表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

デパ地下ビジホ飲みデッキが優勝を狙えるダークホースだった件

 ビジネスホテルに宿泊する人間の頭の中には、永遠の課題が鎮座している。それは「今日どこで飲むかな…」である。


 ほとんど開かない窓から見えるのは、見慣れた居酒屋チェーン店の数々。安くて美味しいんだけど最近職場のやつと行ったな、などという思いが去来し、意気揚々と知らない店に突撃する…勇気もなく。そもそも一人で飲みに行くのもなと考え直して、コンビニでいつものつまみといつもの酒を買い、まぁいいかと大浴場に入って飲んで寝る。


 このような経験をした読者の方は、きっと一人や二人ではないだろう。決してこれが悪いという訳ではないのだが、何かこうルーチンワークのような、「ようし飲むぞ!」というよりは「とりあえず飲むか…」という後ろ向きな気持ちがあるのは否めない。やはり義務感から開かれる酒宴は、どこか味気ないものなのである。


 そこで、だ。ビジネスホテルというものを改めて考えて欲しい。ビジネスと仰々しい名前を掲げるだけあって、やはり大きな駅の近くが多い。


 となると、駅前にはあるのだ。デパートが、否デパ地下が。




 おおよそ家庭を持たない独身の人間にとって、デパ地下というのは職場の土産を買いに寄るかどうかが良いとこの場所である。言い過ぎじゃねぇかなと思われるかもしれないが、現にこの間行った時に独身男性と思しき存在は私ぐらいであった。


 だがそんな冷たい視線を差し引いても、デパ地下は凄かった。和洋中ありとあらゆるツマミが軒を連ね、取り揃えてる酒の種類はまさに百貨店の名に相応しい商品の数々が並んでいる。ついでに朝食バイキング代をケチった私には嬉しい焼き立てのパンの香りが鼻腔をくすぐる。食べればマウントが取れそうな珍しいデザートも置いてある。


 ようしじゃあ食うぞ買うぞ…と言う前に、私は気付く。もうそんなに胃袋がデカくないという事実に。


 だからこそ、デパ地下である。立ち並ぶ色とりどりの惣菜をよく見ると、そのほとんどが計り売りなのだから。


 食べたい物を食べたい量だけ、そしてお酒は普段よりもちょっと豪華。ホテルのレンジで温めて、飲んで寝て朝風呂入って。そんな少しだけ羽を休める時間で、今日も少しだけ優勝に向かって前進したい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 私が出張した時は、ビジホのフロントか(深夜とか最悪は)出張先の担当者に飲み屋を紹介してもらっています。 さすがにハズレを引かされた事はありません。 飲み屋も何も無かった事は何度もありますから…
[良い点] わかる
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ