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クムパプユアネ_World:M  作者: 浮巣つぬ
紗倉見
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 私の名前は逆井(さかさい)(ひらぎ)。柊と書いてひらぎと読む。

 紗倉見(さくらみ)と呼ばれる世界地図の東側にある島国に住んでいる。

 黒い髪をそれなりに伸ばしていて、身長は女性の平均的な高さ。超キュートな女の子だ。

 私は仕事をしている。

 公認魔導師、または明け暮れ(あけくれ)とも呼ばれるこの国を守るお仕事だ。

 最近の仕事でヤバい敵を倒したりした。

 私は大活躍・・・した気がする。うん、大活躍だった。


 そんな私は自分の家でゲームをしている。

 今日は休日。

 暖房で温かくなった部屋で一日こうしている予定だ。たまには、そんな日があっていい。

 同居人は神札シリーズと呼ばれる魔法札の出荷で外出していて、今はいない。

 道草を食ってなければ、もう少しで帰ってくるだろ。

 キリのいい所まで終わって一度、休憩することにした。

 ゲームをやり続けると何だか眠たくなる。

 少し寝ることにしようと思う。

 こんなぐうたら出来る時間があるのは本当に幸せなことだ。

 起きた頃にはお昼ご飯が出来てるだろう。

 それまでの短い仮眠だ。

 目を閉じると、すぐに眠りに落ちてしまった。


 謎の圧迫感。

 それが夢ではなくて現実の出来事だと少しずつ認識し始める。

 ゆっくりと目を開けた。

 ・・・あれからどのくらい経っただろうか?

 目の前には舞木がいた。

 八声(やこえ)舞木(もうぎ)

 長い赤茶色(あかちゃいろ)の髪をいつも後ろで結んでいる女性で私と同棲している。

 見慣れた顔が本当に目の前にあってビックリした。

 たぶん、上に乗られているんだと思う。

「・・・何?怖いんだけど・・・」

「ご飯はどうするか聞こうと思って」

「だからって上に乗るなよ」

 ・・・なぜが退いてくれない。

「え?退いてよ」

「嫌だって言ったら?」

 これだけ体が触れていれば何を考えているか手に取るように分かる。私をからかっているのだ。

 私の返事を待っている。

 何を言っても面倒くさいことにしかならない。

 その時、ちょっと前の舞木の記憶が流れてきた。

 私を見て、もう夕御飯なのによく寝ていられるな。と、思っている所だ。

「え?待って。今、何時?」

「六時半過ぎだけど?」

 ・・・寝過ぎた。

 せっかくのお休みをほとんど睡眠に使ってしまうなんて・・・。

「毛布までかけてあげたんだから感謝してね」

「早く退いてください」

「いーや」

 こうなったら無理矢理にでも・・・と、思っていたら玄関のベルが鳴った。

 舞木は顔を上げて残念そうにする。

「誰だろうな?」と私。

 町の外れにあるこの家に来る奴なんて限られている。

「千疋さんだったら頭をかち割る」

 それはそれで面白そう。

 また醜い争いが見られるかもしれない。

「私も行く」

 退いてくれた舞木がジトッと見てきた。

「何か失礼なことを考えてない?」

「ないない」

 私も起き上がって玄関へ向かった。


 玄関の扉を開けると水色髪の女の子がいた。

 彼女は水浦(みずうら)海帆(みほ)

 とても優秀な魔法使いで公認魔導師ではないけど、明け暮れの仕事にも関わっている。

 魔法以外にも頭もいいし、運動神経も抜群でさらには家事全般もこなせる完璧な友達だ。

「こんばんは」

 公認魔導師の制服を着ているので明け暮れ関連での訪問だろう。

「こんばんは」

 舞木は返事をしてから外を見渡して警戒している。

 その意味を察した海帆さんは苦笑いして「今日は南君さんは夜勤でいませんよ」と言った。

「そう。なら、良かった」

 胸をなで下ろしていた。

 私は、何だこいつ。みたいな目で舞木を見た後、海帆に「一人で来るなんて珍しいね。どうしたの?」と聞いた。

「舞木さん宛の手紙を渡しに来たの」

 手紙を出して舞木に渡した。

「ありがとう。仕事はまだあるの?」

「いいえ。これが終わったら家に帰ります」

「そうなんだ。せっかくだから上がってご飯食べていきなよ」

「いえ、急に来たのに悪いですよ」

 私はそんな海帆の手を握り、中へ連れ込む。

「お一人様ご案内」

「もう・・・お邪魔します」

 仕方なさそうにしているけど、私にはどう思っているか分かっている。

 これを誰にも言うことはない。


 私はゲームをして、海帆は舞木のお手伝いをしている。

 今日は鍋らしい。

 お肉がいっぱい入ってるといいな。と、思いつつ待っていた。

「出来たよ」

 海帆が鍋を持ってくる。

「待ってました」

 何味の鍋だろうか?まぁ、そんなことはどうでもいい。

 私好みのお肉いっぱいの鍋だった。

 野菜も多いけど、それには目をつぶろう。

 海帆は空気を読んでお肉を多めにしてくれた。

 舞木も台所から出てきて、食事を始める。

「「「いただきます」」」

 私達は黙々と食べる。

 食事は出来たらすぐ食べる。という真珠からの教えだ。舞木や南君とか真珠が指導していた人達には、そう教え込まれていた。

 やっぱり作りたてが一番美味しい。


 食べ終えて、少し話してから食後のコーヒーとケーキを持っていく。

「ありがとうございます。何から何まで」と海帆さん。

「ううん。いいんだよ。さて、これだね」

 私は手元にさっきの封筒を出した。

 差出人は千疋さん。悪い予感しかしない。

「見るのは明日にしようか。観測するまで確定しないし・・・」

 呼び出しであることは間違いないだろう。

「さっさと見ろよ。面倒くさいな」

 柊が呆れたように言ってくる。

「ろくなことしか書いてないでしょ。千疋さんも海帆さんにこんな下らないことをさせるなんてね」

「いえ、これもお仕事みたいなものですから」

「あんまりあいつを調子に乗せない方がいいよ。海帆さんみたいな優秀な人は千疋さんにはもったいない」

「そんなことありませんよ。・・・この前の塔莎帝の作戦でもミスして柊を危ない目にあわせてしまいました」

 海帆さんは視線を下げた。

 ・・・あれをまだ引きずっているのか?

 ちょっとだけ重い空気になる。

 今後の研究のために記録を見たけど、作戦通りの動きをしていたし、あの状況で敵の状態を確認するのは当然だと思う。

 柊と目が合う。声をかけろと合図された。

 励ましの言葉をかけるのは柊の得意分野なのに・・・。

 一応、先輩だし助言くらいはしてあげたい。

「あれを失敗と言っていいのか分からないけど、失敗はみんなするよ。私も千疋さんも魔法隊の時にいっぱい失敗した」

 海帆さんはこちらを見る。

「あれは海帆さんの経験になったと思う。海帆さんならもう同じ失敗はしないでしょう?」

「はい。もう絶対に・・・」

 普通の人なら何回も経験して覚えていくけど、海帆さんが言うと本当にもう失敗しなさそう。

「魔法の世界はよく分からないことだらけだ。これからも色んなことを経験していく。失敗した分、成長したって思えばいいと思うよ」

「・・・難しいですね。でも、そう思うようにしてみます」

「うん。そうしてみて」

 これで良かったのかな?

 まぁ、海帆さんなら大丈夫だろう。

「終わった?じゃあ、さっさと手紙を開けようよ」

 柊、こいつ・・・。

 手紙には他の人に読まれないようにするための魔法がかけられていた。

 解除する魔法は心当たりがある。昔、ペアを組んでいた時に使っていたやつ。

 試しにそれを使ってみた。・・・簡単に解術される。

「早く早く、何が書いてあるの?」

 楽しそうにしている柊。

 手紙に目を落とす。・・・予想通りのことが書かれていた。

「今回の件のお給料は明け暮れで手渡しだそうです」

 肩を落とす。

 ・・・面倒くさい。

 二人もこの後の展開を予想出来ているのか苦笑いしていた。


 海帆さんを見送った後、ソファーに倒れ込んでもう一度、手紙を見る。

 いつ受け取りに行こう。行くなら千疋さんがいない日がいい。っていうか今どき手渡しって・・・。振り込んでくれよ。

 手紙を浮遊されてテーブルへ置く。

「大変だね」

 柊に上に乗られた。

「嫌なことはさっさと終わらせた方がいい。明日にしない?」

 ・・・それもそうだな。

「分かった。そうするよ」

「そうしてくれ」

 欠伸が出た。何だか今日は眠い。

 たまには早く寝ようかな。

「あのぅ・・・私はまだ眠たくないのですが・・・」

 ずっと寝てたからね。

「どうしろと?」

「眠たくなるまで起きてて」

 ・・・寝たいんだけど。

「取りあえず、お風呂に入ろう。温まれば眠くなるかもしれないし」

「うーーーん・・・まぁ、いいでしょう」

 何だ?こいつ。

 式紙と呼んでいる紙人形を出してお風呂へ向かわせる。

「普通にお湯を入れてね」

 魔法で入れればすぐなのに・・・。

「上を向きたいから一回退いて」

「仕方ないな」

 私は仰向けになり、なぜか柊は足の間に入って、また乗っかる。

「今夜は寝かさないぜ」

 私の目の前で悪戯っ子のように笑う。

 寝かさないじゃなくて柊が眠れないだけだろう。

「うるせぇ、私は寝る」

 魔法で部屋の明かりを消した。

 1月、長いよ・・・。

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