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チキンハート 4/20

「そうか。すまなかった。考えてみりゃ、俺がしがないレスラーで、お前もいろいろ辛い思いをしたんだろうなあ」

「父さんが謝ることじゃないよ。父さんは俺と母さん、それと仲間を養っていくためにリングで闘ってたのは俺だって知ってる。少しも恨んでないって言ったら嘘になるけど、今なら分かるよ。父さんは間違いなくUFEIでトップクラスの実力者だったって」


「そいつはただの買いかぶりだ。お前の目は曇ってる。そんな節穴じゃあ、プロでは通用せん。すまんが、今回だけは諦めろ」

「諦めろって言われても、何もしないままじゃ諦められないよ。俺は今までそれだけを目標にやってきたんだ。だから一度でいい。本当のプロの厳しさってやつを俺に教えてくれよ。父さんの力で一度でいい。俺をプロのリングに上げてくれ。そこで観客が湧かせられなければすっぱり諦めもつく」

「なんだと? お前、話を聞いてなかったのか。俺が直談判に行ったところでけんもほろろだったんだ。上げようにもお前を上げるリングはないと言われたんだ。俺みたいな引退したロートルには何の力もないんだ」

「本当に……何もない?」

「ああ。せめて売り方をワンセットで持ってこないと無理と言われた。俺はプロデュースの方はさっぱりだし、デイビスたちにしたってそんな知恵は回らんだろう」

「じゃあ、売り方さえ用意すれば、向こうも考えてくれるんだな?」

「建前はな。そんなもんがあるくらいなら向こうで用意するさ。フロントが食いつく魅力的なプランでもありゃあ別だが」


 マックスはしばらく考え込んだ。アレックスとてそんな都合のいいアイデアが簡単に浮かぶとは思っていない。


「こういうのは……どうかな? 俺がガキの頃からやってみたかったキャラクターなんだけど」


 マックスがひと通りの説明を終えるとアレックスも腕を組んで考えた。


「ううむ……確かに客受けはいいかもしれんが、リスクが大きくないか? 下手すりゃ赤っ恥をかくだけだぞ」

「でも、役員会が食いつかなきゃ試合も組んでもらえないんだろ? リングに上がれるなら何だってやるさ。後がなくってもいいんだ。どうせ俺にはプロでやってくガタイがないんだから」

「そうか。分かった。じゃあ、お前の案を持ってもう一度だけ掛け合ってやる。だが、それでも撥ねられたら今度こそ諦めるんだ。いいな?」


 マックスが首肯し、とりあえずの決着は付いた。

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