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メイドさん

私が目覚めたことは両親も知ることになり、すぐに家中が騒がしくなった。

しかし、一週間たってもルアちゃん以外部屋を訪れてくれる人は誰もおらず少し寂しい。


ルアちゃんとはかなり仲良くやっていて、最初はまごついていたが今は笑って自分の話をしてくれるようまでなった。

一週間で大進歩だ。

「それで、他の女中の方がいつも言ってくるんです……『アメリア様に虐められているのか 』って!皆さん誤解なさってるんですよ!!って…聞いてますか!?」

「あ…あぁ、ごめんなさい、ちょっと惚けていたわ。それで?私が貴方を虐めてるっていう噂?」

見るとルアちゃんは頬を紅潮させながら頷く。

「それはしょうがないことよ。覚えていないけれど、私は頭を打つ前最悪な娘だったでしょ?貴方にも悪さをしてしまったのかもしれないし………。」

そう言うと、ルアちゃんは萎れてしまった。

「そうです…アメリア様は毎日私達に文句をつけてはコップの熱湯をかけたり……それが耐えきれなくて辞めていく人もたくさんいました。」

あー、アメリアの胸糞エピソードが次から次へと。

本当にそんなのだからテオルドに嫌われるんだぞ!

私は誠心誠意心を込めて頭を下げた。

「そんな酷かったのね………今更かもしれないけれど、本当にごめんなさい。あと…そうやって事実を教えてくれてありがとう。」

ルアちゃんは#あの__・__#アメリアが謝罪するなんて予想していなかったらしく動揺しているようだ。

震える声で私の肩を持った。

「頭を上げてください!あの時は確かにアメリア様を恨んでいました…。でも今は…すごく楽しいです!こうやって話したりとかアメリア様が夢で見た世界の遊びを一緒にしたりとか……!」

ルアちゃんはそう早口に言って涙を流し始めた。

「ごめんなさい、困らせるつもりはなかったの…。今、貴方が楽しんでくれていてよかった……。私、ちょっと心配だったの。」

「心配…?」

「えぇ、誰も味方なんていないって思ってた…。薄々、自分が悪い人だってことには気づいていたし…両親もここには来てくれない、だからひとりぼっちなのかもって。だから貴方がぎこちなくも一緒にいてくれる事が凄く嬉しい。」

「アメリア様………」

一人でも味方はいた方がいい。

もし婚約破棄されるだけだったらルアちゃんといればきっと楽しい隠居生活が送れるはず。

だって可愛いし、こんな『仇』みたいな存在を許してくれる究極の優しさを持ってるし……。

「ルアちゃん、私を……許してくれる?」

「………はい!」

ルアちゃんは顔を上げて私の手をぎゅっと握る。

完璧に許せ、なんか言わなしそんなのできるわけない。

でも少しでもこれからはいい主人になろう、私を受け入れてくれた人のために。









「アメリア様、いいですか?私のことは呼び捨てにしてくださいね?」

「どうして?」

そう聞くとルアちゃんは顔を赤くして言う。

「そっちの方が仲の良い感じがします…から。」

そうなのか………あまり、前世では他人を呼び捨てで呼んでいなかったから若干抵抗はあるが、ルアちゃんからのお願いを聞かないわけにはいかない!

「分かりました、ルア…こう?」

カタコトになりそうなところを必死に繋げて言ってみた。

ルアち…ルアは嬉しそうにニコニコしている。

ほんとにこの一週間とちょっとで変わったものだな……。

他の女中さんは私の事を警戒していて近づいてきてくれる雰囲気もないからまたの機会に!








本日は遂に学園に戻る日です!

恐らく断罪イベント日はルアによると明後日なので、それまでの辛抱。

そんな不安とともにド派手なピンクのドレス、デザインの仕事をしていた者からすると…はっきり言ってダサいけれどもそれを着て素っ気ない両親に挨拶しに行く。




母は私が何を言っても返事をしてくれない。

父は「元気になったのか。」とだけ言って書斎に帰っていった。



「何よ、あれ!!」

「アメリア様、聞こえてしまいますよ。」

「だって…あれが親だって言えるの?はぁ…これが原因なの?」

「今何かおっしゃいました?」

最後の部分は小声で言ったので幸いルアには聞こえなかったらしい。

「ううん、なんでもない!」

しかし、こちら、怒りしかないです!

絶対アメリアが悪女になったのもこの家に一因があると思う。

彼らは娘が大事じゃないのかね!?

あぁぁ有り得ない!!!

そう思いながら玄関の脇に停められている馬車に乗り込む。

「じゃあ、行ってくるね!」

「行ってらっしゃいませ、アメリア様!」

送り出されるってなんか気分いいな~と思って、小窓から見えなくなるまでルアに手を振り続けた。







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