20話
(レイ!! 模擬戦なんだから、今のはやり過ぎよ!!)
(俺はクリスに全力でやるって約束したんだ!)
(そうだとしても限度が!)
姉さんに注意されてるのを無視して、一瞬でクリスに近づき急激に上がったスピードで力任せに攻撃し続けた。クリスは、更にスピードが上がって、手数を増やしてきた俺に驚きながらも、必死に守り続けた。しかし、徐々にクリスも疲れが出てきて、奥歯を噛み締めながら、尚も必死に守りに徹した。
「くっ……! これぐらい!」
だが、とうとう防御が間に合わず右肩に切り傷が入った。俺はこれで勝負がついたと思い距離をとった。
「はぁ…はぁ……はぁ……これで勝負あったな?」
俺も急激な身体能力の上昇に体がついて来れず、正直もう限界が来てた。
「まだだ! 僕はまだ戦える!」
クリスはそう言ってまだ戦おうと分裂させてた剣をくっつけ、それを片手で持ち武器を構えた。俺自身もう動けなかったし、勝負ももうついてると思い、説得しようとした。
「もう勝負は着いただろ!!」
「まだだぁー!!」
そう言ってクリスは俺に迫り片手で持った両刃剣で斬りかかってきた。俺は再び武器を構え引き金を引こうとした。
(レイもうやめて!! それ以上は本当にどっちかが大怪我する!)
姉さんが、俺を必死に止めようとしたが、それを受け入れれるほど、今の俺には余裕がなかった。
「そこまでだ!! お前達一体何をしている!!」
突然先生が間に入り叫んだ。俺とクリスは、いきなり間に入ってきた先生に驚き動きを止めた。
「お前達! 一体何をしてるんだ! グローレイン、貴様にはこの前模擬戦と殺し合いは、違うと言ったばかりだな!」
「ですから一撃入れたので「口答えするな!」……っ!」
「それからリーヴァル! 一撃受けてなぜまだ続けようとした!」
「先生これは模擬戦じゃないんですよ。正式なやり取りの上での、由緒ある決闘です!」
「由緒ある決闘だと? リーヴァル!! ふざけるのも大概にしろ! フェニクス帝国では、由緒ある決闘と言えば、殺し合いをするのか!」
「そっ、それは……」
「お前たち2人は今後2週間は模擬戦禁止! もし破れば即刻退学だ! わかったか!」
「「……」」
先生はそう言って、俺達を睨みつけてどこかに行ってしまった。俺とクリスは接続を解除だけして、ただその場から動かず周りには、不穏な空気だけが広がってた。
「レイジ!! 大概にしいや!! いくらなんでもやりすぎや!」
「クリス!! 貴方はなんでいつもいつもそうなんですか!」
そんな空気を壊すかのように、ユーリとエマが俺とクリスに怒りながら駆け寄ってきた。
「あのまま先生が来んかったら、レイジどうするつもりやったん!! 頭に血が上っとったんは、しゃーないにしろ限度があんねん!!」
「悪かった。気がついたら負けるわけにはいかないと思って……これからは気をつけるから…本当にごめん」
「わかってくれたらええねん。でもな、次は許さへんからな?」
「わかった…」
そう言ったユーリは、俺が反省してるのを見てホッとしていた。
(姉さんもごめん…必死に俺に注意してくれてたのに…)
(私の事はもういいの。その代わり、これからは傍に居る人の気持ちも考えてあげてよ?)
(わかった……もうユーリに心配かけないようにするよ)
(あら? 私は別にユーリちゃんだけの話をしてないんだけど?)
(ただの言葉の綾だよ。 姉さんもわかってるだろ?)
(はいはい♪ でも…ムリだけはしないでね)
(わかったよ姉さん)
(それじゃ、罰としてパンナコッタと別に、他のスイーツも今日は追加ね♪)
それだけ俺に伝え姉さんは、静かに微笑んでくれた。
「レイジ……その、すまなかった。 少し……いや、かなり頭に血が上ってたみたいだ」
エマに怒られたからか、クリスは罰が悪そうな顔で、俺に謝罪してきた。
「いや、俺もかなり血が上ってた。俺の方こそ悪かった……腕大丈夫か?」
「あぁ……これぐらいすぐ治るよ」
そう言いって、痛みで苦痛な顔を見せながらも、ふっと笑みを見せた。
「それにしても、クリスのあの武器は凄すぎるだろ?」
「それを言ったらレイジのスピードも異常だろ? あのスピードはやっぱ能力なのか?」
「能力と言えばそうかもだけど、アレは俺自身じゃなくて、武器の能力だな」
「あれと別にあるのか!? なんだ……反射速度か…」
クリスは、ぶつぶつ言いながら考え始めた。その姿を見てエマはため息をついてた。
「クリスったら、またそうやって気になる事があったら、いきなり考え込む」
「そういえば、これ返したらいいのか?」
俺は叩きつけられた手袋を見せ聞いた。
「……ん? そうだな僕が負けたし持っててくれ」
「ちょっとクリス!? 貴方その意味わかって言ってるの!?」
「意味? そもそも俺は負けた時どうなるか知らないんだが?」
ただでさえクリスの言動に慌ててるエマは、俺の言葉を聞いた事により、驚き出した。
「も……もしかして意味もわからずに、クリスの決闘を受け入れたの!?」
「まぁ、そうなるな?」
「フェニクス帝国では、決闘に負けた者は勝者の盾や剣となるのよ。と言っても、それは昔の事と言って気にしない人もいるけど、身分が上がるにつれて、まだその古い考えの人が未だに多いの。ましてクリスは……」
そう言ってクリスを一瞬見たエマは、事の重大さに興味もなく、ひたすら思考を巡らせてる姿に肩を落とした。
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