足は動く、息苦しさを犠牲に
「足は動く、息苦しさを犠牲に」
「はぁッ‥‥はぁ…ッ‥‥あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」
言葉にならない嘆き、過呼吸気味になりながら夜空に木霊する発狂。
緩やかな筈の風を強く正面から受けながら、整備されていない草原を一気に駆け抜ける。
鼓動も、動悸も、足音も、聞いた事が無い程に早く、早く、早くなり、、背中を伝う謎の震えを‥‥何も感じないフリをしながら進む…進む‥‥進む。
雲一つ無い月夜 微風の吹く草原 彼女以外存在せぬ情景。
普段なら『美意識』を感じる筈の景色だろうと、、彼女の目線は…意識は‥‥此処に無い。
もう既に、、、
彼女はこの世界から≪ 消えている ≫のだから。
「くそッ‥‥、、ッハァ…ハァ‥…私、、、、私、、、ッ…」
乱れた呼吸を無意識で整えるが、足はあらぬ方を向きながら歩みは続く…。
自分を理解できないまま、今の状況を知る事も無いまま、続いていく草原の果てに向いて動く。
全てが無意識で、全てが現実として‥‥実現してしまった、彼女が辿る人生の軌跡。
其の逃避行 対象に何を齎す?
其の逃避行 存在に何を照らす?
「ッ‥‥く‥‥ッ、、、」
逃げろ。
草原を踏み荒らし
地面を蹴り飛ばし
世界を嘲りながら 命を謳え。
「…ッ、、お、おい…大丈夫か!?おーーーい、少女が倒れて… 、 。」
逃避行に想いを馳せて
~life of Re;start~
ー 世界はどうやら美しいらしい ー
そして、彼女の物語が始まる。






