明日も一緒に居たいから
「大黒天ってあの木槌持ってる大黒様ってやつだよね?」
「商売の神様ってイメージが強い」
「それよりも皆がいう毘沙門天じゃダメなの?」
「ダメなことはありませんぞ。
ただ、この中で最も確実なのは間違いなく大黒天ですな。
仏教に帰依したあの神であるなら間違いないでしょう」
鳥の言葉に小白金は暫し考えるがようやくその理由に思い当たる。
「そうか、シヴァ神か!!」
「ええ、しかも大黒天はシヴァがブラフマーとヴィシュヌを取り込んだマハーカーラーとも言われています。
七福神の中で間違いなく最強の存在でしょう」
「確かにそれならばこの場を治められる・・・が、風の身体が持つじゃろうか?
あまりにも人の理から外れすぎておる」
小白金はそう言って心配するが、風は自分の胸をバンと一つ叩いた。
「大丈夫!僕は必ずやり遂げてみせるからその一番強い神様でお願い!」
「やれやれ、仕方ないのう。
少しでも確率を上げるためにお主達の霊力の残りも全部風に渡すのじゃ」
小白金の言葉に最初に月が動いた。
「後は全部風に任せる」
「大丈夫!必ずなんとかしてみせる!」
月は残りの霊力を全て風に託すと気絶するようにその場に倒れた。
「小生は役立たずで対した量は無いのが申し訳ないですな。
後はお任せしますぞ!」
「鳥がいなかったらここまで来れなかったのに役立たずな事なんて無いよ。
これからもずっとチームを支えてよね」
鳥も残りの霊力を全て風に託すとその場に倒れこんだ。
「全くいつも無茶するんだから。
これで風だけ自分を犠牲にして死んだりしたら絶対に許さないからね。
必ず生きて明日も明後日もその先もずーっと一緒にいるんだから!
それを忘れないでよね!」
「花、いつも心配してくれてありがとう。
大丈夫!私たちはいつまでもずっと一緒だよ!」
花もありったけの霊力を風に注ぎ込むとその場にドサリと倒れた。
「準備は完了したの。
妾はお主達のような弟子達を持って果報者よ。
しかし、まだまだ伝えたいことがあるから死ぬで無いぞ。
七福符よ!
この者の身体を依り代にこの場に望む神を降ろしてくれたまへ・・・大黒天!!」
七福符を起動するのに全ての霊力を使った小白金の姿が消えていく。
そして、一人残された風の意識も暗い闇に吸い込まれていくのだった。




