死ぬことはアーリまセーン
花鳥風月を遠くから観察する謎の影が2つ。
「あの難所を楽々と突破しよったか。
中々やるではないか」
「オ〜彼女達ならあの程度はこなして当たり前デース。
ただ、移動する前か廃墟に入った直後にランドセルを確認しなかったのは減点デースね」
「かっかっかっ、あの年頃の子が初めて戦いの場に行ったんじゃ。
そこまで気の回るものは殆どおらんよ」
2人を見守る影はご存知、駄菓子屋の婆さんとスミス神父であった。
「しかし、本当にあの子達をあそこに送って良かったのかい?
確かにそれぞれに相性が良い怪異が出てくるとはいえ、それは道中のみじゃ。
最後のホールには・・・」
それまではニコニコと笑っていた2人だったが婆さんがそこまで言葉にするとスミスの顔が急に真面目な顔に塗っている変わった。
「私はあの子達を信じていますし可能性を感じていますよ。
あの子達の中には私たちの悲願を叶えてくれるものが現れてくれるはずです」
「悲願・・・あんなこと本当に人間が出来ることなのかね?」
「私は出来ると思っていますよ。
聖職者がこんな事を言うと破門にされかねないですが、神とは人間のイメージが作ったものですから。
ならば、そのイメージを身に纏うことも可能でしょう」
スミスの言葉に婆さんは首を振る。
「だからって勝てるかどうか分からんような相手を女の子達に、しかも自分の娘がいるパーティに当てるもんかね」
「先ほども言いましたが私は彼女達を信じていますから。
それに・・・勝てなかったら勝てなかったで敗戦から学ぶことが出来るでしょう。
どちらにしても彼女達にはプラスに働きますよ」
「実の娘もいるというのに恐ろしい男じゃわい。
それよりもいつもの口調が無くなっておるぞ」
婆さんの言葉にスミスはニコニコとした笑顔を戻すと
「忘れてマーシた。
今のは秘密でお願いしマースね」
といつもの調子で言うのであった。




