第11話 洗脳
光輪を砕かれた記憶が蘇ったミリエルは、体をよじって逃げようとするが、弱った体では逃げることはできない。
「や、やめなさい! これ以上触るな!」
「そんな口調でいいのか? もっとしっかりお願いしたらどうだ」
「あ、う……お、お願いします。これ以上光輪を壊さないで下さい……」
ミリエルはしおらしくなり、クロウに懇願する。
絶対的な力を持つ天使のその情けない姿を見たガオランは激しくショックを受け、そして更に股間を怒張させた。
一方クロウは「は」と笑うと、四分の一が欠けている光輪の断面をなぞった後、その端を強く握って欠けさせる。
「いぎゅうぅっ!!!???」
ミリエルは絶叫し、体を激しく痙攣させる。
光輪は様々な機能が備わった重要な器官である。
外側が絶対的な防御力を持っており決して欠けることはないが、その内部は極めて敏感であり少し触れただけで脳が焼けるほどの激しい感覚を肉体に与える。
ミリエルにとっては二度目の破壊であるが、とてもその感覚になれることはできず、彼女はみっともなく表情を歪め、顔の穴という穴から液体を垂れ流す。
しかしそれでも完全に気をやることはなく、表情を整え直し、ガオランを見る。
「天使様……」
「安心して……ください。わたしは……だいじょうぶ、ですから」
再び見つめ合う両者。
それを見たクロウは、最後の仕上げに入る。
「光輪を砕いても、体内に神力が残っていたら洗脳は完全には解けない。洗脳を解くには死霊術師の魔力を体内に直接入れる必要がある」
クロウの言葉を聞き、意味が分からず困惑する二人。
しかしミリエルだけは先にその言葉の意味することに気が付き、顔を青くさせる。
「お、お願いです! それだけはやめ――――」
言葉を言い終えるより前に、クロウはそれを行った。
瞬間、ミリエルの下腹部に鋭い痛みが走り、その後じんわりと快感が広がっていく。
「あ、あ、あ――――っ」
びくっ、と一回、ミリエルは体を震わせる。
クロウはミリエルの背後から彼女に密着している。ガオランからはなにをしているかを見ることはできない。
しかし、快感を我慢するように足を震わせるミリエルを見て、彼はクロウがなにをしているか察してしまう。
「あああぁァーーーーーーッ!!!!!!」
地下室にガオランの慟哭が響く。
ガオランは金属製の手枷をジャラジャラと鳴らし暴れるが、それが外れることはない。歯を食いしばり、血の涙を流してクロウを睨みつけるが、その行いはクロウの復讐心を満たすことしかできなかった。
「つらいか? 苦しいか? ガオラン。無力っていうのはつらいよな。俺もあの時同じ気持ちだったよ」
クロウはかつて仲間に暴行を受けた時のことを思い返す。
強い怒りと無力感。あの時は早く時が過ぎてくれと思った。今のガオランも同じ気持ちを味わっていると思うと彼の心はどんどん満たされていく。
「復讐がなんの意味もないなんて嘘だな。だって今の俺はこんなにも幸せなんだから」
クロウはそう言うと、意識も朦朧としているミリエルを抱き寄せ、ガオランに見せつけるように唇を重ねる。すでにされるがままの状態のミリエルは、それを受け入れむしろ自分から舌を絡め唾液を交換する。
「んんんんん――――ッ!!!!!」
ガオランは声にならない声を上げる。
手枷が手首に食い込み、皮膚が切れ血が流れるがガオランはそれに気づかない。過剰なストレスにより脳が焼け思考能力は完全になくなっていた。
怒りと無力感が頭を支配し、それ以外考えられない。
股間は限界まで怒張し、ズボンには染みが広がっている。
「ん、あ、あ――――っ♡!」
ミリエルは徐々に甘い声を漏らし始める。
それを聞きガオランは更に動きを激しくするが、拘束は完璧であり抜け出すことは叶わない。
ガオランの表情は怒りから焦燥、そして絶望に遷移していく。
クロウはそれ見て穏やかな笑みを浮かべる。
「時間はたっぷりある。たくさん楽しもうな、ガオラン」