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流派

さて、見事剣をゲットした俺たちは、そのまま寮へと向かった。

この学校は全寮制で、二人一部屋が割り当てられている。

俺は鍵をもらい、指定された部屋へ行くと、そこには先客がいた。

そいつは長身で男にしては長めの白髪と特徴のないメガネが特徴のやつだ。

そいつは出席番号が俺の前の、久米劉玄くめ りゅうげんだ。

こっちを見るなり、変態を見る目を向けてきやがった。違うから。アレは翼と隣が勝手に大声で猥談始めただけだから。

「違うぞ。いやマジで。アレは俺無関係だから。とりあえずもう少し近寄ろうか。なあ、久米くん」

と笑顔で話しかけてみると、余計にこちらを見る目が厳しくなる。

「あ!こいつ喋った!」みたいな目を向けてきた。いや、喋るだろ。人なんだし。

「剣持。お前は少し周りに気を使った方がいい。」

と言われた。なんか言い方がムカつくやつだな。

えー?俺こいつと寝食共にするの?なんかやだなぁ。ソレは。

その日は必要最低限の会話に抑え、眠りについた。

今日はいろんなことがあったなぁ。

急に隣の奴らが俺を挟んで猥談始めたり、担任がマッチョだったり。剣貰ったり、寮の同部屋がなんかムカつく奴だったり。

明日もあるんだ。今日はとりあえず寝よう。

そんなことを考えて俺は意識を落とした。



目が覚めた。ここはどこだ?見覚えが…なんていうテンプレをやるつもりはないので2段ベッドのシャッターを開ける。

下から「うわ、眩しっ!剣持、お前。」などという憎まれ口も聞こえてくるが、気にするだけ無駄だ。

寮には、生活に必要なものは一通り揃っている。

トイレや洗濯機に乾燥機、手洗い場などだ。

部屋にないものはだいたい寮の共有スペースにある。大浴場、水飲み場などだ。

食関連だけは、部屋にコンロ、調理器具一式、食器一式があり、共有スペースにも食堂がある。

食堂は、おばちゃんが作った食事がタダで食べられる。

とはいえ、その分も最初に学費と一緒に払っているのは内緒だ。


一通り施設の説明が終わったところで、俺は顔を洗いにいく。

顔を洗い、タオルで拭き、ああ、今日も俺はイケメンだ…とそんなことをやっていると、「剣持、早くしてくれないか。僕だって顔を洗いたいんだ。」と同居人が言ってきた。

「わりぃ劉玄、もうちょっと。」

と言うと、

「君が僕を名前で呼ぶな、気色悪い。」

と言われた。頭に来たが、俺は朝が弱い方なので、このまま洗面台を劉玄に譲ってやる。

「先に食堂に行ってるからな。」と声をかけて。


さて、食堂に着いた。

お、あれは翼に隣か。仲が良さそうだ。

「おーい、翼に隣。おはよう。」

と挨拶しておく。

「おぉ、勝利。眠そうだな!」

「お、おはよう、剣持くん。朝、弱いんだね。」

あれ?俺隣とそんなに仲良かったっけ?

まあ隣人だし、これくらいは普通か。

3人で朝食を食べ、部屋に戻って支度をして、学校へ向かう。


学校へ着き、

「おはよう!俺の生徒たちよ!2日目だが気を抜くなよ!?以上、解散!」と5秒のホームルームを終えた。


そして待ちに待った訳ではないが剣術の授業だ。

今日は流派を選ぶらしい。

一度流派を決めても、あとからいくらでも変えられるそうだ。

俺は体格がいいわけでは無く、特段素早い訳でもない。

ということで、とりあえずは技剣を極めようかと思う。

ちなみに、翼は技剣、隣と劉玄は速剣を選んだそうだ。

隣は剛剣を選びそうなものだが、日本刀は剛剣に向いていないらしい。


全ての流派にはそれぞれトップがいる。

剛剣は剣豪。

技剣は剣聖。

速剣は剣瞬。

これらをまとめて3剣と呼び、全ての剣士の目標となっている。

現剣聖と現剣瞬は剣士の頂、聖級剣士なのだ。

3剣はどこにいるかもわからないほど遠い存在なのだ。


そんなことを翼と話し合っていると、技剣道場に着いた。

とても広い道場の真ん中にかなりのオーラをまとった男が立っていた。鋭い眼光を放ち、すらりとした体格て、和服を来ている。年は30前半と言ったところか。

「よく来た諸君。私は柴亮太しば りょうた技剣師範代だ。柴第ニ分家の当主にして一級剣士、持つ剣は大業物『秀翠しゅうすい』だ。」

柴家ってことは、御三家の分家筋か。

こいつも日本刀タイプの得物を持っている。

御三家は刀が好きなのだろうか?

そしてこの男の持つ刀、大業物である。

現在までに八十八工しか存在しないうちの一工だ。

ちなみに聖剣が二十一工、真聖剣が一工存在する。

そのうち故人の物は墓に埋めるのが一般的なので、実際に現役な大業物は二十工もないだろう。

つまりこの男、肉体、精神の熟練度が段違いだ。

剛剣師範代の波動の剣は業物だ。

柴の実力は覇道以上なのだろうか?


どうやら柴は教えることが(覇道より)得意らしい。

覇道は根性型、柴は論理型と言ったところか。

「剣は攻め、刀は受けに秀でている。諸君らの剣の形や性質によって得意分野が異なることを頭に叩き込め。」

みたいな、的確なアドバイスを送ってくる。

マジでこの先生で良かった。覇道は俺とは波長が合わなさそうだからな。隣はバッチリ合いそうだが。


初回の授業は剣を振るったりすることなく、技剣について教わった。

ここら辺は俺は詳しくは分からん。

必要に応じて翼が教えてくれるだろう。



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