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「冬の子やーい! まだ冬にしないでおくれよ~!」
農家のおじさんが冬の子に向かって叫びました。
「どうしてだい?」
「まだ作物が育ちきっていないんだ。ここで寒くなったら、小さいものしか取れないよ」
「冬の子は去年と同じくらいの時期に働いているよ。冬の子はとめられないんだ」
冬の子はさらに南に行きました。
「冬の子やーい! まだ冬にしないでおくれよ~!」
熊が冬の子に向かって叫びました。
「どうしてだい?」
「まだ冬ごもりの準備がすっかりできていないんだ。」
「とっても寒くなるまで、まだ時間があるよ。きっと間に合うさ。冬の子をとめることはできないよ」
冬の子はさらにさらに南に行きました。