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雲の上
永遠にこのまま、上り続けよう。
覚悟を決めることと、諦めること。
それは反対なようでいて、それでも何だか似ている。
僕はその時、初めてそんな事を思った。
そしてそれを決めた瞬間に、ふっと景色が変わった気がした。
上り続けていた階段が、いつの間にか消えている。
周りに、たくさんあったオレンジのらせん階段たちも。
そうして僕は、ふんわりしたものの上に立っていることに気付く。
「こっちよ」
レンに手を引っ張られている。
ずっと縦方向に上ってきたのに、今度は横方向へと歩いていく。
ここは、ひょっとしたら天国なんだろうか。
さっきと変わらないのは、辺り一面、オレンジ色だということ。
ふわふわの、オレンジ色の上を、レンと二人で歩く。
オレンジ色の雲みたいな。
そんな、世界を二人で歩いていた。