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僕たちマガドキバスターズ  作者: 古葉七
3.5章〜それぞれの一日〜
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花の一日

「ダディ!お願いがあるんだけど」


その日あたしは教会の仕事を手伝いながらダディにお願いした。


「オ〜どうしたんですか?

服ならこの間買ってあげマーシたよね」


「あれ本当に可愛くてお気に入りよ!

ダディ、ありがとう。

・・・じゃなくて、あたしに近接での戦い方を教えて欲しいの」


あたしの言葉にダディは首を傾げた。


「急にどうしたんですか?

花はそういう泥臭いものは嫌だと言ってたじゃないデースか」


「この間の初任務で思い知ったの。

あたしは風みたいに前に出ることは出来ないし、月みたいに支援しつつ敵を引きつけたりも出来ない。

鳥は戦闘前に作戦を立てたり、咄嗟の機転で皆を救ってたわ。

でも、あたしは事前に用意してた聖水を使うだけ」


あたしの言葉にダディは顎に手を当てて「ふーむ」と唸った。


「聖水を用意するというのは花にしか出来ない大事な役目ではないデースか?」


ダディの言葉にあたしは首を振る。


「確かにそれはあたしにしか出来ないことだと思う。

でも、それなら皆に聖水を渡したらあたしは見送っても構わないって事になると思う。

あたしがいなかったら風があんな目に遭うことも無かったのに・・・」


あたしは風が自分を庇ってムーンビーストの槍に貫かれたのを思い出す。

逢う魔が時の空間だから良かったものの、現実にあんな事が起こったら風のお腹に穴が空いて死んでいただろう。

そのことを想像するだけで顔が青くなり震えが止まらなくなる。

その様子を見たダディはため息を一つつき、あたしに語りかけた。


「花の気持ちは分かりマーシた。

それでは聖職者ラーシく、メイスでの戦いカータを教えまショー」


メイス・・・聖職者が使う武器として聞いた事がある。

頭の部分と柄の部分で素材が分かれている殴打武器って習った覚えがある。


「では、これを花に渡しますので自身の霊力に馴染ませる為にも常に携帯しておいてくだサーイ」


そう言ってダディが私に手渡したてたのは・・・警棒だった。

しかも一振りでシュッと伸びる持ち運びに便利なやつ。


「ダディ・・・これはメイスって言わないのでは?」


「どちらも殴る武器だから変わりまセーン。

それでは花にはこれから月と同じ近接訓練の特訓を受けてもらいマース」


ダディの言葉に首を傾げた。

あの子は霊力操作による射撃訓練と体力作りの訓練だけで近接の訓練は受けてなかったはずだ。


「月もこの間の戦いで思う事があったのデショー」


「ふーん。そう言えば風は近接の戦闘訓練とかさせないでいいの?

霊力の扱い方しか教えてなくて、他はまだ続けてる野球チームの練習に参加してるし」


風は最初、こちらの方を優先しようとした。

しかし、元いたチームの監督やメンバーに辞めようと思ってることを告げるとかなり強く引き止められたそうだ。

話に聞くと、花はチームのエースピッチャーであり、バッティングでも大きくチームに貢献しているからだそうだ。

そこでダディに相談すると、こちらでは簡単な霊力操作の練習だけでよく、やりたいのであれば野球を優先しなさいと言った。

その言葉に喜んだ風は元の野球チームに戻っていったのだった。


「風には天性の才能がありマース。

それはあの子が好きなことをやった方がより大きく花開くでショー。

私の教え方のように型に嵌めるよりもよっぽどいい結果になるはずデースよ」


「ふーん、そうなんだ。

・・・まぁ、いいや〜じゃあ、ダディ!

これからよろしくね」


「娘だからと言って手加減はしませんカーラね。

ああ、そうそう。

服は買ってあげまセーンが、下着はハニーに頼んでいくつか買ってきてもらいマーシたので後で見ておくといいデースよ」


あたしはダディの言葉で前の任務のことを思い出して羞恥心から顔が赤くなる。


「もう、ダディの馬鹿!

・・・でも、助かる。ありがとう!」


あたしはそう言って部屋に戻っていった。

次こそは風を守れるようになってみせる。

そう誓い、その日は警棒を抱きしめながら寝るのであった。

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