表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クムパプユアネ_World:M  作者: 浮巣つぬ
明け暮れ
13/49

7 手直し中

 紗倉見に認められた魔導師集団、明け暮れ。

 私、逆井柊も所属している非常に優秀な組織だ。

 私達は国を防衛したり、戦争となったら他国を攻撃しなければならない。

 だいぶやっちゃってるお仕事だ。

 でも、紗倉見は地理的にもお国柄的にも防衛することはあっても戦争になることはほぼないだろう。

 海の真ん中にポツンとある紗倉見なんてたいして価値もないだろう。

 自称神様がまだやってこないのはあんまりアピールにならないからかもね。

 ただ、今は魔法がある。それを使って暴れたりする輩や犯罪組織がたまに問題を起こす。

 そんな阿呆な連中の対応が主な仕事になっている。

 アンノウンが来るまではとても暇だった。それくらい紗倉見は平和な国なのだ。

 でも、危険であるのは間違いないし、国民を守るために失敗は許されない。とても重要な仕事なのだ。

 暇な時にゲームして遊んでいたり、パトロールと称してパールに入り浸ってる集団ではないのだ。

 明け暮れは魔法省の管轄だ。

 魔法省の大臣兼明け暮れの責任者をやっているのは大橋桂一郎さん。

 おじいちゃんだ。

 本人は魔法が使えないのに魔法省の大臣と明け暮れの責任者をしている。この国すごいよね。しかも、かなり長い間やっているみたい。

 魔法はたしかに素晴らしい力なのかもしれない。

 だけど、面倒くさいことも多く、それを受け持つのが魔法省って感じだ。

 新しい魔法の法整備をしたり、魔法を使えない人々への支援など色々ある。

 ・・・明け暮れは面倒くさい組織ではないはず。

 詳しくはないけど、似たような組織の魔法隊は防衛省の管轄だった気がする。一緒でもいい気もするけど、線引きをされてるのかな?

 魔法で何か問題が起こったら魔法省の責任。平等を訴える活動家から目の敵にされるのも魔法省。

 評判の良い政治家になりたいなら、魔法使いとそうでない人から板挟みになるこの職には就きたくないだろう。

 魔法を極めたり、研究したり魔法に関わりたい人もいるだろう。

 でも、魔法使いなら個人でも出来るし、魔法隊や魔法研究所など優秀な機関もある。ここじゃなくていい。

 魔法省は想像するより華やかではないのだ。桂一郎さんも悪い大人から都合良く使われてるのだろう。よく耐えられるなと思う。

 私だったらさっさと辞めるね。




 私は待機室のソファーの上で倒れていた。

 今日はまだ出動を命じられる程のアンノウンの出現やヒャッハーな連中はいないみたいだ。平和でいい日だ。

 何も考えずにのんびり過ごしていた。

 まぶたが重くなってきた頃、桂一郎さんが待機所に現れた。

 欠伸をしながら上体を起こす。

「どうしたんです?」

「夕月君を探していてな」

 部屋を見渡してすぐに戻ろうとする。

「仕事の話?」

「逆井君はここに仕事をしに来ているのだろう?」

「まぁ、そうかな」

 いつもの冷え切った視線を向けられる。もう慣れた。

 桂一郎さんは息を吐いてから口を開いた。

「水浦君はトレーニングをしていたぞ。逆井君は鍛えなくていいのか?」

「さっきまでこってり絞られて身体中が痛い」

「・・・そうか」

 呆れた様子。さっさと部屋を出ようとする桂一郎さん。

 私は呼び止めた。

「待って。私に聞かないの?知っているかもしれないだろ?」

 メッチャ面倒くさそう。

「・・・知っているのか?」

「いや、知らないけど」

 特に言葉を返すこともせずに部屋を出ようとする。

 そこにちょうど海帆が戻ってきた。

 夜勤で出動してた南君を起こす時間なんだろう。夜勤で出動すると基本的に午前中は休みになる。

「おはようございます」

「おはよう。水浦君、夕月君を知らんかね?」

 あれ?私と違う。

「真也さんは早めの昼食です。南君さんと入れ替わりなのでもうすぐ戻ってくると思いますよ」

「そうか。会ったら執務室で待っていると伝えてくれ」

「分かりました」

 個人の呼び出しか。何かあったのかな?そんなに興味はないけど聞いてみた。

「何かあったの?」

「先日の夜々君の件だ。被害の修繕を魔法隊に任せていたのだが、それが終わっってな。その話し合いだ」

「怒られるのか。可哀想に」

 興味が無かったので寝ることにした。さっきはもう少しで寝れたのに。

「逆井君の入りたての時の方が大変だったがな。ニュースにもなって、最後は人権問題にまで発展したからな」

 嫌な所を突いてくる。

「・・・その節はどうもでした」

 毛布を顔まで掛けた。

 思い出したくないことを・・・。寝る。絶対に寝る。夢に出てきたら嫌だな。

「ところでさ」

 海帆の空気を変えるような声。嫌な予感がした。

「柊は元気になった?暇なら午後からも走ろうよ」

 足音が近づいてくる。圧みたいなのも感じる。

「まだ疲れが取れない。一週間くらい休みが欲しい」

「賭けオセロで負けたのにそれは駄目じゃない?」

「また賭けたのか?」

 桂一郎さんの声はちょっと呆れていた。

「はい。私が勝ったら一日私に付き合うって条件で」

 今だ。と私は起き上がる。

「賭けなんて駄目ですよね。言ってやって下さいよ。桂一郎さん」

「君が言うのか?まぁ、運動不足だろうし、水浦君任せたよ」

「へぇ?そんな・・・」

 膝から崩れ落ちる。

「はい。任せて下さい」

「では、失礼する。今日は夕月君の指示で解散してくれ」

「はい。お疲れ様です」

「給料上げてくれー」

 私の謎の要求は無視された。




 海帆さんから伝言を聞いて執務室へ向かっています。

 何を言われるのでしょう。

 顔は毎日のように合わせていますが、1対1はやはり緊張します。

 執務室の扉をノックしました。

「夕月です」

「どうぞ」

 部屋に入る。

「失礼します」

「うむ。座れ」

 向かい合って座り、茶封筒を受け取ります。それとは別に一枚の用紙も。

 茶封筒は後で確認するとして重要なのはその用紙です。

(こちら)でこれからその件について話し合う。最終的には大規模な作戦になるかもしれないな」

 その用紙には明け暮れへの要望が書かれています。

 簡単に言えば、夜々の件の後処理をやってあげたから、こっちのお願いを聞いてね。ということです。

 内容は小型アンノウンの対処の協力とその事態の収束でした。うまく魔法隊に仕事を押しつけたと思ってたんですが・・・。

 最近、誰にも見つからずに湧いてくる小型アンノウン。

 誰かの仕業なのか見つかっていない通路があるのかまだ分かっていません。

「最近、毎日ですからね」

「ああ、それに群醜帝(ぐんしゅうてい)のこともある。紗倉見ではまだ未確認だが、どんなに徹底しても見落としは出てくる。そうなったら明け暮れの出番になるだろうな」

 群醜帝。突然、それが現れたら魔法隊の過半数は対応出来ないでしょう。

「分かってます。でも、困りましたね。(ひさぎ)さんは何か言ってましたか?」

「任せたとだけ」

「あの人は本当にそれだけですね」

 ため息を吐く。

「少し考えさせて下さい。明日の会議でみんなと決めます」

「そうか。分かった。魔法隊にもそう伝えておく」

「ありがとうございます」

 思ったよりも厄介なことになったかもしれません。




 あの後、もう少しお話をしてから解散になりました。

 小型アンノウンの対応ですか。どうしましょう。

 小禄さんは忙しいから頼めませんし、柊は機動力がないのと遠くで発生した場合は移動に時間がかかります。夜々はペアで行動しないとまだ不安です。

 僕と南君は夜勤もあるし、他にも大型以上のアンノウンはこちらの仕事です。

 廊下の自販機でコーヒーを買って飲みました。

 海帆さんが明け暮れに正式加入してくれれば多少は楽になるのですが・・・南君は許してくれないでしょう。

「誰かいい人いないかねぇ・・・」

「そんな真也さんにオススメの人がいますよ」

 どこからともなく南君が現れました。

「おぉ・・・ビックリした」

 思わず反応してしまいました。

「ずっと話は聞いてました」

 腕を組んで自信満々の表情です。

「どこから?」

「執務室からです。盗み聞きしてました」

 乾いた笑いしか出ませんでした。

 南君はたまに暴走します。

「とてもよい人材がこの紗倉見には眠っています」

 どうせ、八声(やこえ)さんでしょ。

「そう。それは八声舞木です」

 やっぱり。

「真也さんもご存知の通り、とても優秀な魔導師ですよ」

 長くなりそう。

 何度目か分からない二人の昔話を聞かされました。




 どのくらい経ったでしょうか?ようやく終わりがきました。

 ずっと適当に相槌を打って、話を終わらせようとしましたが無理でした。

「・・・という理由でやはり舞木を入れるべきなんです」

「・・・うん。そうだね・・・考えとくよ」

 やっと終わりました。一体何の時間だったのでしょうか?

 何の仕事するんでしたっけ?さっきまで何を考えてたんでしたっけ?

 ズンッと体が重くなった気がします。

 しかし、僕は油断をしていました。もう終わったものだと。でも、南君的にはまだ終わっていなかったのです。

「先月も同じこと言ってましたよ」

 ニッコリ笑って、そんなことを言われました。

「たしか先々月も同じことを言ってたような」

 うぅ・・・。面倒くさいです。

「えーとね」

「はい」

 ジリジリと距離を詰められます。なんでこんなに追い詰められてるんですかね。

「検討、要検討ってことで臨機応変になんとかするから・・・ね?」

 何も解決しなさそうなフワッとした言葉を並べます。

 ニッコリしながら首をかしげる南君。すごい怖い。

 どうしましょう。・・・なんかいい感じの話題。話題・・・。

「そ、そうだ。け、健康診断の日程変わったの聞いた?」

 それを聞いた瞬間、圧が消えたような気がします。

「そうなんですか?すいません。まだ待機所には行ってなくて」

「朝にケレーディア先生から連絡が入ってね。明日の朝のなったからよろしく。ちょうど休んでたからまだ知らないかなって」

「はい。分かりました」

 端末を出してメモをしています。

「とりあえず、解散ね。仕事があるから」

「え?話は終わってませんよ」

「ちゃんと考えとくから。信じて」

 逃げるようにその場を後にしました。

 机と椅子を買いました。床に座っているとすぐに足が痺れて長時間パソコン出来なかったのでかなりいいです。感動です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ