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クムパプユアネ_World:M  作者: 浮巣つぬ
紗倉見
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5

 セーブ・キューブと呼ばれる魔法道具がある。

 手のひらサイズの正六面体。とても簡単に説明するなら持ち運び式の倉庫だ。

 かなり歴史の古い魔法道具で新暦が始まって間もない頃、ある魔法使いが好みの男性を監禁したのが始まりとされている。

 手元や自分の近くにある物をキューブへ入れたり、逆にキューブから出したり、さらには一瞬で服を着替えたり出来るのだ。

 今の時代、ほとんどの人がこれを所有している。必需品と言っていいだろう。

 このキューブは変身魔法によって2つの状態に変わる。

 まずは倉庫の状態。

 広さは値段によって変わるが、安くてもそれなりの広さはある。

 この状態でなくても出し入れは出来るのだが、整理しなければゴチャゴチャになってしまう。

 またにテレビ番組や動画でこれを掃除するのをやっている。杜撰な人を見つけて掃除をしながら掘り出し物を探すって内容だ。くだらないな。と、思いながら見ることがある。

 そして、もう1つは小物の状態。

 倉庫の状態でもキューブの状態でも持ち運ぶのは大変だ。だから、アクセサリーなどに変えて身につけるのだ。しかも、重さはアクセサリーと同じになる。それも人気な理由だろう。

 セーブ・キューブは明け暮れで認められる唯一のお洒落でもある。

 公認魔導師は基本的にアクセサリー類の使用が禁止されている。戦闘の時、悪用されることがあるからだ。ただ、これは必要な魔法道具として認められている。もちろん、悪用されない対策つきで・・・。


 なぜ、急にセーブキューブの話を始めたのか。

 それは今日、舞木の持っているキューブの掃除の手伝いをすることになったからだ。別に寒い冬の時期にやらなくてもいいと思う。私的には、ほんのり暖かい春くらいがちょうどいい。

 私の周囲には式紙で作られた掃除隊達が待機をしている。

 私はそれらと一緒に中に入って、保存食の賞味期限の確認を担当することになっていた。

「じゃあ、始めるよ」

 楽しそうな舞木。それもそうだろうな。好きなグッズの整理とかだから・・・。

 舞木は普段、端末やズボンのベルト部分に付けている小さな剣と盾のアクセサリーを取り出した。

 剣の方には蛇?ドラゴン?みたいなのが絡まっていて、盾の方には何かの鳥のような模様がある。お土産屋さんに売ってそうなやつだ。

 剣と盾はそれぞれ別のセーブ・キューブになっている。

 それを元となるキューブ状態に戻してから「展開」と言い、変身魔法をかけた。

 1つは倉庫。そして、もう1つは小図書館になる。

 小図書館(しょうとしょかん)。研究をメインとする魔法使いは誰でも憧れるキューブだ。

 とある人から譲り受けた物でとても大切に使っている。

「予定通り、私は図書館の掃除をしてるから終わったら教えてね」

「へいへい」

 舞木の方には掃除隊はいない。

 大切な本のある場所の清掃は自分の手で行いたいらしい。魔法でやれば早く終わるのに魔法を使わない謎のこだわりがある人はそれなりにいる。

 私は倉庫の方へ掃除隊と共に突入した。

 中では丸く小さくてフワフワな妖精が出迎えてくれる。


 これは人工的に作られた妖精で守護霊とか精霊とか色んな呼ばれ方をしている存在だ。

 この方式を採用しているセーブ・キューブはアホみたいに高い。一般的なのと比べるとゼロが2つくらい違う。

 公認魔導師になれば、この高級品が与えられる。しかも、引退しても返却しなくていい。

 私は魔法が使えないがもらうだけもらって、舞木が代理として使っている。

 そんな特権が与えられるのは、この方式だと他者からの魔法の影響を受けなくなるからだ。

 魔法道具というのは魔法が使えれば誰でも使えてしまう。それを防ぐための機能があるが、限界がある。色んな魔法があるからね。

 でも、例外がある。それは固有魔法。例えば、舞木の魔導書や南君の剣などは他者には扱えない。譲渡なんてもっての外だ。

 そして、ここで妖精が重要になってくる。

 とある禁術でマナを用いて人工妖精を生み出して、セーブ・キューブをその妖精の固有魔法化する。使用者はその妖精と契約して悪用を防いでいるのだ。

 軽く説明したけど、そのほとんどが法律で禁止されているヤバヤバ魔法。倫理的にヤバい魔法の集合体がこの高級セーブ・キューブである。

 妖精は生存するための魔力を、使用者は維持管理と望んだ物の出し入れを条件に契約するらしい。


 出迎えてくれた妖精は私を見るなり、逃げるように離れていく。

 私の魔法を拒絶する体質は精霊や魔獣、幽霊などの天敵と言える。最悪、触れただけで消えちゃうし仕方がない。ちょっと寂しいけど・・・。

 掃除隊はもう掃除を始めている。

 私は非常食の置いてある棚の前へ。

 こんなに必要なのかな?ってくらいの非常食がある。

 そこそこ時間がかかりそうだ。

 途中、美味しそうなチョコレートがあったので賞味期限とか関係なくいただくことにした。全然、甘くなかった。そんなに量が多いわけでもなかったから食べ切れたけど・・・。

 トントンと腰の辺りを叩かれる。

 見ると掃除隊のゴミ袋が捨ててとアピールしてきた。私に触れてくるとはいい度胸だ。

「す、すみません」

 ゴミを入れると何ごともなかったようにどこかへ行ってしまった。




 それから、もう少し作業をして確認が終わった。

 大きく背伸びをする。

 掃除隊はまだ忙しそうに作業を続けていた。

 うーん・・・舞木の方へ行くか。

 外へ出て、小図書館の扉をノックする。

「はいはーい」

 舞木の声がして扉が開いた。

「終わった?」

「うん。特になかったよ」

「そっか。保存食パーティーでもやろうと思ったんだけどな」

 そう言って、私の唇に触れた。

 いきなり何?と思ったが、どうやらさっきのチョコがついていたらしい。

 それを取って舞木が食べた。

「楽しみにしてたやつだったのに・・・」

「微妙だったよ」

 どうやらアニメであのチョコレートがモデルになったのが登場して買ったみたいだ。

 中に入る。小図書館は空気が全然違った。本当の図書館のような本の香り。いくつもある棚には魔導書や漫画、人形が置かれている。

 お高いあちらのキューブより、さらにお高いこちらのキューブ。普通に暮らせるレベルだ。

 かなり昔の人がこれを使って世界中を旅する動画を見たことがある。

 辺りを見渡すと人形が増えていた。今期の押しだったかな?細部の作り込みを楽しんだりするらしい。

「柊、鑑賞するのはいいけど、触らないでね。私のソウルだから」

 カッコいいことを言っているつもりなのだろうか?無視することにした。

 妖精は棚の上で寝ている。もう片方のキューブにいるのと色が違うだけで見分けがつきにくい。同郷なのだろう。

「漫画でも読んで待ってるよ」

「そうしてて。できるだけ早く終わらせるから」

 この前の掃除の時に読んだやつの続きでも読もう。たしか・・・20巻くらいまで読んだっけ?




 きりのいい所まで読み終わる。何か時間を忘れて読んでいた。

 窓を見ると、外はもう暗い。

 100巻以上ある漫画。先はまだまだ長そうだ。

「終わりにしたの?」

 ちょうど、舞木が外から入ってきた。

「うん。結構、読んじゃった。これは可憐な読書少女としてやっていけるかもしれない」

「何を言ってるか分からないけど、気に入ってくれたなら良かったよ」

 失礼なことを言いながら、剣の形に戻ったキューブを見せられた。

「掃除も終わったし、こっちも片付けるよ」

 舞木の魔法で漫画が棚へ戻っていく。

 私は立ち上がって背伸びをした。

「そういえば、何で急にキューブの掃除をしようと思ったの?」

 昨日はそんなことを思っていなかった。朝から昼くらいまでの間に何かあったんだろう。

「朝に連絡があってね。頼まれてたグッズを探すついでに掃除をしたの。今月の中旬くらいに帰ってくるらしいよ」

「・・・誰が?」

「夏海と海樹」

 紅朱辺(くしゅべ)夏海(なつみ)水浦(みずうら)海樹(みき)。私も何度かあったことがある。

 舞木と南君の魔法隊時代に真珠の指導の下で一緒に活躍した人達だ。

 そして、海樹は海帆の姉でもあり、南君にかなり嫌悪感を抱いている。

 なぜなら、海帆を未だに魔導師にしていないから・・・。

「何か嫌な予感がする」

「まぁ、何とかなるんじゃない?」

 舞木は気楽で良いよな。

 私は南君達と一緒に行動することが多い。何もないといいけど・・・。

 外に出ると冬の夜の寒さで体が震える。

 吐いたため息は白色だった。

 色々と順番とかを考えていたら前回の更新から1ヵ月近く経っていました。次の更新は出来るだけ早くしたいと思います。

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