寝はいい奴なんですよね
花鳥風月が活動する曙町。
その曙町から川を挟んで向かい側には東雲町と名前の町がある。
この町にもマガドキバスターズの支部は存在しており、そこに所属するチームがいた。
そのチームの名は一騎当千。
一、騎士、当、千の中学生男子4人で結成されたチームである。
彼らは花鳥風月よりも3年前にチームを結成し、現在はほの位に位置している。
今日も意気揚々と任務をこなそうとマガドキバスターズの支部でもある町のプラモ屋にやってきていた。
しかし・・・
「ゲートが使えないとはどういうことですか?」
チームのリーダーであり東雲町にある神社の跡取り、一がプラモ屋の爺さんに尋ねた。
「どうもこうもないわい。
ワシのところは古くからやっとるから設備も古い。
じゃからこうして偶には壊れることもあるわい」
爺さんは裏口をガタガタと動かしているがゲートは一向に直りそうになさそうだ。
「じゃあ、今日の任務はどうしたらいいのですか?
もう名札を読み込んで受注しているのですが」
背中に竹刀と剣道着の入った袋を担いだ中学生にしては大柄な金髪の少年、ナイトも納得いかずと言わんばかりに爺さんに文句をつけた。
その後ろでは喋らないものバンダナの少年、当も頷いていた。
しかし、今まで黙っていた千ことサウザーが突然さけ
びだした。
「つまり、吾輩たちに別の支部の入り口を使えというわけだな!
実に面白いぞ、がっはっはっはっ!!」
急に叫び出したかと思えば大口で笑い出す様は狂人と言って良いだろう。
しかし、残念なことに彼の意見は何一つとして間違っていなかった。
「千の言う通りじゃ。
そんなにゲートを使いたければ曙町の駄菓子屋にでも行くがいい。
お主たちはここにいても邪魔じゃ。
修理が遅れるだけじゃ」
爺さんはそう言うと4人をシッシッと野良犬を追い払うように店から追い出した。
「全く・・・あの爺め!!
いつになったら私の呼び名はサウザーだと覚えるのだ!」
普段は高笑いばかりで悪口ですらスルーする、意外にも度量の広いサウザーだが、いつまでも真名を呼んでもらえないのには憤りを感じるらしい。
他3人は『そりゃ、本名じゃないしな』と思いながらもサウザーが落ち着くまで愚痴を聞きながら宥めるのであった。




