドのシアだよな?」



低く落ち着いた声だった



「一体ここで何があった?

それに、あの男は……世界維持教団の——」



言葉の途中で、シアが視線を鋭くする



「……まず、あなたたちは何者?」



一瞬の沈黙



三人の討伐士は互いに顔を見合わせ、それから順に名乗った



最初に名乗り出たのは、顔に傷のある男だ

僕なんかよりも明らかに重そうな大剣を、軽々と背負っている



「ああ、すまない。俺はガルド・ヴェイン。討伐士四級だ。

このパーティのリーダーをやってる」



続いて、少し太った男が肩を揺らしながら手を挙げる

背中には、人一人隠れられそうなほど巨大な盾



「俺はヴァルド・グレイ。討伐士六級だ。よろしくな!」

しわがれた声だ別におじいちゃんって意味ではない


最後に、軽そうな弓を背負った少年が一歩前に出た


年は……たぶん自分と同じくらいだろうか

尖った耳に、僕は一瞬だけ考える


(エルフ……いや、この世界だと森人(シルヴァ)族か)


「オレはリオ・フェルク! 討伐士六級だ!よろしく!」


元気な声だった


(級……?)


颯真は内心で首を傾げる

討伐士にもランクみたいなものがあるらしい



全員の自己紹介が終わるのを待っていたかーー

いや待っていたから今開いたんだ

ヴェインが口を開いた



「俺たちはな、リュミエールのギルドマスターの護衛任務でアウレクシアに行っていたんだ。

で、帰還途中に——」



彼は周囲を見渡す、

先ほどまで光が炸裂していた方向を見る

薄く焦げた匂いが漂う



「強力な魔力攻撃を感知した。

で、安全確認のために来たってわけだ」



それを聞いて、シアは小さく頷いた。



「……なるほどね。じゃあ、話すわ」



そこから先は簡潔だった。

エルドリックとの遭遇。

木のドラゴンと樹鬼。

そして、撤退にまで持ち込んだこと


すべてを聞き終えたあと、ヴェインは腕を組み、少し考え込むような仕草をしてから言った。



「なるほど……それは災難だったな」



そして、ちらりと颯真を見る。



「それと——その連れている少年は仲間か?

確か、ヴェイルブレイドにはいなかったはずだが……」



その瞬間、シアの表情がわずかに固まった。



(あ、やべって顔だ)



内心で察した

免許なしで魔物討伐

そういえば見つかれば罰金か拘束

うん、完全にアウトだった


だがシアは、すぐに話題をすり替えた



「……それより、早くギルドに報告しましょう

エルドリックの件は放っておけないわ」



一拍置いて、付け加える



「それで、ギルドマスターは無事なの?」



ヴェインは即答した



「ああ、問題ない。

護衛は他の仲間に任せてある」



(シア、ナイス……)



胸の中でそっと親指を立てた

この指が折れない事を祈って



「じゃあ、街に戻って報告ね」



その一言で、全員が頷く


森の闇を背に、彼らは街へと歩き出した

颯真の《ライト》を頼りに、慎重に足を進めていく


月明かりが、木漏れ日のようにところどころ差し込んでいる


…静かだ


聞こえるのは、自分たちの足音だけ

たまに虫の鳴き声も、か


たまにチラつく光…ホタルだ

(いや待てよ異世界だぞここ)

(いるはずが…)


そこで僕は思い返す


(そうか転移災害!)


転移したのは僕だけではない

そうメル言っていた

まあ似てるだけの生物かもしれないが、

それでも…

なんだか胸の奥が熱くなった



僕は木の合間、空を見る

星?が点在している

暗いせいかよく見えた



(地球で見た月より、ずっと大きいな……)



ふと、そんなことを思う

結構綺麗だった



(というか、異世界にも月と太陽ってあるのか。

まあ、太陽はなきゃ生物は生まれないか)



そのとき


弓を担いでいた少年——フェルクが、不意に口を開いた



「なあ、おまえって何人? やっぱり魔人族?」



(うおっ、びっくりした……)



「僕は、人間だよ」



フェルクは目を丸くする



「へえ、超珍しいな!

能力ってやっぱり“継承”なの? いーなー、強いんでしょ?」



(そうだったらよかったんだけどな〜)



「それが違うんだよ。不安定型のフォースインヴォーグだよ」



一瞬、沈黙が落ちた



巨大な盾を背負ったグレイが、低い声で口を開く



「なるほど……転移災害の被災者か。災難だったな。

となると、三日前のあの地震も、やっぱり転移災害だったのか」



再びフェルクが声を上げる



「お前、名前は?」



「瓜原颯真だよ」



「オレはさっきも言ったけどフェルク! よろしくな!」



(……なんか、やたら明るいやつだな)


大樹みたいだ、と僕は思う



「おう、よろしく」



グレイが少し笑って言った



「フェルク、ずいぶん楽しそうだな

やっぱり同年代がいると違うか」



それから颯真を見る



「どうだ? よければ、一緒に飯でもどうだ?」



咄嗟にシアを見る



「いいんじゃない?」



軽く返される



「……じゃあ」



「決まりだな!」



フェルクが嬉しそうに言った



一行の空気は、少しだけ柔らいだ

そうして彼らは、森を抜ける



草原は月明かりに照らされ、紺色に輝いている

道の先には、オレンジ色に灯る街の明かり

さらにその奥で、海が静かに揺れていた


だが彼らはまだ知らない

街が滅ぼされるような危険にあることに

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