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その夜、一人でベッドに横になっている男の子に、冬の子は話しかけました。
「お誕生日のパーティーは楽しかったかい?」
「とっても、楽しかったよ!」
男の子は答えました。
「ぼくも、楽しそうな君を見て、とってもうれしかった!
けど、もうこれ以上ここを秋にしておくわけにはいかないんだ。南の人たちが、冬の子を待っている」
「ぼく、もう天国にいってもいいよ。約束だもん。ありがとう。冬の子さん!」
「おやすみなさい。冬の子は南に行ってくるよ」
冬の子は、最後の葉っぱを落としました。
そして、ここよりもっと南のまちを、冬にしに行きます。
「大遅刻だぞ! いそがなくちゃ。」
南のまちの人たちは、冬の子を待っていました。
「冬の子やーい! どうして遅れたんだい?」
南のまちの人たちが、冬の子に叫びました。
「道に迷っちゃったのさ。冬の子だって、そういうことがあるんだよ」
end