表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

下弦の月。

作者: 林檎。

月明かりの下、憂里は走る。


闇が周りの音を吸い込んで、足音がいつもより大きく響いている。


もう少し。

せめて、この先の三叉路まで。


家からここまでの約200mを全力疾走したせいで、心臓がはち切れそうだ。


それでもまだ止まれない。

パパやママはもちろん、

近所の人にも見つかる訳にはいかないのだ。



三叉路まであと、20m。


あと10m。


着いた。


憂里は道の別れ目で立ち止まり、小刻みに息をしながら、改めて来た道を振り返った。


悔いはない。


このまま行こう。 


財布はあるし、念のためお年玉の預金通帳も持ってきた。ジュース2本にメロンパンとクリームパン。

あと、親友のミミもリュックに入っている。



息が落ち着いてから、通学路とは逆の道を歩き出す。

もう、いじめっ子ばかりの学校に行かなくていいし、怒りんぼのパパとも泣き虫なママとも会わなくてすむんだ。


1人で生きていくんだ。


もう誰にも頼らない。

大丈夫、なんとかなる。



憂里は今日の夜の事を思い出した。


怒っているパパの顔。

泣いているママの顔。

そして、こっそり聞いてしまった2人のケンカの内容を。



憂里は出かかった涙を袖でふいて、どんどん歩く。


例え2人のケンカが、憂里がいじめられている事が原因だとしても、もう憂里は居ないからケンカしないよね。


だからパパもママも大丈夫。


憂里は背中にリュックと下弦の月を背負って、歩き続けた。


8歳の少女の旅はまだ始まったばかりだ。





これは、このサイトでの初投稿作品となります。


感想や意見などもらえたら嬉しいです。


これの続きを書くかどうかはまだ不明です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ