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最低以下スタートの僕、異世界で“俺”を貫く〜気付けば伝説の英雄に〜  作者: マークされた場所
第1章 能力覚醒編

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第20話 危機迫る鬼ごっこ

木のドラゴンが地面を蹴るたび、森が揺れる

枝が折れ、地面が裂け、土埃が舞う


その足音に呼応するように、木人間たちが次々と立ち上がる

膝を曲げ、枝を武器のように握りしめている

まるで、生きた森そのものが襲いかかってくるような光景


シアの杖から光が迸る


絶対空隙(ヴォイドリフレクター)!』


さっきと同じ空色の魔法陣が次々と浮かび、木人間を次々と押し返す

だが、”なぜかさっきのようなダメージはない”!

ただ寄せ付けていないだけに留まっている


(な、なんで?)


颯真は立ち尽くした

何もできない自分を思い知る


()()()()()()()()()()()()


ヴェイルブレイドに入らなければ


こんなことにはならなかっただろう


(そうだよ迷惑をかけるかもって時点で

辞めるべきだったんだ!)


樹鬼はジリジリと近づく


(やばい、このままでは死んでしまう)

(何か、僕にできることは……?)

(でも、逃げろって言われたし……何もしない方がいい?)

(いや、そうだよ僕がなにしたってなにもできないじゃないか、

でも、迷惑かけたんだから助けなきゃ、

力がなくともメルヴァン(誰か)の力を借りることなら、、)


心の中で葛藤しながら、僕は一歩も動けなかった


ーーウゴオオッ!


枝が飛び、木のドラゴンが唸りを上げた

森全体が大きく振動する

空気は濃く、煙と焦げた匂いで重い


木人間はジリジリと近づいている


(あれ?)


ふと気づく、シアの魔法のオーラは、明らかにさっきよりも弱まっていた


(魔力が……減ってる

このままじゃ絶対まずい!)


木人間たちの動きはまだ鈍いが、このままでは時間の問題だ


(自分勝手に動くのはやっぱ…それになに自分じゃ

何もできなじじゃないか!)


(いや、()()()()()()()()()、今はそうするべきだ)


(絶対に今の現状はピンチ!困っているはずだ)



()()()()()()()()()()()()()


手段は問わない


それに僕のせいでこうなっているのだから

視界の端で木のドラゴンが尻尾を大きく振る


ゴウンッーー


地面がその重みに軋み、周囲の木々を押し倒す音が響く


ゴウッー

物凄い風圧だ

迫力に圧倒され、胸が締め付けられた



(やばいやばい、でも、どうすれば!)



あ!



(そうか!)



僕の目に、ある考えがひらめく



(……逃げればいいんだ)



だが、ただ逃げるだけじゃない

木人間たちを引きつけながら逃げれば、シアが戦いやすくなる——。

かもしれない



これなら逃げるだけ、戦うわけではない!

屁理屈みたいだが今はこれで行く!



シア(誰か)のためだ



少しずつ、心臓が早鐘のように打つ

恐怖に押し潰されそうになりながらも、無理矢理ニヤリと笑う

勇気を振り絞る。いや勇気があるフリをする


思い切って走り出す。

足がもつれそうになるが、必死で前へ。



燃えよ(イグナ)燃えよ(イグナ)燃えよ(イグナ)っ!」



魔力の欠片を手に、木の枝に向かって連続で放つ

炎が小さく弾け、木人間の注意を引く


木人間たちの目が、次々と颯真に向いた


「来た!」


木人間の大群が一斉に反応する。

こっちに向かって走り出す


ベキッベキっ!


ドドドド!


枝が空を裂き、土が蹴散らされる。

颯真は、メルヴァンの力を借りて森の中で全力疾走。


ーーまさに


“樹鬼迫る鬼ごっこ”


——命がけだ。




「なにし……」


シアの声が聞こえた

振り返らず、僕は心の中で叫んだ


(わかってる!でも何かしないと後悔しそうで嫌なんだ!)


おそらくなにもしないとシアが死ぬ


だから、これはきっと最善だ——。



圧倒的な恐怖と、逃げることで生まれる小さな希望、そして高揚感

そんな混ざった感覚が、僕の胸を激しく打った



——



木のドラゴンが唸りを上げ、シアへ向かってまた一歩踏み出す


颯真の行動が、シアの一瞬の隙を生んだ——それだけが今の希望だった


グオオォォォオオ!


咆哮により大地が震え、空気が軋む

枝や葉が激しく揺れ、戦場全体が生き物のようにうねった



その瞬間、シアの目が鋭く光る

焦りはあるが、彼女は落ち着いていた


「ハァー」


息を整え、杖を構え、魔力を収束させ演唱を開始する



「煉獄よ、光を纏い、鋭刃と─



『そのまま私の周りを周回して!』



颯真は思わず目を見張った

またシアの声が、二重に響いたのだ


頭の中で、もう一つの声が同時に響いたような感覚

やっぱり気のせいじゃない

固まりかけたが、僕はちょっと理解する

きっと能力(アビリティ)を使っているのだと



「わかった!」



僕は命令に従い、森の中を駆け回る

木人間たちの大群が次々と僕の方へ向かう


ーー演唱は続く


シアの杖が空を切り、光が迸り始める

魔法陣が渦巻き、空気を裂く音が響く


「射抜け!——


彼女は演唱を終えると、颯真に叫ぶ


『伏せて!』


—— 煉獄光砲(ルミナスカタクリズム)!」


魔法のオーラが一気に収束する!

瞬間ーー!


ゴウン!


杖の先から鋭く輝く光が放たれた

レーザーのように真っ直ぐ、力強く、空間を切り裂く


ヴィイイン!


僕の頭上を光が通る瞬間、全身が振動で震える



目を開けると、光は木のドラゴンを捉え、

枝や幹と共に森の一部を横一線に焼き払っていた

木人間も次々と吹き飛ばされ、音も匂いも、世界が裂けるようだった


周囲の木々や土は焦げ、煙が立ち込める。

木人間の樹鬼もろとも

ドラゴンは横真っ二つになっている

が、

それでも木のドラゴンは完全に倒れず、


ゴ、ウゴオォンー


わずかに残る蔦がうねり、威圧感を保っている。


「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、」


しかし、すでにシアの息は荒い

魔力のオーラはかつての勢いを失い、天をつくような光の柱は

今やキャンプファイア程度


僕は伏せたまま、胸を早鐘のように打たせた



——



そのとき、森の奥から異質な足音が響く



ドタドタドタドタ——。



僕は息を呑む

(まさか、嘘だろ……敵か……?)


目に三つの人影

だが木人間ではないーー


数名の討伐士らしき人影が、枝を踏み砕きながら駆けてくる



——安堵



おそらく味方だ



顔に傷のある男が口を開く

「君たち、そこで何をしているんだ?!

 あれ?あなたはヴェイルブレイドの……」



別の討伐士と思しき一人が声をあげる



「なっ!おまえは指名手配中の!」


颯真は胸を撫で下ろす

シアも杖を軽く下げ、魔力のオーラを整える



エルドリックが、足元の木の破片に目を走らせる

瞬間、彼の顔にわずかな影が差した——不利を悟ったのだ


エルドリクは沈黙している


(これは…どうしたものかな)


エルドリックは冷静に、しかし判断は早かった


今、残された樹鬼のストックはほとんどない

そして、研究体を無駄にするわけにはいかない

かつ、助けを呼ばれれば少しまずい


——それに

最低限”目標”は果たせた

今ここに残る理由はない



「仕方がない……今回は撤退だ」



彼は木の破片に囲まれた地面を踏み、ゆっくりと後退を始める


その言葉に、颯真は安堵の息を漏らす

完全な勝利ではない——だが、最悪の事態は避けられたのだ


去り際、エルドリックは振り返り、冷たく笑った



「次回予告だ、次はもらっていく——その仮面」



その言葉が、森の焦げた空気の中に鋭く響く

その背筋は安堵から嫌な予感へと変わる


——


森は、戦場の痕跡だけを残して静寂に包まれた

木のドラゴンは跡形もなく消え、木人間も灰と煙に変わった

枝や葉、焦げた土、折れた幹——破壊の爪痕が、森中に広がっている


僕はゆっくりと体を起こす

まだ心臓が早鐘を打ち、足元の地面が微かに震えていた


シアは息を整え、颯真の方を見た



「……助かった、ありがとう….」



その声に、僕はただ頷くしかなかった

言葉は出ない


森の奥では、微かに煙が揺れ、戦闘の残響を伝える


でも、


生き残った——

終わった!



()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



だが、エルドリックの脅威は消えていないのも正解だが


顔にきずのある討伐士が口を開く

「なにがあったか説明してくれないか?」

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